ハンターハンターの跡継ぎ|席が空くのは当主や会長が去ったあとだけ

ゾルディック家・ハンター協会・カキン王家の3つで、跡継ぎの席が本編の中で次の人へ移ったのは、ハンター協会の2回だけ。どちらも会長が死ぬか、辞めた直後だった。

キルアは家族から後継者と見込まれ、カキンでは王子たちが王位を争っている。それでも当主の席も王の席も、いまの頭が現役のあいだは動いていません。ここで言う「跡継ぎが決まる」は、当主・会長・王という肩書きの席に就くこと。

※キメラアント編から王位継承戦編までの展開に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

ハンター協会の跡継ぎは、ネテロの死とパリストンの辞任のあとに決まった

ネテロはキメラアント編で死んだ。会長の席が空いたのは、ここから。

ネテロは生前に遺言を残していた。次の会長は選挙で決める、という中身で、人の名前は挙げていない。選挙は9回目でようやく決着し、当選したのはパリストンでした。

ところがパリストンは、当選の直後に会長を辞めている。辞める前にチードルを副会長に指名し、その辞任を受けてチードルが会長職に就いた。副会長への指名では会長の席は動かず、移ったのはパリストンが辞めたあとです。

協会の席が動いた2回は、どちらも会長がいなくなった直後。選挙の経緯は会長選挙が9回続いた理由に書いた。チードルが会長になるまではチードルが会長になった経緯で追っています。

ゾルディック家・ハンター協会・カキン王家、跡継ぎの決め方と席の動き

3つの組織を、跡継ぎの決め方・いまの頭・本編で席が動いたか・決まっているところ、の4つで比べます。

ゾルディック家 ハンター協会 カキン王家
跡継ぎの決め方 家族が見込む 選挙 継承戦で生き残った1人
いまの頭 当主シルバは現役 ネテロは死亡 国王ホイコーロは現役
本編で席が動いたか 動いていない 2回動いた 動いていない
決まっているところ キルアを見込むところまで 会長はチードル 候補の王子たちまで

決め方は3つともばらばら。家族が見込む、票で選ぶ、殺し合いで残す。それでも席が動いたかどうかは、頭がいなくなったかどうかとそのまま重なっている。

頭が現役の2つでは、跡継ぎの話は出ていても、決まっているのは見込みと候補まで。席が動かなかったゾルディック家とカキン王家は、その止まり方が違います。

ゾルディック家の跡継ぎは、キルアと見込まれたまま決まっていない

ゾルディック家の当主はシルバ。父のゼノも現役の暗殺者として本編に出てくるが、家督はすでにシルバへ移っている。この代替わりは本編が始まる前の出来事で、本編の中で当主の席が動く場面はありません。

跡継ぎとして見込まれているのはキルア。次男のミルキ以外の家族は、キルアを後継者と認めているとされます。

母のキキョウは、キルアが立派な後継者になれるかどうか「今が一番大切な時期」だと言う。それをシルバは「だまってろ」と止めていた。後継者という言葉は、母の口からはっきり出ています。

それでもキルアは継いでいない。家を出て288期のハンター試験に合格した。のちにアルカを連れ出すため一度実家へ帰ったときも、アルカと一緒にまた家を出ています。

後継者と認められてはいるが、席には就いていない。当主のシルバが現役でいるかぎり、キルアの立場は「見込まれた子」から先へ進まないまま話が続く。家の子どもたちがどこに席を持ったかは、ゾルディック家の兄弟で比べました。

カキン王家の跡継ぎは、王子たちが候補のまま

カキン王家の跡継ぎは、王位継承戦で決まる。14人の王子が争い、生き残った1人が正式な王位継承者になる、という決まりです。

今回の継承戦を開いたのは、現役の国王ナスビー=ホイコーロ。王は生きていて、王の席にいる。39巻の時点で継承戦はまだ途中で、誰が王になるかは決まっていない。

ゾルディック家とは決め方が正反対。家族が1人を見込む形と、14人から1人が残る形。それでも、頭が現役のうちに描かれているのが「候補」までという点は同じでした。

継承戦の決まりの細かいところは王位継承戦で王子は自分では戦えないにまとめた。王がこの戦いに何を求めているかはナスビー=ホイコーロが残そうとしているのは国で掘り下げています。

ノストラード組のクラピカは、跡継ぎの形からはみ出している

3つの組織の外に、少し違う動き方をした組がある。ノストラード組です。

ヨークシンのあと、組を動かすようになったのは護衛から入ったクラピカだった。若頭になり、組長のライトに代わって組を回している。

一方で、ライトが組長の座を降りた場面は描かれていません。クラピカを跡継ぎと呼んだ資料も見当たらない。組を動かす実務はクラピカへ移ったのに、組長の肩書きは動いていないわけです。

組長が現役のあいだに移ったのは、実務のほう。肩書きの席ではない。組の立て直しの中身はノストラード組は念能力1つで回っていたに書いています。

席が動かないあいだに、跡継ぎの話が物語を動かしている

3つの組織とノストラード組を合わせると、席が動く条件は1つにそろう。いまの頭がいなくなったかどうか。決め方が見込みでも選挙でも殺し合いでも、そこは変わりません。

キメラアントでも同じことが言える。王のメルエムは女王の跡を継ぐ席ではなく、別の役目を持って生まれている。女王を名乗る者が出たのは、女王が死んだあと。ザザンです。

では、席が埋まらないあいだに何が描かれているか。キルアの家出に重みが出るのは、シルバが当主の席にいて、跡継ぎの話が終わっていないからだ。家を出たままでいることが、そのまま「継がない」という意思表示として読める。

カキンも同じ形をしている。ホイコーロが王の席にいるから、王子たちは候補のまま殺し合いを続ける。席が先に埋まっていれば、継承戦そのものが成り立たない。

俺はここに、冨樫が跡継ぎを描くときの順番を見ます。先に描くのは、誰が見込まれ、誰が候補かという「決まっていない状態」のほう。席が動くのは頭がいなくなった直後だけ。それまでの跡継ぎの話は、決まっていないこと自体が物語を動かしている。

まとめ|ハンターハンターの跡継ぎが決まるとき

  • 本編で跡継ぎの席が動いたのは、ハンター協会の2回。ネテロの死のあとの選挙と、パリストンの辞任のあとのチードル
  • ゾルディック家のキルアは家族から後継者と認められているが、当主シルバが現役で、席には就いていない
  • カキン王家は国王ホイコーロが現役のまま、14人で始まった王子たちが候補として継承戦を続けている
  • ノストラード組では、組長ライトの肩書きが残ったまま、若頭のクラピカに実務だけが移った
  • 決め方は3つともばらばらでも、席が動いたかどうかは、いまの頭がいなくなったかどうかとそろっている

跡継ぎの話は、席が埋まった瞬間より、埋まらないあいだに長く描かれています。現役の頭のもとで描かれるのは、誰を見込むかと誰が候補かまで。席が動くのは、その頭がいなくなった直後です。

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