カキンの王妃8人|継承戦で動いたのは上と下だけだった

カキンの王妃は8人。そのうち39巻までに継承戦で自分から動いたのは4人だけ。

しかもその4人は、序列のいちばん上と、下の3人。真ん中にあたる第2〜第5王妃は、ほとんど空白のまま残っている。序列の数字が決めているのは、王妃の強さではなさそうです。

※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

カキンの王妃は8人|序列は第1から第8まで

カキン国王ナスビー=ホイコーロには8人の正妻がいて、正室子は14人。表向き正妻に序列は無いことになっている。ただ実際には、第1から第8まで順位がある。王子が動かせる兵の量や、部屋に入る監視兵の数は、ここで決まる。王子の番号のほうは生まれ順なので、序列とはずれます。

上から第1王妃ウンマ、第2王妃ドゥアズル、第3王妃トウチョウレイ、第4王妃カットローノ。続いて第5王妃スィンコスィンコ、第6王妃セイコ、第7王妃セヴァンチ、第8王妃オイト。

序列が王子の順位をどう決めているかは別記事にまとめています(→ 王位継承戦の14王子は母の序列で読む)。見るのは、王妃自身がどう動いたかのほうだ。

カキンの王妃8人を、39巻までに描かれたことで分ける

序列 王妃 39巻までに描かれたこと
第1 ウンマ 電話の相手に「指示するわ」と告げる
第2 ドゥアズル 自分から仕掛ける動きは描かれていない
第3 トウチョウレイ 継承戦での動きは見当たらない
第4 カットローノ ※辞退するつもりだった第6王子タイソンを、自分の意向で継承戦に出させたとされる
第5 スィンコスィンコ 所属兵タフディーがモモゼを殺した。王妃本人の関与は描かれていない
第6 セイコ 所属兵を扉に置いて国王軍と向き合わせる/子に会いたい者は自分を通すよう指示/司法局の聴取に協力しない
第7 セヴァンチ 2人の子に付けた警護の割り振りを自分で変えた
第8 オイト 護衛の公募に来たハンターを面接して雇い、借りた念能力で他の部屋を偵察した

継承戦が始まってから自分で動いたと読めるのは、ウンマ・セイコ・セヴァンチ・オイトの4人。序列の上端と下端に寄っています。

第6王妃セイコは子と外のあいだに立つ|下位の王妃の動き方

下の3人の中で、動きがいちばん細かく描かれているのが第6王妃セイコ。

セイコは自分の所属兵を部屋の扉に置き、国王軍と向き合わせた。子に会いたい者は自分を通すよう指示も出した。司法局の聴取には協力していない。

3つとも、やっていることは同じ種類。自分の子と外の世界とのやり取りを、すべて自分を通す形にしている。

第7王妃セヴァンチと第8王妃オイトも向きは同じ。セヴァンチは2人の子に付けた警護の割り振りを自分で変えた。その結果、一方の部屋が手薄になった。モモゼはそこで殺されています(→ モモゼの護衛は事件の前に弟へ移されていた)。オイトは護衛を自分で面接して雇い、護衛のビルから借りた念能力で他の部屋を偵察している(→ オイト王妃は借り物だけで戦っている)。

下位の3人がしているのは、子を守る・囲う・そのために外から人を引き入れること。自分の手で誰かを倒しにはいかない。

ここで、動いた4人を今度は動き方の向きで見る。すると3人と1人に割れる。

第1王妃ウンマだけ守らずに指示を出す

割れた1人が第1王妃ウンマ。

39巻の No.403 で、ウンマは電話口の相手に「貴方らしい選択ね…指示するわ」と告げます。相手は第9王子ハルケンブルグ。No.402 から No.403 にかけて、この王子の本当の母が明かされる。表向きの第2王妃ドゥアズルではなく、ウンマだった。その流れの中での電話です。

指示の中身は描かれていません。それでも、下位3人と決定的に違う点がここに出る。下の王妃は子の周りに自分を置いて守る側。ウンマは離れたところから子を動かす側。同じ「自分から動いた」でも、手の向きが逆になっている。

しかもウンマは、実子であることを表に出さないまま、その子を動かしていました。守るためには近くにいる必要があります。動かすだけなら、離れていたほうが都合がいい。少なくともウンマは、子との関係を表と裏に分けて使っていたことになります。

下位3人が「自分を通す形」を作ったのに対し、ウンマは「自分を通さない形」を作った。同じ王妃という枠で、正反対のものができあがっています。

第4王妃カットローノが動いたのは継承戦が始まる前

もう1人、分類からはみ出すのが第4王妃カットローノ。

第6王子タイソンは、もともと継承戦を辞退するつもりだったとされています。それを母のカットローノが、自分の意向で出させた。

自分から動いた点では、ウンマたち4人と変わりません。違うのは時点。参加そのものをめぐる話なので、継承戦が始まったあとの動きとしては描かれていない。

この1件を見ると、真ん中の序列にいる王妃が何もできない立場ではないと分かります。やれる王妃はいた。やったのが始まる前だっただけです。しかも動かしたのは兵でも念能力でもなく、子が出るか出ないかという一点。上でも下でもない位置の王妃が使えるのは、こちら側なのかもしれない。

冨樫は王妃に何を配ったのか

真ん中の4人を見ます。第2王妃ドゥアズルは自分から仕掛ける動きが描かれていない。第3王妃トウチョウレイは継承戦での動きが見当たらない。第5王妃スィンコスィンコは、モモゼを殺した兵がこの王妃の所属兵だったところまでです。

39巻の時点では、真ん中がきれいに空いている。冨樫が王妃という枠に配ったのは「動き」ではなく「位置」のほうではないか。俺にはそう思えます。

いちばん上は、自分で動く必要がない。指示を出せば子が動くからです。いちばん下は後ろ盾がないぶん、自分で動くしかない。真ん中は、動く理由も動けない理由も強くない。だから描く場面が出てこないのだと思います。

そう読むと、序列の数字は強さの順位ではない。表しているのは、その王妃が自分で手を出さなければならない度合いのほうだ。

もっとも、王妃には所属兵が付く仕組みがあり、カットローノのように開始前に動いた例もある。39巻より先で動く可能性は残っている。いまの空白は、まだ出番が来ていないだけかもしれません。

まとめ|動いた王妃は序列の上と下に寄っている

  • カキン国王の正妻は8人。継承戦が始まってから自分で動いたと読めるのは、序列の上端と下端にいる4人だけ
  • 下位3人の動きはどれも同じ向き。子と外とのやり取りを自分を通す形にして、守る・囲う・外から人を引き入れる
  • 第1王妃ウンマだけ向きが逆。離れたところから息子に指示を出す側で、39巻ではハルケンブルグの実母だったことも明かされる
  • 第4王妃カットローノは動いた時点が違う。辞退するつもりだった第6王子タイソンを、継承戦が始まる前に出させた
  • 真ん中の第2〜第5王妃は、39巻の時点では自分から仕掛ける動きが描かれていない

序列の数字は、王妃の強さを決めてはいません。決めているのは、自分で手を出さなければならない度合いのほうです。だから上と下だけが動き、真ん中が空いたまま残っている。

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