ハンターハンターの尾行は二重|4場面とも尾けた側を誰かが見ていた

ハンター試験からグリードアイランドまでの主な尾行4場面では、尾けている人物を、別の誰かが見ている。ゴンはゼビル島でヒソカを尾け、後ろにいたゲレタに吹き矢を撃たれた。ヨークシンでノブナガとマチを尾けた日は、その2人の後ろをパクノダとフィンクスが尾けていました。

隠れて見る側が有利、というのが尾行のふつうの見え方。ところが4つの場面では、尾けている人物が相手に気を取られている間に、別の誰かがその人物を見ている。尾行は、尾ける側の周りへの注意が手薄になる時間として描かれているように読めます。

※ハンター試験編・ヨークシンシティ編・グリードアイランド編・会長選挙編の内容に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

ゼビル島の尾行|ヒソカを尾けたゴンを、ゲレタと試験官が見ていた

4次試験は、くじで引いた標的のプレートを奪い合う試験です。ゴンの標的はヒソカ。ゴンは一日中、ヒソカを尾け続けた。

ヒソカのプレートを釣り竿で取った直後、ゴンは後ろにいたゲレタの吹き矢を受ける。毒で体の力が抜け、プレートを2枚とも奪われた。ゲレタは、ゴンのプレートを狙っていた受験生です。相手を殺さずに止める毒の使い方は、ハンターハンターの毒でも出てくる。

ゴンを見ていたのは、ゲレタだけではない。4次試験では試験官が受験生を見張っていて、ゴンもその目には気づいていなかったとされる。ヒソカだけを見ていたゴンの周りには、ゲレタと試験官の目があったことになります。

そのゲレタも、ヒソカの標的だった。ゲレタはこのあと、ヒソカに殺される。プレートの行き先は、ハンター試験4次試験のプレート争奪戦で追えます。

幻影旅団の尾行|ノブナガとマチを尾けたゴンとキルアの後ろに、パクノダとフィンクス

ヨークシンシティ編の10巻、No.090前後。ゴンとキルアは、旅団のノブナガとマチを尾ける。尾行の経験を聞かれたゴンは、試験で一日中ヒソカを尾けてもバレなかったと答え、キルアに頭を叩かれた。

キルアは、3つの時から命がけの尾行の訓練をさせられてきたと語る(→ キルアの暗殺術)。絶で気配を消した2人の居場所を、ノブナガとマチは突き止められなかった。ゴンとキルアは、廃墟のような場所まで尾行を続ける。ところがノブナガに電話が入った途端、視線が2人のほうへ向きます。

慌てて逃げた先で待っていたのが、パクノダとフィンクス。この2人は、ノブナガとマチの後ろを本人たちにも知らせずに尾けていた。ゴンとキルアは前と後ろから挟まれ、捕まります。この日の流れはヨークシン編の時系列にもある。

俺がこの場面でいちばん効いていると思うのは、ゴンの答えのほう。ヒソカを尾けてバレなかった試験のとき、ゴンの後ろにはゲレタがいた。うまくいった尾行の記憶は、周りを見ていなかった時間の記憶でもあります。

ハンゾーとビノールトの尾行でも、尾けている人物は見られていた

4次試験には、もう1つ二重の尾行があります。アモリ3兄弟がキルアを尾け、そのアモリをハンゾーが尾けていた。ハンゾーの標的はアモリです。

キルアは、3兄弟に尾けられていることに気づいていた。待ちきれなくなったキルアは、自分からイモリの前に出る。合流したアモリたちごと、押さえてしまいます。

物陰に隠れていたハンゾーにも、キルアは気づいていたとされる。そうだとすれば、アモリもハンゾーも、尾けていた相手のキルアに見られていたことになります。ハンゾーはキルアが投げたプレートの片方を追った。手にしたのは、アモリではなくイモリの分です(→ ハンゾーの念能力)。

グリードアイランドでは、立場が入れ替わる。ビノールトがゴンたちの様子を窺っていることに、ビスケが気づいた。ビスケは自分を囮にして二手に分かれ、ビスケを追うビノールトを、ゴンとキルアに後ろから尾けさせます。尾ける側だったビノールトは、その最中に2人に尾けられていた(→ ビノールトの役割)。

場面 尾けていた側 尾けられていた相手 尾けていた側を見ていた側
4次試験 ゴン ヒソカ ゲレタ・試験官
4次試験 アモリ3兄弟 キルア ハンゾー・キルア本人
ヨークシン(10巻) ゴンとキルア ノブナガとマチ パクノダとフィンクス
グリードアイランド(14巻) ビノールト ビスケ ゴンとキルア

見ている側の位置は、後ろとは限りません。アモリ3兄弟を見ていたのは、尾けられていたキルア本人でした。尾けている人物は前の相手に気を取られ、その相手からも後ろからも見られている。

尾行の例外|隠れずに追うツボネとアマネは、見られても困らない

例外は、隠れずに追う場面。会長選挙編では、アマネとカナリアがツボネバイクにまたがり、キルアを追う(→ ツボネの念能力)。姿を隠さず、追っていることを見せたまま走ります。

この追跡にも、外から見ている目はある。キキョウはミルキと組んだゴーグルで、アルカをめぐる家の動きを遠くから見張っていた。キルアの後ろからは、ヒソカも追ってきています。

それでも、アマネたちには見つかって困る隠れ場所がはじめから無い。見られることで何かを失うのは、隠れていることを頼りにした尾行のほうです。

冨樫はなぜ尾行の場面に、もう1人の目を置いたのか

4つの場面で、尾けている最中に見られていた側は、どれも何かを失っています。ゴンはプレートを奪われ、ゴンとキルアは捕まった。アモリ3兄弟はキルアに押さえられ、ハンゾーは標的のプレートを取り損ねた。ビノールトは、ビスケに倒されています。

失ったものの裏には、見ていた側との力の差があります。試験のゴンは、ヒソカを尾けることはできても、ゲレタと試験官の目には気づけなかった。ビノールトはゴンたちを窺っていたのに、先に気づいたのはビスケのほう。ヨークシンの2人の絶は、居場所こそ隠した。それでも、団員の後ろに仲間を付けていた旅団の用心深さには及ばなかった。

冨樫は、尾行がうまくいく場面よりも、尾けている人物の周りの目を描く場面を多く置いていると考えられる。尾けている人物は、前の相手に注意を向けるぶん、周りへの注意が手薄になる。その手薄な時間に誰が見ているかで、その場の上下が決まります。

尾けている人物が出てきたら、その周りで誰が見ているかを先に探すと、次に誰が何を失うかが分かる。尾行の場面は、尾ける側が周りを見落とす瞬間を描くために置かれていると、俺は考えています。

まとめ|ハンターハンターの尾行は二重になる

  • ハンター試験からグリードアイランドまでの主な尾行4場面は、4つとも尾けた側を別の誰かが見ていた
  • 試験でヒソカを尾けきったことは、ゴンの腕の証明にならない。その間、ゲレタと試験官がゴンを見ていた
  • ゴンとキルアの絶は居場所を隠しきった。旅団は団員の後ろにも仲間を付けていて、2人はそこで捕まった
  • 見られていた側は4場面とも何かを失っている。隠れずに追うツボネとアマネは、見られても困らない
  • 尾行は、尾ける側の注意が周りに向かなくなる時間を見せる場面として置かれているように読める

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