隠と絶と神の不在証明|隠す範囲が広がると何を手放すのか

息を止めているあいだだけ、メレオロンは誰にも気づかれません。気配も、触った感触も、匂いも通らない。感知の念を使われても、そこにいることが分からない。

代わりに、吸った瞬間に終わります。続けられるのは最長2分程度だ。

隠れる技には、隠せる範囲ぶんの手放すものが付いている。オーラだけを隠す隠(イン)、気配ごと消す絶(ゼツ)、存在まで消す神の不在証明(パーフェクトプラン)。3つを2つの基準で比べます。

※ハンター試験編・ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

別人に化ける技は、隠れる技とは別物

隠れる技と、別人に化ける技は別物です。見るのは前者、相手に気づかれない状態を作る技だけ。

イルミは顔に針を刺してギタラクルという別人になり、針を抜けば元の姿に戻ります。ビスケは本当の姿を隠し続けている。どちらも姿を偽る側で、気配を消しているわけではない。

ビスケのほうは、姿を変える原理そのものが原作で説明されていません。念の力なのかどうかも明かされないままだ(→ ハンターハンターの変装・なりすまし)。

原理が明かされていない技は、何を手放しているのかも分かりません。

隠せる範囲は、オーラ・気配・存在の3段に分かれる

隠せる範囲 手放すもの
オーラだけ 語られていない
気配 防御
神の不在証明 存在そのもの 呼吸

いちばん狭いのが隠です。絶の応用技で、オーラを絶つのではなく見えにくくする。実際にはオーラがそこにある状態を保つ。消えるのはオーラで、体は見えたままだ。

1段広いのが絶。全身の精孔(しょうこう)を閉じ、体から出るオーラを絶ちます。外にオーラが出ないので、気配が消える。

いちばん広いのが神の不在証明。絶が絶つのは体から出るオーラ、つまり気配まで。こちらは触った感触も匂いも通りません。

3段が同じ向きに広がっている。ではもう1つの列は、この順にどう動くのか。

範囲が広がるほど、手放すものが重くなる

隠は、オーラをまとったまま隠せます。防御を捨てる必要がない。隠が何を手放しているのかは、本編でも公式の設定資料でも語られていません。分かっているのは、隠せる範囲がいちばん狭いという得る側だけだ。

絶は違います。オーラをまとっていないので、攻防力はゼロになる(→ 絶・纏・練・発はどう違う?)。気配を消すのと引き換えに、防御を丸ごと手放している。絶に入る決定権を誰が握るのかは、別の論点だ(→ ハンターハンターの絶は誰が決めるのか)。

神の不在証明が手放すのは呼吸だ。存在ごと消える代わりに、息を止め続けなければならない。

範囲の順は、オーラ → 気配 → 存在。手放すものの順は、語られていない → 防御 → 呼吸。ずれがない。

効き目が終わるきっかけも、この順に自分の手を離れていく。隠は凝で見られたときまで。絶は自分で入ったのなら解くまで続く。神の不在証明だけは、吸ってしまえば自分の側から終わります。

手放しても消えない弱点が、どの段にも残る

どの段にも、手放しても消えない弱点が残ります。

隠を通すのは凝。その凝の側にも負担がある。目にオーラを集めるぶん、ほかの部位が手薄になる。見つける側も隙を作っています(→ 念の応用技「凝・円・硬・流・隠」を整理)。

神の不在証明はもっと直接的だ。感知されないだけで、体はそこにある。範囲攻撃や偶然の一撃には当たります。存在は消せても、体まで消えるわけではない(→ メレオロンの神の不在証明は”消えるだけ”)。

手放したぶんだけ隠せて、手放しても残るものがある。3段のどこにも、隠れきった状態は用意されていません。

自分を隠さず、偽物を置く手もある

同じ「見つからない」でも、別方向の解き方があります。

コルトピの神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)は、本物のコピーを作る能力です。自分が消えるのではなく、相手に別のものを見せる。

こちらにも制約が付く。本物に直接触れなければコピーできず、生物は作れない。作ったコピーは、およそ24時間で消えます(→ ヨークシンの地下競売は表の競売と別物)。

自分を消す3つの技は、範囲と引き換えに防御や呼吸を手放していた。偽物を置くやり方では、手放すものが自分の体から離れて、手順と期限へ移ります。

強く隠れるほど、使える場面が狭くなる

隠す範囲と手放すものは、同じ順に重くなる。そのぶん、手元に残る自由が減っていく。

隠は何も捨てずに済む代わりに、凝ひとつ分の薄さしかない。絶は防御と引き換えに気配まで消すが、その間は殴られれば終わる。神の不在証明は存在ごと消せるが、2分で息継ぎが来る。

無条件に消える技が1つも置かれていない。消える範囲が広がるほど、別のところが弱くなるように積んであります。

そう考えると、メレオロンが討伐隊で担った役目にも説明がつきます。単独で勝てる能力ではないから、誰かと組んで使う。隠れる技が何を手放すかは、その技を持つ人物の立ち位置まで決めているように読めます。

まとめ|隠・絶・神の不在証明は何を手放しているか

  • 隠・絶・神の不在証明は、隠せる範囲がオーラ → 気配 → 存在の順に広がる
  • 手放すものも同じ順で重くなる。絶は防御、神の不在証明は呼吸。隠については語られていない
  • 効き目が終わるきっかけも同じ順で自分の手を離れる。隠は凝で見られるまで、絶は自分で入ったなら解くまで、神の不在証明は息を吸うまで
  • 手放しても残る弱点がある。隠は凝で通され、神の不在証明でも当たり判定は消せない
  • コルトピのように自分を隠さず偽物を置く道もある。そちらが手放すのは、本物に触れる手順と24時間という期限だ

いちばん軽く隠れたければ、オーラだけを隠す。存在ごと消したければ、息を止める。隠す範囲を広げるほど、手放すものが増えていく。ハンターハンターの隠れ方は、最初からその形で積まれていました。

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