ハンターハンターの変装・なりすまし|化け方で見破られ方が変わる

女装したクラピカは、捕らえるまでクロロに気づかれませんでした。化粧とかつら、女性用の服。それだけの装いで、相手は最後まで見抜けなかった。

一方でヒソカの薄っぺらな嘘は、触れられた瞬間に剥がれます。同じ「化ける」でも、崩れ方はまるで違う。

この違いは、何を差し替えて化けたかで説明できます。その部分が、そのまま弱点になっているからです。

※ハンター試験編・天空闘技場編・ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編・会長選挙編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

体そのものを作り変える|イルミとキリコの変装

まずは、体の側を変えてしまう化け方から。

イルミは自分の顔に針を刺して、骨格や髪型を変えます。ハンター試験ではギタラクルと名乗り、別人の姿で受験していた。針を刺している間はその姿が続くとされ、外せば元に戻ります。

この変身が念能力なのかどうかは、原作で説明されていません。針で骨格をいじる、という描写までが確実な部分だ。

キリコは、そもそも人ではない。人間や他の生物に化ける変幻魔獣で、ハンター試験では案内人を務めています。ゴンに追われた場面では、母親と入れ替わって自分はレオリオの姿になりました。実在する人物にそっくり化けられる点が、この魔獣の怖いところです。

ゴトーの死後には、墓前のカナリアとアマネの前に、キリコがゴトーの姿で現れる場面もあります(32巻 No.339「静寂」)。中身は別の存在なのに、外から見ると同じ人物が生きている。体を作り変える化け方は、正体を現さないかぎり続きます。

姿の複製を外に置く|コルトピの神の左手悪魔の右手

2つ目は、自分の体はそのままで、別の姿を外に作って置く化け方です。

コルトピの神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)は、左手で触れたものを右手で複製します。人の姿もコピーできる。ただし生命体そのものは複製できず、作れるのは動かない人形、つまり死体としての姿だけです。

ヨークシン編では、旅団員の死体を複製して置き、マフィア側の目を旅団からそらしました。本人はどこか別の場所にいて、複製だけがその場に転がっている形になる。

この化け方には、はっきりした限界が2つあります。複製は動かせないこと、そして24時間で消えることです。置いた瞬間から時限が始まっていて、動かそうとすれば嘘だとばれる。差し替えたのが「外に置いた複製」なので、その複製の制約がそのまま弱点です。

化粧と衣装で外から装う|クラピカの女装

3つ目は、体も複製もいじらず、外側の見た目だけを変える化け方です。

クラピカはヨークシン編の終盤、ホテルの受付に女装してクロロに近づきました。中身は化粧とかつら、女性用の服という道具立てだ。体を変えたわけでも、複製を置いたわけでもありません。

それでもクロロは、捕らえられるまで気づかなかった。装ったのが化粧と服だけなのに、見破られなかったわけです。

外から装う化け方は、相手が自分の思い込みを解くまで持ちます。逆に、相手が疑いを向けた時点で保たなくなる。差し替えたものが薄いぶん、解けるかどうかは相手の側に預けられています。

3つを取り上げると、差し替えたものが弱点になっている

ここまでの3つを1つの表にすると、化け方と崩れ方の対応が見えてきます。

差し替えたもの 代表する人物 化けの解け方
体そのものを作り変える イルミ・キリコ 元に戻るか、正体を現すまで続く
姿の複製を外に置く コルトピ 動かせない。24時間で消える
外から装う クラピカ 相手が思い込みを解けば終わる

3つとも「本人が別人に見える」結果は同じです。違うのは、どこをいじったか。そこが違うせいで、崩れ方まで別々になっています。差し替えたものが軽いほど、解けるかどうかは相手の側に移る。

表面だけを覆うヒソカ|隠したのは顔ではない

3分類にきれいには入らない例が2人います。1人目がヒソカだ。

薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)は、表面の質感と色を再現して貼りつける能力です。ただしヒソカがこれで隠したのは、顔ではありません。

使い道を見ると、隠していたのは別のものだと分かります。カストロ戦では、腕を再生したように見せた。ヨークシンの占いでは団員ナンバーを、グリードアイランドではバインダーの文字を書き換えている。どれも覆っているのは傷や文字であって、別人の顔になったわけではない。

全身を差し替えていないので、この化け方は表面に薄く貼るだけで済みます。そのぶん、触られれば嘘がばれる。隠したい一点だけを覆う、という化け方です。

他人の死体を借りるイカルゴ|姿を作らない化け方

2人目はイカルゴ。この蟻の化け方は、3分類のどれとも向きが違います。

自分の体を変えるのでも、複製を外に置くのでもない。倒した相手の死体に入り込んで、中から動かします。外側は本物の死体そのものなので、姿を新しく作る必要がない。借りているのは他人の体のほうです(→ イカルゴの念能力は死体を借りる)。

ここが他の化け方と大きく違う点だ。イルミもキリコもコルトピも、化けるために何かを作っています。針で顔を、複製で人形を、化粧で見た目を。

ところがイカルゴは何も作らず、すでにある死体をそのまま使う。作る工程が無いぶん、見た目のほころびが出ません。代わりに、中身が本人でないことは動きや会話で漏れる。差し替えたのが「他人の体の中身」だから、ほころびも中身の側に出ます。

冨樫が化け方に持たせた、解け方のちがい

3つの分類と2人の例外を並べると、共通する設計が1つ浮かびます。

化けた側が何を差し替えたかで、見破る側の手口が指定されている。

複製を置いた相手は、動かすか待つかすれば崩せる。表面を貼った相手は、触れば剥がせる。外から装った相手は、疑いを持てば崩れる。見破る側は、相手の化け方に合わせて手を変えないといけません。

これが効いているのが、嘘を見抜く場面です。当サイトでは別の記事で、嘘を見抜く手段を整理しています(→ ハンターハンターで嘘を見抜く手段)。化けを見破るのも同じで、万能の一手はない。相手が何を差し替えたのかを先に読めた側が、崩し方を選べます。

冨樫は、化け方ごとに別々の弱点を仕込んだのだと読める。だから化けが崩れる場面は、毎回ちがう手順で崩れる。同じ「見破る」でも、中身が使い回しにならないようになっています。

まとめ|ハンターハンターの変装・なりすまし

  • 変装・なりすましを「何を差し替えたか」で分けると3つになる。体そのものを作り変える(イルミ・キリコ)、姿の複製を外に置く(コルトピ)、外から装う(クラピカ)
  • 差し替えたものが、そのまま弱点になっている。複製は動かせず24時間で消える、表面は触れば剥がれる、装いは疑われれば崩れる
  • 3分類に収まらないのがヒソカとイカルゴ。ヒソカは顔ではなく傷や文字を隠し、イカルゴは他人の死体を借りて中から動かす
  • 化けた側が何を差し替えたかで、見破る側の手口まで決まっている。万能の一手はない
  • イルミ・キリコの変身が念能力かどうかは、原作では説明されていない

化けるという行為は、全身を別人にすることだけを指しません。何を差し替えるかで、続く長さも、崩れ方も変わる。見破るほうは、その差し替えを先に読めた側が勝ちます。

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