クラピカの念講習|系統が分からないまま念を持たせている

クラピカが船の上で開いている念講習は、系統を確かめる順番を後ろへ回しています。受講者は自分がどの系統かを知らないまま念を持つ。

その代わりに手に入るのが、期限の内側で動ける護衛の頭数だ。

払っているものと、受け取っているもの。この講習は、その2つを入れ替えた形で組まれています。

※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

クラピカの念講習は、精孔を開ける役を借りている

王位継承戦の船内で、クラピカは念の講習会を開いています。集まったのは、ほかの王子の陣営から派遣された護衛たちだ。

精孔(しょうこう)を開ける役を担っているのは、クラピカ自身の技ではありません。護衛の1人であるビルから借りた「球根(ハルジオン)」だ。かざした相手のオーラを伸ばす発だとされます(→ ビルの念能力・球根(ハルジオン))。

借りるのに使っているのは、スチールチェーン。奪った能力を他人へ貸せる鎖だ(→ クラピカの念能力は”二段構え”)。

講習の中心にあるのは、クラピカが編み出した教え方ではない。他人の能力に、いちばん手間のかかる工程だけを肩代わりさせています。

念講習で払っているのは、系統の判定のほうだ

講習で動いているのは3つだ。受講者の支払い、クラピカの支払い、そして両者が受け取るもの。

誰が 差し出すもの 得るもの
受講者 自分の系統が分からないまま念を持つ 判定を待たずに念を持てる
クラピカ 能力を貸している間、絶対時間(エンペラータイム)が切れず寿命が減る 期限の内側で、各陣営に念を使える護衛が増える

ふつうなら、四大行を身につけたあとに水見式で系統を確かめ、そこから系統別の修行へ入ります。ところがこの講習では、開ける役を借り物が担っている。受講者本来の系統は講習が終わってから各自で確かめ直す必要があるとされています。

念は持てる。ただし、自分がどの系統かは分からないまま持つ。

クラピカの側の支払いは寿命だ。奪った能力を貸している間は絶対時間が切れず、発動1秒につき1時間ずつ減っていく(→ クラピカの寿命はあと何年?)。

受け取るほうは早い。判定を待たずに精孔を開ける段階へ進めるので、念を持つところまでが短くなります。No.388 の時点で、少なくとも3人が念を使える状態になっていました。

系統が分からないと、どこを伸ばすかが決まらない

代わりに遅れるのは、そこから先です。

念は、自分の系統に近いところほど伸びやすい。強化系の人間が具現化を伸ばそうとしても効率が悪く、逆も同じだ。どこを鍛えるかは、系統が分かって初めて決められます。

講習を出た護衛たちは、その判断材料を持たないまま念を使い始める。基礎は渡っても、伸ばす方向が定まらない。

この組み替えで増えたのは、1人あたりの強さではなく人数のほうだと思います。期限までに揃えるものを、深さから数へ振り替えた形だ。

ウイングとビスケは、開けたあとに系統を確かめている

同じ場面が原作にもう2つある。ウイングとビスケだ。

ウイングはゴンとキルアに、纏から順に渡しました。系統を確かめる水見式をおこなったのは7巻 No.060 で、基礎を渡したあとになります(→ ウイングが最初に教えたのは纏)。

ビスケはグリードアイランドで、堅を保つ時間を2分から30分まで伸ばさせた。凝・流・硬を積ませ、そのうえで実戦の修行へ進めています(→ 念の修行が伸ばすのは時間と配り方)。

精孔を強引に開ける手そのものは、ウイングも使っている。時間が足りない場面で、ゴンとキルアに対して同じことをしていました。

違うのは、そのあとだ。ウイングは開けたあとに水見式へ進み、系統を確かめてから修行を組んでいる。

クラピカの講習でも水見式そのものはおこなわれます。ただし借りた能力でオーラを伸ばした状態なので、水が必ず溢れてしまう。自分の系統が読み取れるのは、講習の外へ出てからになります。

期限の内側では、完成度より人数が効く

船の上には期限がある。目的地に着くまでに守りを組み上げなければなりません。これは教える側の都合ではなく、戦う側の事情だ。

その条件なら、1人を完成させるより動ける人数を増やすほうが効きます。系統に合わせて伸ばすのは、念を持ったあとでもできる。順番を入れ替えても後から取り戻せる工程だと読めます。

協会が押さえているのは、合格者へ念を渡す入り口までです。教える資格そのものを縛った場面は描かれていない(→ 念能力を教えていいのは誰か)。船内の講習もその外側で動いていて、そこでは速さが優先されている。

深さを削って数を取る。期限が先に決まっている場所での教え方として、俺はこの組み替えを筋の通った選択だと思っています。

まとめ|クラピカの念講習は何と何を交換したか

  • クラピカは船内で念の講習を開き、精孔を開ける役をビルから借りた球根(ハルジオン)に任せている
  • 受講者が差し出したのは、自分の系統が分からないまま念を持つこと。確かめ直すのは講習が終わってからだとされている
  • 受け取ったのは速さだ。判定を待たずに念を持てるので、No.388 の時点で少なくとも3人が使える状態になっていた
  • クラピカ側の支払いは寿命で、能力を貸している間は絶対時間が切れない
  • 交換で増えたのは1人あたりの強さではなく、期限の内側で動ける護衛の数のほうだった

自分の系統を知らずに念を持った護衛たちは、これから水見式を受け直すことになります。後ろへ回した工程が閉じるのは、そのとき。船が着くまでに間に合うのかは、まだ描かれていない。

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