念能力を教えていいのは誰か|協会が押さえているのは入り口まで

念の解説を開くと、決まって同じ説明が出てきます。悪用されれば社会に大きな被害をもたらす力で、その存在を公にするのは危険性が高い。だからハンター協会が伏せている、という説明です。

ただ、この説明は2つの話が1つになっている。一般人に知られていないという状態と、協会がそれを管理しているかどうかは別物だ。

原作の場面と突き合わせると、協会が押さえているのは合格者の入り口まで。その先は試験の結果と関係なく動いていました。

※ハンター試験編・天空闘技場編・キメラアント編・王位継承戦編の展開に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

念が一般人に知られていないこと自体は原作どおり

一般人に念の存在が知られていない、という状態そのものは原作と合っています。無自覚のまま念を身につけた人が、霊能力者と見なされたり、専門の分野で成功したりする例もあるとされる。ここに食い違いはない。

確かめたいのは、その状態を協会が作っているのかどうか。

念を渡す入り口は、たしかに協会が押さえている

ハンター試験の本試験に念は出てきません。合格したあとの段階で身につける流れになっている。

試験が見ているのは強さではない(→ ハンター試験は強さを測る試験?)。順番だけを取り出すと、念は合格の後ろに置かれています。

念を知らないまま受かる人がいて、そのあとで念に触れる。ここまでは通説のとおりだ。

念は試験の外でも教えられている

原作で念を渡した例を、協会の手続きとの関係で整理します。

渡した人 渡した相手 協会の手続きとの関係
ウイング ゴン 裏試験の試験官として
ウイング ズシ 心源流の弟子として(試験の合格者ではない)
ウイング キルア 287期の最終試験で失格になったあと
クラピカ 各王子の関係者 王位継承戦の講習として
モレナ 発症者 能力で伝える形

上の3行は、同じ師匠が渡した相手だ。ウイングはゴンの裏試験の試験官を務めました。協会の仕組みの内側にいる人物だ。

その同じウイングが、天空闘技場ではズシを弟子に取っている。ズシはハンター試験の合格者ではありません。心源流は、試験に受かった人以外にも教えていた。

キルアのほうは287期の最終試験で失格になっている。それでも同じ場で念を教わった。

同じ師匠が、協会の手続きの内側と外側で同じことをしている。渡す相手を決めているのは試験の結果ではありません(教え方の中身は → ウイングが最初に教えたのは纏)。

王位継承戦でも、協会を通らずに渡された

船の中では、2通りの渡し方が同時に動きました。

1つはクラピカだ。各王子の関係者を集め、講習を開いている。2週間で念の基礎を身につけさせると約束した。39巻の時点では、まだ進んでいる途中です。

もう1つはモレナの「恋のエチュード(サイキンオセン)」。唾液で相手を発症者に変え、自分を含めて23人まで増やせる能力だ(→ モレナの念能力”恋のエチュード”が念使いを増やす仕組み)。

狙いは正反対でも、渡すと決めたのは本人だ。その点は変わらない。どちらも協会の手続きを通っていません。

協会が押さえている範囲はどこまでか

ここまでの場面を突き合わせると、境目がはっきりしてきます。協会が持っているのは、試験の順番を決めて合格者に念を渡す仕組みだ。

その外側では、ズシが弟子として教わり、キルアが失格のあとに教わり、クラピカが講習を開いた。協会が念の指導そのものを制限した場面は描かれていません。ハンター十ヶ条にも、教えることを規制する条文は入っていない。

渡し方も1つではない。ウイングのように教える形もあれば、モレナのように能力で伝える形もあります。精孔(しょうこう)をこじ開けて念に目覚めさせられるのは念能力者だけだ。ただ、描かれている例では渡し方はどれも本人が選んでいます。

東ゴルトーでは、蟻が国民に念で攻撃を加えて目覚めさせ、兵にしようとしました。選別と呼ばれる計画で、国ぐるみの規模だ。ただし選別は行われないまま終わっています(体制の中身は → 東ゴルトーで蟻が新しく作ったものは2つだけ)。この規模でも、渡すと決めたのは蟻の側だ。

受け取る側にどう届くかは、また別の話になります(→ 念を知らない相手に念は効くのか)。

まとめ|念能力の秘密はどこで保たれているのか

  • 一般人に念が知られていないという通説の前半は、原作と一致する
  • ハンター試験の本試験に念は出てこない。合格したあとの段階で身につける流れになっている
  • ウイングはゴンの裏試験の試験官を務めながら、合格者ではないズシも、失格したキルアも教えている
  • 王位継承戦では、クラピカが王子の関係者を集めて講習を開き、モレナは能力で念を伝えた
  • 協会が押さえているのは合格者の入り口までで、その先は渡す側が決めている

秘密が保たれているのは、規則が強いからではなさそうです。渡せる人が限られていて、その人たちが相手を選んでいる。

同じ師匠が試験の内と外で教えていた。協会の範囲がどこまでかは、この一点にいちばんよく出ています。

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