奪う人差し指の鎖で奪った能力はクラピカが使わない|行き先は他人の手

奪う人差し指の鎖(スチールチェーン)が本編で能力を奪い、その能力が出てくる場面は4つあります。そのうちクラピカ本人が奪った能力を使った場面は、確認できる範囲では0。

4つの内訳は、相手から取り上げて止めた場面が2つ、他人に貸して使わせた場面が2つです。相手の念を奪う鎖なのに、奪った力はクラピカの武器になっていない。この鎖は、クラピカが自分で戦うためではなく、力を人から人へ移すために置かれているのではないか。

※王位継承戦編(35巻〜37巻)のクラピカの場面に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

奪う人差し指の鎖とは|相手の念を奪って、別の人へ移せる鎖

クラピカが右手の5本の指から出す鎖のうち、人差し指の1本です。5本の名前と指の対応は次のとおり。

  • 親指: 癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)
  • 人差し指: 奪う人差し指の鎖(スチールチェーン)
  • 中指: 束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)
  • 薬指: 導く薬指の鎖(ダウジングチェーン)
  • 小指: 律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)

ほかの4本はヨークシン編までに中身が出ています。人差し指だけは、35巻の王位継承戦編で初めて中身が明かされた。

できることは、鎖を刺した相手のオーラを吸い、その念能力を奪うこと。奪った能力はイルカの姿をした念獣に収まり、念獣がその能力の詳細を解析してクラピカに伝えます。

この鎖で奪った能力は、別の人へ貸すこともできる。そして貸している間は、絶対時間(エンペラータイム)が止まりません。絶対時間は1秒につき寿命1時間を払う能力です。能力を貸しているだけで、クラピカの寿命は減り続けることになる。各指の鎖の全体像はクラピカの念能力は具現化系(緋の眼で特質系)|5本の鎖と絶対時間の二段構えで整理しています。

奪う人差し指の鎖で奪った能力が出てくる4つの場面

奪う人差し指の鎖で奪った能力が、誰の手でどう使われたかを場面ごとに分けます。

話数 奪った相手 奪った能力 使った人 向き
No.361 サイールド 裏窓(リトルアイ) なし 止める
No.364 ビンセント 虚空拳(エアブロウ) なし 止める
No.364〜369 サイールド 裏窓(リトルアイ) オイト王妃 貸す
No.388 ビル 球根(ハルジオン) マオールら受講者 貸す

確認できた4つの場面です。裏窓は、サイールドから奪った場面と、オイトへ貸した場面の2回に出てきます。「使った人」の欄に、クラピカの名前は1度も入りません。

No.361 のサイールドは、念獣に操られて仲間を殺した協専ハンターでした。クラピカはこの鎖でサイールドのオーラを吸って絶にし、操っていた念獣を引きずり出しています。奪った裏窓は、この時点ではイルカの念獣に収まっただけ。

No.364 のビンセントは、虚空拳を撃とうとしたところでオーラを吸われ、技は不発に終わりました。そのまま拘束されています。奪った虚空拳がその後どう使われたかは、描かれていません。

裏窓での偵察は、クラピカが使ったと言えるか

4つのうち、クラピカ本人が使ったように見える場面が1つあります。裏窓(リトルアイ)での偵察。王子たちの部屋を探った能力なので、クラピカ自身が使ったようにも見える。

場面を見ると、偵察で能力を動かしていたのはオイト王妃でした。クラピカは No.364 で、サイールドから奪った裏窓をオイトへ移すと告げている。No.367 でゴキブリを捕まえて操ったのも、No.368 で部屋を見て回ったのも、オイトの側。

ただし、払っていたのはクラピカです。貸している間は絶対時間が続き、クラピカは約3時間で限界を迎えて No.368 で倒れた。倒れたあとも約9時間、絶対時間は切れていない。

止まったのは No.369。偵察に使っていた虫が食べられ、裏窓が強制的に解けたときでした。起きていた約3時間と、倒れていた約9時間で計12時間。1秒で寿命1時間の換算なので、偵察1回ぶんの寿命は約5年になる。計算の中身はエンペラータイム(絶対時間)の代償は寿命|クラピカはあと何年生きられるか計算で詳しく追っています。

使ったのはオイト、払ったのはクラピカ。この場面は例外ではなく、「貸す」の側に入ります。

止める2つと貸す2つは、どれも奪った力をクラピカが振るわない使い方

俺が気になったのは、奪った相手が敵とは限らないことです。

  • サイールド: ワブル王子の側に雇われた協専ハンター。念獣に操られて仲間を殺した
  • ビンセント: 第1王子ベンジャミンの私設兵。ワブルの部屋に送り込まれた側
  • ビル: クラピカと同じく、ワブル王子の護衛についている念能力者

操られた仲間、送り込まれた兵、自分の側の護衛。奪った相手はばらばらです。敵から力をそぐための鎖なら、味方のビルから奪う理由はありません。この鎖は、誰から奪うかより、奪った力をどこへ置くかで使われている。

止める2つの場面では、鎖はその場で危ない力を取り上げて、部屋の中で使えなくしています。奪った能力をクラピカが振るう必要はなかった。取り上げた時点で、鎖の役割は済んでいます。

貸す2つの場面では、渡した先もばらばらでした。裏窓は、クラピカが守る側のオイト王妃へ。戦う力を持たないオイトは、偵察する目を手に入れた。球根は、ツベッパ王子の私設兵マオールへ。講習に来ていた別の陣営の兵です。

No.388 の講習で、クラピカは奪った球根を受講者のマオールらに貸しました。借りた側の精孔(しょうこう)が開き、少なくとも3人が念を使える状態になったとされています。

奪う相手も渡す先も違うのに、4つとも、奪った能力をクラピカ本人は振るっていません。

ビルの能力の中身はビルの念能力・球根(ハルジオン)|効くのは自分の体の外側、講習の進め方はクラピカの念講習|系統が分からないまま念を持たせているで扱っています。

冨樫はなぜクラピカに奪う鎖を持たせたのか

4つの場面を通すと、1つの仮説が立ちます。冨樫が奪う人差し指の鎖を明かしたのは、王位継承戦編でした。クラピカを「自分で戦う人」から「力を配る人」へ移すためではないか。

根拠は2つあります。1つは、王位継承戦のクラピカがワブル王子の護衛のかたわら、念講習の講師や捜査の取りまとめを担っていること。船の上で求められているのは、1人の強さより、部屋を守る人の数と目の数です。奪う鎖は、その数を足す道具になっている。

もう1つは、貸すたびに寿命が減ること。クラピカが自分で使う能力なら、使う時間を自分で決められます。貸した能力は、借りた側が使い終えるまで止められない。No.368 の昏倒は、そのずれがそのまま寿命に出た場面でした。

同じ「奪う」能力でも、クロロの盗賊の極意(スキルハンター)は、盗んだ能力を自分で使って戦う形です。クラピカの鎖は、奪った力を自分の戦いに足すより、ほかの人の手に渡す側で描かれている。奪う・借りる・与える能力の違いは念能力を奪う・借りる・与える|移したあと持ち主に何が残るかで比べています。

確認できる4つの場面で、クラピカは奪った力を一度も自分のために使っていません。奪った力は、相手から取り上げて止めるか、ほかの人の手に渡すかのどちらかで終わっています。

まとめ|奪う人差し指の鎖で奪った力の行き先

  • 奪う人差し指の鎖(スチールチェーン)は、相手のオーラを吸って念能力を奪い、別の人へ貸せる鎖
  • 奪った能力が出てくる4つの場面は、止めるが2つ(サイールド・ビンセント)、貸すが2つ(オイト・マオール)
  • 確認できる4つの場面では、奪った能力をクラピカ本人は使っていない。裏窓の偵察も、動かしたのはオイトで、寿命を払ったのはクラピカ
  • 奪った相手は敵・操られた仲間・味方の護衛とばらばらで、共通するのは奪った力をクラピカが振るわないこと
  • 奪う人差し指の鎖は、クラピカを自分で戦う人から、奪った力をほかの人へ配る人へ移す鎖として描かれている

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