自分で学んで念を覚えた人物は、原作に出てきません。師の名前が分からない人ならいる。ただしそれは、入り口の場面が描かれなかったというだけの話です。
独学として名前が挙がるのはレオリオ、ネオン=ノストラード、マチの3人。この3人も中身が3つとも違う。教わらなかった事情も、そのあと進んだ先も重ならない。
まず3人を確かめて、そのうえで入り口が描かれた人たちと比べていきます。
※天空闘技場編・ヨークシン編・キメラアント編・幻影旅団の過去編・王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
独学と呼ばれている3人を1人ずつ確かめる
レオリオ|師の名前が最後まで出てこない
レオリオの修行の場面は、原作にない。ヨークシン編でゴンたちと再会したとき、本人がもう覚えたと言う。読者に示される入り口はこの一言だけです。
しかもその時点で使えるのは纏だけ。絶・練・発があることをゴンから聞いて驚いています(→ 絶・纏・練・発はどう違う?)。
師が誰かは作中で描かれない。ファンの間にある説は3つ。
- ヒソカの殺気で強制的に開いたという読み
- 医療系の念として自然に身についたという読み
- 独学で開花したという読み
どれかに決まってはいない(→ レオリオの念能力は”医者の念”)。レオリオは独学が確かめられた人物ではない。入り口が省かれただけの人です。
ネオン|自分の力が念だと分からないまま使っていた
ネオン=ノストラードには師がいません。修行の場面もない。自分の能力が念だという自覚さえ、持たないまま使っていた(→ 天使の自動筆記は的中率100%?)。
描かれているのは天使の自動筆記ひとつだけ。念を覚える工程も、四大行を使う場面も出てこない。能力だけが単独で働き続けている状態です。
学んだ結果ではないので、これも独学とは呼べない。
マチ|開ける場面を通らずに、教わる立場になった
38巻 No.397「結成③」。幻影旅団の過去に、レンコという念能力者が登場します。マチはこのとき、レンコのオーラが見えている状態で出てくる(→ マチの念能力”念糸縫合”は治療ではない)。
マチが求めていたのは念ではありません。目当てはエンバーミング(遺体の保存と修復の処置)。
技術を習いに行ったところ、レンコはそれを技術ではなく特殊能力だと返す。そして代わりに、マチの素質を見つけます。
教わる立場になったのはここから。独学どころか、3人のなかで唯一、師が付いた人物でした。
入り口が描かれた3人を同じ基準で比べる
3人のうち、念を覚える手前の場面を持っているのはマチだけ。入り口が原作に描かれた3組として、ゴンとキルア・ズシ・マチを同じ基準で比べます。
| 基準 | ゴンとキルア | ズシ | マチ |
|---|---|---|---|
| 精孔を開けたのは誰か | ウイング | 本人の修行 | 開ける場面が描かれない |
| そのとき本人が求めていたもの | 200階で戦う資格 | 天空闘技場で鍛えること | エンバーミングの技術 |
| そのあと次を止めたのは誰か | ウイングが2か月の試合を禁じた | ウイングが練の使用を止めた | レンコが乳母衆の許可を条件にした |
開けた人も、欲しかったものも、止められ方も、3組ともばらばら。同じ念の入り口なのに重なるところがありません。
念は精孔(しょうこう)という閉じた門の内側で眠っている。そこが開くと、オーラを外へ出せるようになる。開け方は2つだと、6巻 No.048「ヒソカの条件」でウイングが説明しています。時間をかけてゆっくり起こすか、他人のオーラを送り込んで無理やり起こすか(→ 念能力は何歳から使えるのか)。
表の1行目は、その2つに1つを足した形です。開ける場面そのものが出てこない道が、原作にはもう1つある。
差を作っているのは、才能ではなく期限
3組の違いは、どこから来ているのか。
ゴンとキルアが通ったのは、後者の無理やり起こす道。作中で外法と呼ばれ、正しいやり方ではない扱いを受けている。ウイング自身、この手を使うのを快く思っていませんでした。
それでも使われた理由は、はっきり描かれている。天空闘技場200階の選手受付に締め切りが迫っていて、2人が自分から頼み込んだ。近道を通した原因は、時間が足りなかったこと。才能の話ではありません。
同じ門下でも、ズシが通ったのは正当法。数か月かけて基礎の修行を積み、その過程で精孔が開く道です(→ ズシの才能は10万人に1人)。
ズシには締め切りがありません。急ぐ事情がなかったので、近道を使う必要もなかった。
マチには、そもそも開ける工程が要りませんでした。見えていたものを見えていたまま持ち込んでいる。
原作で外法が使われた場面には、どちらも期限が先に置かれています。近道を見せる前に、急がなければならない理由を描いている。冨樫の配り方として、俺はここが丁寧だと思う。
クラピカの念講習も、期限が先にある場面だった
王位継承戦にも同じ形が出てくる。
クラピカはビルから借りた球根(ハルジオン)を使い、受講者の精孔を開けている。時間をかけずに、開ける工程だけを先に済ませる形。
そして系統の判定は、後回しのままだとされています(→ クラピカの念講習)。
船の中で王子の護衛を増やさなければならない、という期限がここにもある。近道が出てきたのは2つとも、時間に追われた場面でした。
生まれつき念を持っている者は、この工程ごと通っていません。キメラアントの王と護衛軍がそれにあたる。開ける工程が要るのは下位の蟻で、この4体は通らずに生まれてきた(→ 護衛軍3体はメルエムの何を補ったのか)。
ただし、そこで完成しているわけでもない。ユピーが身につけたのは、怒りを制御する形と、それに合った体の変え方。ナックルとの戦いを通してのことです。工程を通らずに生まれた者にも、伸びるところでは別の相手が要った、とも読めます。
まとめ|ハンターハンターに念の独学はあるのか
- 自分で学んで念を覚えた人物は原作に出てこない。独学と呼ばれる3人も中身がそろっていない
- レオリオは入り口が省かれた人物。師の名前は最後まで出ず、ファンの間にも説が3つある
- ネオンは自分の力が念だと分からないまま使っていた。描かれるのは天使の自動筆記ひとつだけ
- マチは開ける場面を通らずに、レンコから教わる立場になっている。3人で唯一、師が付いた人物
- 外法という近道が出てきた2つの場面には、どちらも期限が先に置かれている。受付の締め切りと、護衛の増員
教わらずに念を使っている人はいます。ただし、自分で学んで覚えた人は1人もいない。開ける工程を通らずに済んだか、通った場面が描かれなかったか。全員がこのどちらかです。
そして近道が出てきた場面では、急ぐ理由が先に描かれていました。
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