堅は最初2分、1か月後に30分。練は3時間続けても疲れなくなる。
念の鍛え方として数字になっているのは、こういう「どれだけ続くか」だ。もう1つ描かれるのが、同じオーラをどこへ回すかを変える課題。凝や流がそれにあたります。
オーラが何倍になった、という数字は出てこない。それでも量が跳ね上がる場面はあります。その出どころが修行ではないところに、この作品の作りが出ている。
※天空闘技場編・グリードアイランド編・キメラアント編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
念の修行は2つに寄っている|原作で描かれた特訓の中身
原作で描かれた修行を場面ごとに見ていくと、やらせていることが2つに寄ります。
| 分け方 | やること | 数字になっているもの |
|---|---|---|
| 長く保てるようにする | 堅を維持し続ける/練を続ける | 堅が2分から30分へ/練3時間 |
| 配り方を変える | 凝・流・系統別の課題 | 石を1000個割る |
伸びたと分かるのは、続けられる時間と、狙ったところへ回せるかどうか。「オーラが何倍になった」という書き方は出てきません。
念の設定を整理したファンサイトでは、別の分け方も見かけます。量を増やす修行と、流れを速くする修行の2つ。地道に鍛えれば量も増える、という話だ。ただし原作で数字になっているのは、持続と配り方です。
オーラを長く保てるようにする修行|堅2分から30分へ
まず堅の修行から。ビスケがゴンとキルアに課したものです。
15巻。ゴンが最初に維持できた堅は2分ほどでした。実力者と戦うには30分保てないと無理だ、とビスケが最低ラインを引く。そこから1か月かけて、30分に届いた。数字が出ているのは時間だけで、オーラが増えたとは書かれていません。
キメラアント編でも同じ形が続きます。20巻では、3時間の練を終えても疲れなくなったゴンとキルアが描かれる。ここでも測られているのは持続時間だ。修行の相手役を務めたのはナックルとシュートで、2人はモラウの弟子でした。
ビスケの桃色吐息は、30分の施術が8時間の睡眠に相当するとされる技。休息を短くできる手段が、修行の側に用意されている。回数を稼ぐ方向へ寄せた設計だと読めます。
オーラの配り方を変える修行|凝・流・系統別
もう一方は、同じオーラをどこへ回すかを変える課題だ。
15巻でビスケが修行段階に組み込むのが流。体の動きとオーラの動きを合わせる訓練で、こちらも量の話ではありません。凝のほうはもっと早く、14巻でビスケが2人に「凝」と指示を出す場面がある。どちらも、オーラをどこへ向けるかの側だ。技そのものの中身は当サイトの別記事で整理しているので、そちらへ譲ります(→ 念の応用技「凝・円・硬・流・隠」を整理)。
系統別の課題も出てきます。強化系のゴンには、石をオーラで纏って別の石を叩き割らせ、1000個を目標に置いた。
この課題は、2つの分け方をまたいでいる。オーラを込め続ける訓練でもあり、狙ったところへ集める訓練でもあるからだ。分け方のほうが粗い、というのが俺の見立てです。原作が「これは量の修行だ」と言っているわけではない。
2つに収まらない修行|感謝の正拳突き
またいでいる例がもう1つ。ネテロの感謝の正拳突きだ。
1日1万回。始めた頃は1回に5〜6秒かかり、突き終えるまで18時間以上かかったとされます。それが50歳を超える頃には1時間を切った。伸びたのは速さで、量ではない。
そもそもこれは念の修行として始まっていません。自分の肉体と武術の限界を感じ、武道への感謝にたどり着いた末の修行だ。念の話に入る前の場所から来ている。
2つに分けようとすると、正拳突きは分類の外へ落ちる。落ちること自体が、この修行の位置を示しています。
オーラの量が跳ね上がる場面は、どこから来ているか
量の跳ね上がりが数字や作中の評価ではっきり分かる場面は3つ。どれも修行の外にあります。
1つ目はゴンさん。制約と誓約で、体とオーラ量をまとめて引き上げた。差し出したものの重さで買っている(→ 制約と誓約は”念の交換レート”)。
2つ目はユピー。ナックルが底が見えないと言うほどのオーラ量を持つ相手です。ただし護衛軍は、生まれた時点で念が発現していたとされる。修行で積み上げた量ではない。
3つ目はメルエム。百式観音の零も通じないところまで行きます。その伸び方も修行ではなく、生まれ持った器と、食べた相手を取り込む性質から来ている(→ メルエムはなぜ最強で生まれた?)。
誓約か、生まれ持ったものか。跳ね上がりの出どころは、この2つに割れます。原作で追えるかぎり、修行の側から出てきた例は見当たらない。
冨樫が修行に持たせたのは、時間と配り方だった
修行の場面と、跳ね上がりの場面。この2つが別々の場所に置かれていることから、読めるものがあります。
修行の成果として数字になったのは、持続と配り方でした。ゴンが1か月で得たのは30分の堅で、ユピーに並ぶオーラが手に入ったとは書かれていない。だから修行の場面が増えても、上下の並びは同じまま残ります。
量が跳ね上がる場面には、誓約という入り口が用意されている。ただし代償が要るので、そちらへ寄るほど何かを失う作りだ。もう一方の生まれ持ったものは、そもそも選べません。
ウイングがゴンとキルアに念を教えたときも、順番を崩さずに纏から入りました(→ ウイングが最初に教えたのは纏)。あの指導も、量を先に渡す形にはなっていない。天空闘技場でズシが評価されたのは上達の早さで、こちらも伸びしろの話だった(→ ズシの才能は10万人に1人)。
修行では追いつけない相手を残すために、跳ね上がりだけが別の入り口へ回されていると読めます。
まとめ|念の修行が伸ばしているもの
- 原作で場面ごとに描かれた修行は、オーラを長く保てるようにするものと、配り方を変えるものに寄っている
- 数字になっているのは時間。堅は2分から1か月で30分へ、練は3時間続けても疲れなくなる、という形で書かれる
- 系統別の石1000個と、ネテロの感謝の正拳突きは2つに収まらない。正拳突きで伸びたのは速さで、そもそも武道の修行として始まっている
- 量の跳ね上がりがはっきり分かる3つは、どれも修行の外。ゴンさんは制約と誓約、ユピーとメルエムは生まれ持ったものから来ている
- ファンサイトの整理では、地道に量を増やす修行も挙がる。ただし数字になっているのは持続と配り方のほうだ
修行を積んだぶんだけ強くなる話なら、1か月こもれば追いつけることになる。原作が1か月に持たせたのは、30分の堅のほうでした。時間と配り方は修行で買えて、量の跳ね上がりは別の入り口に置かれている。ゴンが最後に選んだのは、そちらだった。
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