レオリオはまだ大金を手にしていない|医者になるまでに払っているもの

レオリオが払っているのは、金ではなく時間だ。

医者になるために大金が要る、と本人が言ったのは1巻。それから39巻まで、まとまった額を手にする場面は出てきません。積み上がっていくのは、医者になるまでの年数。

すでに差し出したものと、まだ受け取っていないもの。この2つで、この人物の立ち位置は説明が付く。

※ハンター試験編・ヨークシン編・会長選挙編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

レオリオが医者を目指す理由は、1巻で語られた過去にある

金が目的だと口にする場面は、ハンター試験の序盤に複数あります。ただし、理由が伏せられていたわけではない。

1巻 No.7「それぞれの理由」で、レオリオ本人が全部つなげて話しています。友人が死んだ。決して治らない病気ではなかった。そして問題は、法外な手術代。だから医者になろうと思い、その医者になるには大金が要ると知る。

金は目的ではない。医者になるための条件として、最初から置かれている。読者はこの順番を1巻で受け取っている。

レオリオの友人「ピエトロ」は、原作に出てこない名前

この友人を「ピエトロ」と呼ぶ紹介をよく見かけます。ただしこの名前は1999年版アニメで付けられたもので、原作の紙面には出てきません。

原作から取れるのは、名前のない友人・治る病気・法外な手術代の3つ。削がれているぶん、手術代という1点だけが残る作りになっている。

レオリオが差し出しているものと、得ようとしているもの

渡すものと受け取るものを並べると、そこに何年ぶんもの差があります。

場面 そこで差し出したもの そこで受け取ったもの
ハンター試験 受験にかけた時間と危険 ハンターライセンス
13巻の別れ 医者になるまでに要る年数 まだ何も
会長選挙のあと 大学に通う時間 十二支んの医療班という立場

まだ差し出せていないものが1つある。医者になるための大金だ。本人が最初に挙げた条件そのものが、いまだに用意できていない。

ハンターライセンスを取ったのは、その条件を早く満たすための手段だった。ところが、そのライセンスが金に換わる場面は描かれていません。

大金が入る候補は3か所あった

まとまった額が手に入るとしたら、候補は3か所。どれも金にはなっていません。

1つ目はハンター試験の合格後。ライセンスそのものには価値があります。ただし合格した7人のうち、免許を売った者はいない。差し出した受験の時間に対して、換金という形の見返りは受け取っていないことになります(→ ハンター試験の合格者7人が向かった先)。

2つ目はヨークシンの競売。レオリオはグリードアイランドを狙いに行きます。ただし最低落札価格の89億ジェニーには届かず、落札できないまま終わる。ジェニーは円の9割ほどの通貨なので、この額の大きさはそのまま伝わります(→ ジェニーは円の9割)。ここで差し出したのは競売へ出向いた時間で、受け取ったものはない。

3つ目は会長選挙のあと。ここで描かれたのは身分の扱いで、報酬の話は出てきません。

13巻の別れで、先に差し出されたもの

先に形になっているのは、支払いだ。13巻。ヨークシンが終わったところで、レオリオはゴンたちと別れます。次に会うのは医者になってから、という区切りだ。

医者になるまでに要る年数が、ここで見込みとして先に差し出された。そこからレオリオが本編に戻ってくるのは31巻。会長選挙の場です。

会長選挙のレオリオは、まだ医大生だった

会長選挙は会員の互選で進みます。自分から名乗り出る仕組みではない。レオリオはジンを殴った一件から票を集め、終盤には首位に立つところまで伸びました。

ただし当時の身分は医大生。会長にいちばん近いところまで来ていながら、資格はまだ取り切っていなかった(→ 会長選挙が9回続いた理由)。

十二支んの医療班に入ることを条件に、大学は休学の扱いを認めます。実務が学位の評価につながる形なので、単純に後ろへ下がったわけではない。それでも医者になる日そのものは、また先へ動いた。

時間で払う設計が、レオリオに与えているもの

支払いが終わらないことは、この人物に何を残しているのか。まず、目標が動きません。

ゴンは念が使えなくなり、キルアはアルカと旅に出て、クラピカは奪われたものを取り戻す途中にいる。そのなかでレオリオだけは、1巻で言ったことをそのまま続けている。受け取っていないからこそ、降りる理由も出てこない。

念の側はどうか。師匠も修行も描かれないまま、レオリオは発まで届いています。その目標は能力の形にも出ている(→ レオリオの念能力は”医者の念”)。

原作に「念の時間が足りない」と書かれた場面はありません。ただ、勉強と実務が先にある人物として描かれている以上、戦いへ回せる時間は多くないはずだ。ここは俺の見立てになります。

念の世界では、代償はたいてい能力の中に組み込まれます。制約を課すほど出力が上がる、という交換だ。レオリオの支払いは、その外側にある。治す力を念で得ようとすると代償が大きくなる世界で、資格という別の手段を選んだ人物でもあります(→ ハンターハンターに回復役が少ないわけ)。

支払いが終わっていないかぎり、その決着を描く場面はまだ残っている。この未払いは切らずに置かれているのだろう、と俺は読んでいます。

まとめ|レオリオが払い続けているもの

  • 金が目的だと口にする場面はハンター試験にあるが、理由は1巻 No.7で本人が語っている。友人の死・治る病気・法外な手術代・だから医者・そのために大金、という順番
  • 友人を「ピエトロ」と呼ぶ名前は1999年版アニメのもので、原作の紙面には出てこない
  • まとまった額が入る候補は3か所あったが、免許は売られず、グリードアイランドは89億ジェニーに届かず、選挙のあとに描かれたのは報酬ではなかった
  • 差し出した側は積み上がっている。受験の時間、13巻で見込んだ年数、そして大学に通う時間
  • 十二支んの医療班に入ることを条件に大学は休学の扱いになり、医者になる日はまた先へ動いた

金が欲しいと叫んだ人物が、39巻ぶんの話を経てもまとまった額を手にしていない。払い続けているのは最初から時間。受け取りの場面は、まだ描かれていません。払った分が返ってくるとしたら、それはレオリオが医師免許を手にする場面だ。

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