レオリオの念能力は”医者の念”|放出系リモートパンチの正体

正直に言うと、俺も昔はレオリオを「念能力では戦力外」だと思っていました。仲間内ではいちばん地味で、戦闘の見せ場も少ない。そう見えます。

でも会長選挙編を読み直すと、評価が変わります。独学で念の発まで身につけ、新人ながらあのジンを一撃でとらえている。しかもその能力は、戦うために作られたものではない。打診や触診といった医者の技を、念に落とし込んだものです。「弱い」のではなく、測る物差しが違うだけ。

レオリオに付く2つの見方を、会長選挙編の描写から読み直してみます。

※会長選挙編の場面に触れます。単行本既刊の内容を前提にしているので、未読の方はご注意ください。

通説①「レオリオは念能力者として戦力外」── 独学でジンを殴った新人を、そう呼べるか

まず、いちばん根強い見方から。レオリオはまとめ記事やSNSで「主要メンバーの中ではいちばん弱い」「戦闘では役に立たないギャグ枠」と語られがちです。ゴンやクラピカ、キルアの派手な戦いに比べて、レオリオの戦闘描写が少ないのは確かです。

ここで原作の歩みを並べてみます。

  • レオリオは念を独学で覚え始めた。ヨークシンシティの時点では「纏」しか使えていない
  • ところが会長選挙編では、「発」まで習得していた
  • その発で、離れた位置から拳のオーラを飛ばし、天才ハンターのジンを殴った

念を本格的に習い始めてから、そう長くはありません。その短い間に、自力で発の段階まで到達している。これは才能と地力がなければ難しいはずです。

しかも殴った相手がジンというのが効いています。世界でも指折りの実力者を、念を覚えたての新人がとらえた。お遊びでは起きない一撃です。

だから「戦力外」と言い切るのは、原作と食い違います。たしかにレオリオは、ゴンたちのような実戦の場数や戦闘の出力ではまだ一線級ではありません。けれどそれは「弱い」のとは違う。戦いの経験が浅いだけで、念能力者としての素質はむしろ高い部類だと考えられます。

オーラを遠くへ飛ばすこの戦い方は、放出系の使い方そのもの。放出系がどんな性格の系統かは、念能力の六系統で整理しています。短気でまっすぐなレオリオの気質とも、よく噛み合います。

通説②「レオリオの念は、ただ拳を飛ばすだけの単純な放出系」

次に多いのが、「離れた相手を殴るだけの、素朴な放出系」という見方です。オーラを飛ばしてパンチする、ひねりのないシンプルな能力、という理解ですね。

たしかに作中でレオリオがやってみせたのは、地面を伝わせるように拳のオーラを飛ばして殴る一手だけ。この技に作中で名前はついておらず、ファンのあいだで「リモートパンチ」と呼ばれています。見た目だけなら、確かに単純です。

ただ、その場でジンが面白い分析をしています。ジンはこの能力を「医者志望のレオリオらしい」と評し、打診と触診を応用したような独創的なものだと見ていました。指で体を叩いて中の様子を探り、手で触れて患部を確かめる。あの医者の所作を、離れた位置へオーラを飛ばす念に変えている、という読みです。

この見立てに沿うと、リモートパンチは「パンチ」だけの能力ではなくなります。離れた対象の内側を、外から探ったり処置したりする方向へ広がっていく。ジンは将来的に、メスを入れにくい場所の腫瘍や血栓を、体の外から壊せるようになるかもしれない、とまで踏み込んでいました。

オーラを飛ばす使い手は、念能力者の中でも珍しくありません。ただ、その多くは「遠くの相手を撃つ」ための飛ばし方です。レオリオの場合は、飛ばした先で診て、手当てすることまで見据えている。同じ飛ばす力でも、向いている先が攻撃ではなく医療になっている。ここが、ただのパンチと大きく違う点です。ジンが独創的だと評したのも、この向き先の違いを見抜いたからでしょう。

注意したいのは、ここが今のところジンの見立てだという点です。腫瘍や血栓を壊す医療応用は、まだ作中で実際に披露されてはいません。それでも、レオリオの能力の骨組みが「殴るための技」ではなく「体の中を扱う医者の技」だという方向性は、作中の分析として示されています。

だから「ただ拳を飛ばすだけ」という理解は、半分しか当たっていません。オーラを飛ばす技なので放出系の使い方ではあるけれど、その中身は医療技術の応用という、かなり独創的なものです。

ちなみにレオリオの系統は、作中でははっきり名指しされていません。2023年の「冨樫義博展 -PUZZLE-」で公開された設定資料では、放出系と強化系の中間で、やや強化系寄りと示されています。一般に「放出系」と紹介されることが多いのは、この飛ばす技の印象が強いからでしょう。

レオリオのリモートパンチが”医者の念”である理由

戦力外という見方も、ただのパンチという見方も外れました。残るレオリオの念の輪郭を、ここで一つにまとめます。

レオリオの念は、戦うために作られたものではありません。体の外から内側を探り、手当てする——医者の発想を、そのまま念の形にしたものです。

  • 独学で、短い期間に発の段階まで到達した地力がある
  • 作中の使い道は離れた拳の一手だけだが、骨子は打診・触診を応用した医療技術
  • 将来は体内の患部を外から処置する方向に伸びると、ジンが見立てている

戦闘の物差しで測ると、レオリオの念は地味で未完成に映ります。でもそれは、もともと医者の発想で組み立てられた能力だからです。医者になるという本人の目標が、能力の形そのものに出ている。ここがレオリオの面白さだと俺は思っています。

会長選挙編のあと、レオリオはクラピカとともに、ハンター協会の精鋭である十二支んに加わりました。そして暗黒大陸を目指す航海に関わっていきます。医者の念を持つ男が、未知の大陸で何を手当てするのか。伸びしろという意味では、主要メンバーの中でも未知数の部類です。

同じくハンター試験から念を覚えていったゴンと比べると、二人の育ち方の違いがはっきりします。ゴンの能力についてはゴンの念能力で書いています。

まとめ

  • 「レオリオは念能力者として戦力外」は原作と食い違う。独学で発まで習得し、新人ながら会長選挙でジンを殴っている。実戦経験は浅いが素質は高い部類
  • 「ただ拳を飛ばすだけの単純な放出系」も半分だけ。技名は作中未呼称で、ファンが「リモートパンチ」と呼ぶこの能力は、ジンいわく打診・触診を応用した独創的なもの
  • 体内の腫瘍や血栓を外から壊す医療応用は、今はまだジンの見立て。作中で実証されてはいない
  • レオリオの念能力の正体は「医者の念」。戦うためでなく、体の外から内側を扱う医者の発想で設計されている。だから戦闘の物差しでは測りきれない

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