ゾルディック家の兄弟|旅団の4番と11番に座ったのは同じ家の子だった

幻影旅団の4番はカルト。11番はイルミ。どちらもゾルディック家の子どもです。

残る三男のキルアは家を出て、プロハンターになった。継ぐか出るかの二択で描かれた子が、この家には1人もいません。

暗殺一家の子どもに、冨樫は家業とは別の居場所を持たせたのではないか。そう読んで、場面ごとに確かめていきます。

※ゾルディック家編からヨークシン編・会長選挙編・王位継承戦編まで触れます。

ゾルディック家の兄弟は5人

まず家族構成から。シルバとキキョウの子は5人です。長男イルミ、次男ミルキ、三男キルア、第四子アルカ、第五子カルト。

このうち、家の外に自分の席を持つと描かれているのがイルミ・キルア・カルトの3人。この3人を追います。

一族としての設計は念の系統から読み解けます(→ ゾルディック家の念能力まとめ)。能力の話はそちらに譲って、ここでは身の置き場を見ていく。

キルアは自分の意思で家を出た

いちばん分かりやすいのがキルアだ。家業を継ぐ立場にいながら、自分から出ていった。

その出方も普通ではない。母と次男を刺して家出をしている。そのあとハンター試験を受け、ゴンと旅を続けます。

287期では失格になったものの、翌年の288期で唯一の合格者になっている。キルアが手にしたのは、ライセンスを持つプロハンターという肩書きです。

イルミに刺されていた針が抜けたあとも、家には戻っていません。勝てない相手からは引くという判断も、針の前後で変わらなかった(→ キルアはイルミの針が抜けても逃げる)。

出ていったのは操られていたからでも、その反動でもない。本人が選んだ場所に、今もいる。

カルトは幻影旅団の4番に座った

第五子のカルトは、家を出たとは描かれていません。それでいて幻影旅団に入り、4番の席に座っている。

理由は兄を取り戻すためだと語られる。ただし、その兄が誰かまでは明かされていません。個人的な目的で外の組織に入った、というところまでが原作の範囲だ。

この4番は、渡り方が特殊な席でした。ヒソカの前任者からヒソカへ、そしてカルトへ。しかもヒソカの入団は偽装で、蜘蛛の刺青も偽物だった(→ 幻影旅団の団員ナンバー一覧)。

家の子でありながら、外の組織にも名前がある。カルトはその両方に身を置いています。

イルミの11番は、ヒソカからの依頼だった

3人目のイルミが、いちばん引っかかる。

長男で、家業の依頼を受け続ける側です。キルアに針を刺し、暗殺者の道から外れないよう管理してきた人物。家の中心にいると言っていい。

そのイルミが、幻影旅団の11番を持っている。もともとウボォーギンの番号でした。腕力で押し切る戦闘要員の席に、針を使う暗殺者が座っている。

入り方も変わっている。加入はヒソカの依頼によるもので、標的は依頼者のヒソカ自身だとされる。外の組織へ入ること自体が、依頼の一つとして扱われている。

思い出したいのが8番の前任者だ。旅団の団員を1人殺す仕事をシルバが請けたことがあり、それが8番の前任者だったとされます。原作が番号まで明示したわけではありません。それでも、依頼で団員を消したことのある一族から、2人が旅団の席に入っていることになる(→ 幻影旅団の掟は内向き、流星街は外向き)。

3人の身の置き場を並べる

3人の動き方を重ねると、同じ形が出てきます。ゾルディック家という所属だけで動いている子がいない。

誰が 家との関係 外の席
イルミ 依頼を受け続ける中心 幻影旅団の11番
キルア 自分の意思で出た 288期合格のプロハンター
カルト 家を出たとは描かれない 幻影旅団の4番

継ぐか出るかという分け方では説明できません。3人とも、家の外に別の席を持っている。

しかも外の席のうち2つは、この一族が依頼で人を消した相手の組織でした。冨樫はこの家を、外と行き来する形で置いたのではないか。

外に席があるから、この家は物語に戻ってくる

この読みが正しいかどうかは、この形が物語で何をしているかを見れば分かる。

暗殺一家という設定は、閉じた家として描くこともできたはずです。山にこもり、依頼だけを受ける。実際、家の立地も試しの門も、外を拒む作りになっている(→ ゾルディック家の試しの門は何トンか)。

それでも子どもたちは外に出た。キルアが出たからゴンの旅が続いた。カルトとイルミが座ったから旅団の席が埋まる。会長選挙にも継承戦にも、この家の人間が絡んでくる。

依頼料が最後まで伏せられているのは、この一家を金で買える相手にしないためだと読んでいます(→ ゾルディック家の暗殺依頼料は原作に出てこない)。内側が描かれないぶん、読者が見るのは外に出た子どもの側になる。

第四子のアルカは、ゴンを治したあとキルアと旅に出ています。こちらは同行で、外に席を持ったわけではない。買い手として外へ出るのはミルキの担当です(→ ミルキの念能力が本編で描かれないのはなぜか)。役目は違っても、家の中だけで完結している子が見当たりません。

家を出る話として読むと、この一家は説明できない

独立を扱う物語では、出た側が正しいものとして描かれることが多い。ゾルディック家はそうなっていません。出たキルアも、残ったイルミも、どちらも物語の中心近くで動き続けている。

俺は、この一家が物語の各所へ人を送り込むための家として設計されたのだと考えています。暗殺という職業は、依頼さえあればどこへでも行ける。その性質を、子どもの居場所で広げた。

門を開ける重さで一族の格を見せておきながら、実際の子どもたちは外へ散っている。閉じた家の見た目と、開いた使われ方。この差が、ゾルディック家が編をまたいで出てくる理由なのだろう。

まとめ|ゾルディック家の兄弟はどこに席を持つのか

  • シルバとキキョウの子は5人。家の外に自分の席を持つと描かれているのはイルミ・キルア・カルトの3人
  • キルアは母と次男を刺して家出し、288期に合格してプロハンターになった。針が抜けたあとも家に戻っていない
  • カルトは家を出たとは描かれないまま幻影旅団の4番に座った。理由は兄を取り戻すためとされ、誰かまでは明かされていない
  • イルミは家の中心にいながら11番を引き継いだ。加入はヒソカの依頼によるもので、標的は依頼者のヒソカ自身だとされる
  • 旅団の席2つは、この一族が依頼で団員を消したことのある組織のもの

継ぐか出るかの二択で描かれた子は見当たりませんでした。外に席を持たせることのほうが、この一家の設計だったと読めます。

閉じた山の中の家に見えて、子どもたちは方々にいる。だからこの一家は、編が変わるたびに別の場所から出てくるのだと思う。

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