キメラアントの師団長ザザンは、女王の死後に自分で「女王」を名乗った個体です。そして最後には、配下を増やすための尻尾を引きちぎり、自分に注射しています。
同じ群れの頂点だった女王とメルエムは、その座に就くために自分の体を差し出していません。3体を比べていちばん差が出るのは、強さではなく体の使い方のほうだ。
※キメラアント編の展開に触れます。
ザザンの選択から、比べる基準を決める
ザザンがしたことを順に分けると、比べるべきところが見えてくる。頂点を名乗り、配下を集め、最後に自分の体へ手を入れた。
そこで基準はこの4つにします。配下に頂点として従われたか。その座をどう得たか。群れをどう増やすか。自分の体をどう使ったか。
戦闘力は入れていません。ザザンとフェイタンの決着は フェイタンの念能力は”痛みが燃料” で扱っています。
ザザンの念能力は、人を刺して配下に変える
ザザンはサソリ型のキメラアントで、女王が産んだ師団長の1体。念能力は尻尾の針を使う審美的転生注射(クィーンショット)です。刺した相手は姿を変えられ、ザザンの配下になる。
拠点にしたのは流星街だった。そこの住民を刺して、自分の兵に変えています。群れを一から産むのではなく、すでにいる人間を作り変えて数をそろえた形だ。
念系統は作中で名指しされていません。ファンの間では操作系説と放出系説が語られていますが、原作で明かされてはいない。
ザザン・女王・メルエムを同じ基準で比較する
| 基準 | キメラアントの女王 | メルエム | ザザン |
|---|---|---|---|
| 配下に頂点として従われたか | 従われた | 従われた | 従われた |
| その座をどう得たか | 生まれつき | 生まれつき | 自分で名乗った |
| 群れをどう増やすか | 摂食交配で産む | 作中では増やしていない | 人を刺して変える |
| 自分の体をどう使ったか | 兵を産むために使った | 使わずに済んだ | 尾を引きちぎって打った |
そろったのは、配下に従われたかどうかの1つだけ。3体とも、群れを動かす側に立っています。
残りは全部分かれた。とくに開いたのが、座の得方と体の使い方です。
なお女王の頂点には期限があります。群れの序列では王が最上位とされ、女王が上にいるのは王が生まれるまでだ。
ザザンだけが、配下を増やす器官を自分に使った
女王は、群れを増やす機能を体に持っています。食べた生き物の特徴を次の世代に反映させる摂食交配で、兵を産んだ。頂点であることと群れを増やすことが、同じ体でつながっている。
メルエムは生まれた時点で最強だった。作中で配下は増やしていない。ただ、王には放浪して次の女王を産ませる役割があるとされます。なぜ最強で生まれたのかは メルエムはなぜ最強で生まれた? で書きました。
ザザンはここと違う。摂食交配で群れを増やすのは女王の役目で、師団長のザザンにその立場はない。だからすでにいる人間を刺して数にした。産めないザザンが群れを持つには、他人の体を変えるしかなかった。
そのうえで、最後にザザンが刺したのは自分でした。全身の皮膚の硬度が跳ね上がり、新しい尾も生えています。理性は保ったままの変身だったとされる。
引きちぎったのは、能力の要である尾そのものだ。人を配下に変えてきた器官を、そのまま自分ひとりの硬さに使っています。
生まれつき上にいた2体は、自分の体を差し出していない
メルエムは出産日を待たず、自分の意志で女王の腹を破って出てきました。女王はそこで繁殖する力を失い、瀕死のまま取り残されて死んでいる。最強の王が生まれた場面で傷を負ったのは、王ではなく女王のほうだった。
生まれつき上にいた2体は、その座に就くために自分の体へ手を入れていません。女王も、群れを増やす機能を持って生まれた側です。代償はいつも別の誰かが引き受けている。
ザザンには、引き受けてくれる相手がいなかった。名乗るのは自由でも、名乗るだけで体は変わりません。手元に残っていたのは自分の体だけだった。
変身のきっかけは怒りです。フェイタンが傘に仕込んだ刀で顔を斬られ、激昂した末の行動だった。
ただ、その怒りから出てきたのが「自分に針を打つ」だった。そこに、それまでの流れが出ています。他人を刺して数を増やしてきた個体が、最後に刺す相手を自分にした。俺は、あの変身をその延長にある一手として読んでいます。
王と女王を失ったあとの群れがどうなったかは キメラアントは絶滅していない で追いかけました。
まとめ|ザザンは自分の体を差し出した側
- ザザンは女王の死後に「女王」を自ら名乗った。生まれつき上にいた女王・メルエムとは、座の得方がそこで分かれる
- 審美的転生注射(クィーンショット)は、尻尾の針で刺した相手を配下に変える力。摂食交配で群れを増やせるのは女王だけなので、すでにいる人間を作り変えて数をそろえた
- 顔を斬られて激昂した末に、自分の尾を引きちぎって注射した。人を配下に変えてきた器官を、自分ひとりの硬さに使っている
- メルエムが最強で生まれた場面で傷を負ったのは女王のほう。生まれつき上にいた側は、自分の体を差し出していない
- 後から座を取りにいったザザンには、代わりに引き受ける相手がいなかった
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