ゾルディック家の念能力まとめ|暗殺術と系統で読む一族の設計

ゾルディック家の念能力は、ばらばらに見えて実は2つの方向に寄っています。遠くから確実に仕留める放出系と、相手や状況を思いどおりに動かす操作系。暗殺という仕事に必要な力が、一族の念にそのまま出ています。

ただ、この整理だけでは一家を説明しきれません。本編で能力がほとんど描かれないマハ、そして念の系統という枠の外側にいるナニカ(アルカ)。この2人をどう扱うかで、一族の念の見え方が変わります。俺は、ゾルディック家の念能力を「暗殺術に最適化された系統の集まり」と読んでいます。判明した範囲を整理してから、枠からはみ出す例外を掘り下げます。

※以下、ヨークシン編から王位継承編までの既刊の内容に触れます。未読の方はご注意ください。

ゾルディック家の念能力を「暗殺術×系統」で整理する

ゾルディック家は、殺しを仕事として割り切る暗殺の一族です。だから念能力も、強さを誇示するためではなく、確実に標的を仕留めるために振られています。

ここで使う整理の軸は2つ。一つは念の六系統(強化系・放出系・変化系・操作系・具現化系・特質系)。もう一つは、その系統が暗殺術のどの役割を担っているかです。系統の基礎は念能力の六系統とは?にまとめています。

注意したいのは、ゾルディック家で本編に系統を名指しされたメンバーがほとんどいないことです。多くは「冨樫義博展 -PUZZLE-」で公開された設定資料が出どころ。本編で描かれた事実とは出どころが違うので、分けて受け取るのが安全です。

ゾルディック家メンバーの念能力一覧

判明している範囲で、主要メンバーの念能力を並べます。系統の出どころ(本編か資料か)も合わせて示します。

メンバー 関係 系統 系統の出どころ 暗殺術での役割
ゼノ キルアの祖父 放出系 冨樫展の資料 龍を飛ばし広範囲を確実に潰す
シルバ キルアの父・現当主 放出系 冨樫展の資料 規格外の一撃で押し切る
イルミ 長男 操作系 冨樫展の資料 針で身を隠し、手駒や弟を動かす
ミルキ 第二子 本編は未描写 情報・機材まわりの裏方
キルア 第三子 変化系 本編で描写(電気) 電気で速く静かに仕留める
アルカ 第四子 系統の枠の外(後述) 暗殺術には組み込まれていない
カルト 第五子 操作系 冨樫展の資料 紙に紛れて忍び、情報を抜く

こうして並べると、放出系と操作系に寄っているのが分かります。ゼノとシルバが放出系、イルミとカルトが操作系。暗殺で言えば、放出系は「離れた標的を確実に仕留める」、操作系は「相手や状況を思いどおりに動かす」役割です。

キルアの変化系だけが少し系統が違って見えますが、電気を自分の体に流して速く動く戦い方は、結局「確実に仕留める」方向を向いています。系統名は違っても、暗殺術への寄せ方は一族で一貫しています。

放出系の2人|ゼノとシルバの「確実さ」

放出系のゼノとシルバは、親子で系統がそろっています。ただし二人とも、公式ガイド「ハンターズガイド」では変化系として紹介されており、放出系は冨樫展の資料で示されたほう。どちらも本編で名指しされた系統ではありません。

ゼノは龍を操る三つの技を持ち、一点を突く牙突から広範囲を潰す龍星群まで使い分けます。どれも「狙った標的を取り逃さない」確実さに向いた設計です。ゼノの念の狙いはゼノの念能力の記事で詳しく読み解いています。

一方のシルバは、作中で見せたのが巨大な念弾を投げる一撃だけ。技名すら付いていません。現当主でありながら能力がほとんど描かれない。この「描かれなさ」自体が、底を見せない当主という演出になっています。詳しくはシルバの念能力の記事へ。

同じ放出系でも、ゼノは「どう使うか」、シルバは「どれだけ出せるか」で描かれる。役割は同じでも見せ方は親子で正反対です。

操作系の2人|イルミとカルトの「思いどおりに動かす」

操作系のイルミとカルトは、攻めて勝つより、相手を動かしたり情報を抜いたりする方向で能力を使います。

イルミは針を刺した相手を手駒にできる操作系。ただ実際の使い道は、変装で身を隠したり、弟キルアに「格上から逃げろ」と刷り込んだりと、攻撃よりも保険や準備に寄っています。

カルトは紙吹雪を操る操作系で、資料では放出系寄りとされています。一枚では頼りない紙を束ねて硬い相手を切り、相手に貼って会話を盗み聞く。幻影旅団に潜り込んだ末っ子の潜入役に、この軽い紙がよく合っています。紙の能力の読み解きはカルトの念能力の記事にまとめました。

操作系の2人に共通するのは、正面からぶつからないことです。隠れて、紛れて、相手を動かす。暗殺一家の「確実に仕留めて確実に帰る」流儀に、操作系はよく噛み合います。

変化系のキルア|暗殺術に寄せた例外的な系統

キルアの変化系は、放出系・操作系に寄った一族の中では少数派です。

オーラを電気に変え、雷掌で高圧電流を放ち、神速で人間離れした速さを出す。系統は変化系でも、その使い方は「速く・静かに・確実に仕留める」暗殺術そのものに向いています。電気を選んだ理由はキルアの念能力の記事で掘り下げました。

系統がばらけても、暗殺術への最適化という一点では一族と同じ方向。キルアは系統の例外でありながら、設計思想の上では一族の正統です。

例外①マハ|強さは語られても能力は描かれない

ここからが、系統の整理だけでは説明できない例外です。一人目はマハ。

マハはゾルディック家の先祖にあたる長老格。その強さは、ゼノの口から語られるだけです。ゼノはネテロを「自分の祖父と殺し合って生き残った唯一の人間」と評していました。会長ネテロと渡り合った相手というだけで、規格外の実力が伝わります。

ところが、マハの念能力そのものは本編でほとんど描かれていません。系統も技も、本編では明かされないままです。ファンの間や一部の資料では強化系とする見方もありますが、本編で確定した情報ではないので、ここでは断定しません。

面白いのは、これがシルバの「描かれなさ」と同じ作りだという点です。冨樫は一族の最強格に、あえて具体的な能力を与えていない。強さの逸話だけを置いて、中身は伏せる。底が見えないからこそ、暗殺一家の格が保たれます。マハは系統で整理できない例外というより、「あえて整理させない」ために置かれた存在に見えます。

例外②ナニカ(アルカ)|念の系統という枠の外にいる力

二人目の例外はナニカ、つまりアルカに宿る力です。こちらはマハとは違う意味で枠の外にいます。

アルカはキルアのきょうだいで、その体にはナニカと呼ばれる別の存在が宿っています。ナニカの力は「おねだり」を叶えれば「お願い」を一つ叶える、という独特のルールで動きます。願いを叶える規模が大きいほど、次のおねだりも重くなる。叶えなければ、本人と周囲に死をもたらす。この等価交換の仕組みはナニカ(アルカ)のおねだりのルールで整理しています。

注目したいのは、ナニカの力が念の六系統で説明できないことです。修行で身につけた能力ではなく、オーラを操る技でもない。ゾルディック家の他のメンバーが暗殺術として系統を磨いてきたのに対し、ナニカの力はその枠組みの完全な外側にあります。

だからゾルディック家は、ナニカ(アルカ)を暗殺術に組み込んでいません。むしろ危険なものとして地下に隔離していました。系統で整理できる暗殺者たちと、系統で整理できないナニカ。同じ一族の中に、念の枠に収まる力と収まらない力が同居している。これがゾルディック家の念を見渡したときの、いちばん大きな引っかかりです。

2つの例外から見えるゾルディック家の念の設計

マハとナニカという2つの例外は、外れ方の向きが正反対です。

マハは系統の枠の中にいるはずなのに、中身が描かれない。あえて伏せられた強さです。ナニカは描かれているのに、系統の枠の外にいる。整理しようがない力です。一方は「整理させない」、もう一方は「整理できない」。

この2つを踏まえると、ゾルディック家の念の設計が見えてきます。判明しているメンバーは放出系・操作系・変化系を暗殺術に最適化して使い、最強格は底を伏せ、系統外の力は隔離する。系統で並べられる部分ときっちり並べられない部分の両方を抱えているのが、この一家の念能力です。

冨樫は一族をひとまとめの設定で済ませていません。暗殺術という共通の目的でそろえつつ、世代や立場ごとに系統や見せ方を変え、さらに整理できない例外まで置いている。だからゾルディック家は、系統表を一枚作って終わりにならない。表からはみ出す2人にこそ、一家の面白さが詰まっていると俺は読んでいます。

まとめ

  • ゾルディック家の念能力は、放出系(ゼノ・シルバ)と操作系(イルミ・カルト)に寄り、キルアの変化系も含めてどれも暗殺術に最適化されています。
  • ただし系統の多くは本編で名指しされず、冨樫義博展の資料が出どころ。本編の描写とは分けて受け取るのが安全です。
  • マハは強さの逸話だけが語られ、能力は本編でほぼ描かれない。シルバと同じく「底を伏せる」設計で、系統を断定できる情報はありません。
  • ナニカ(アルカ)の力は念の六系統で説明できず、暗殺術にも組み込まれていない。系統の枠の完全な外側にいる例外です。
  • 系統で並べられる部分と、整理できない2つの例外。その両方を抱えているのがゾルディック家の念の面白さだと俺は考えています。

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