高齢の念能力者のうち、実年齢が数字ではっきり分かるのはビスケひとり。57歳。しかもこの数字、本人が明かしたものではない。
ネテロもゼノも高齢とされ、最前線で戦い続ける。それでも年齢や衰えの出方は、3人で1つもそろっていません。
出したのが誰か、実力をどう見せたか。この2点で比べると、差の理由まで見えてきます。
※キメラアント編とグリードアイランド編の展開に触れます。
高齢の念能力者で、数字が出たのはビスケだけ
ビスケの実年齢が出るのは、グリードアイランド編です。相手はビノールト。切った髪を食べると、その持ち主の肉体の情報が分かる能力を持っていた。
読み取った結果が57歳。見た目は少女なので、数字を知ったビノールトのほうが戦慄していた。本人は隠していて、敵に抜き取られた形です。
ネテロとゼノには、この種の数字がない。ネテロについて出てくるのは、20年ほど前から周囲に約100歳と語っていた、という形だけ。本人の申告なので確定値ではない。
ゼノにいたっては、年齢を示す情報が本編に出てきません。よく見かける67歳という数字は、資料側で流通しているものです。
ネテロとゼノは、自分の側から出している
ビスケが抜き取られた側なら、あとの2人は差し出した側。ネテロは言葉で出しました。
キメラアント編で、モラウとノヴを前にした場面。全盛期の半分ほどならお前たちと同じくらいだ、という趣旨のことを口にする。自分の力が落ちたと、自分から申告した形です。
積み上げてきた強さが速さだったことを思えば、この申告はかなり重い(→ 感謝の正拳突きを分解する)。速さで押す型は、衰えがそのまま弱体化になる。
ゼノは言葉を使いません。着ている服に一日一殺、生涯現役といった文字が入っている。身につけたもので示す形です。衰えを話題にしない構えだと読める。
年齢は伏せたまま、現役であることだけを外へ出している。仕事の運び方そのものは別の記事で整理しました(→ ゼノの念能力は“暗殺の効率”で読み解ける)。
出どころと向きを3人で比べる
ここまでを整理します。
| 基準 | ネテロ | ゼノ | ビスケ |
|---|---|---|---|
| 情報を出した側 | 本人 | 本人 | 他人(ビノールト) |
| 受け取ったのは誰か | 味方の2人 | 見た者すべて | 敵 |
| 見せ方の向き | 実力を低く | 現役だと高く | 見せない |
| 数字 | 自己申告の約100歳 | 本編に出ない | 57歳 |
3人とも高齢とされ、3人とも最前線で戦える。それでも4つの欄が1つもそろわない。
向きが違うのは、受け取る相手が違うから
差が出た理由は、受け取り手の欄に出ていると思います。ネテロが低く申告した相手は、モラウとノヴ。これから同じ戦場へ向かう味方です。
味方が相手なら、自分の力を低めに伝えても損はしない。実際ノヴは、なら自信をお持ちください、と返しています。低く言っても、そのまま受け取られていない。
ゼノの服は逆で、読む相手を選べません。誰の目にも入るところに出す情報だから、弱く見える中身は出せない。生涯現役という文字が実力を高く見せる側なのは、出す相手を選べない場所に置いたからだと読めます。
ビスケの相手は敵。しかも渡したのではなく、抜き取られている。年齢を隠すことが目的だったわけではありません。
少女の見た目は、長く強く願い続けるうちに身についた念だと本人が語っている。切り札を隠すためであり、本来の姿が好みに合わないためだとされる。
ただ、結果として年齢も見えなくなっていた。そこを敵に破られたのがあの場面です。
味方に言うなら低く、不特定に見せるなら高く、敵に対しては見せない。受け取る相手が変われば、出し方も変わる。3人の違いは性格の差というより、相手の差から来ていると読める。
「念で老けない」は作中で確かめられない
念を続けると老化が遅くなる、という説明も見かけます。纏を行うと体が頑丈になり、常人より若さを保てる、という理屈。
ただ、これを原作の場面として確認することはできません。念の基本を扱った解説記事などで語られるもので、本編でそう描かれた場面は見当たらない(→ 絶・纏・練・発はどう違う?)。
仕組みの側は確かめようがない。確かめられるのは、情報がどう出たかまでです。
衰えが測られないから、実力の上限が見えない
3人の欄を見比べると、共通点が1つある。老いでどれだけ弱くなったかは、一度も測られていません。
ネテロの半分という言葉は本人の見立てで、しかも割り引いて受け取られた。ゼノの生涯現役は姿勢の表明で、実力の値ではない。ビスケは数字が出ても、本来の姿に戻れば実力が落ちていないことが分かるだけ。
だから3人とも、強さの上限を読者が計算できないまま最強格に置かれ続けます。年齢を出せば、読者は衰えを差し引いて強さを見積もる。差し引かせないために、出したのは自己申告と他人の観測だけだった。冨樫はそこを意図的に選んでいると思う。
実際、いちばん数字がはっきりしているビスケでも、その57歳は強さの評価に効いていません。効いたのは、暴かれた瞬間に相手が戦慄したことのほうでした。
なお、ネテロが最後にメルエムへ向けたのも技ではありません。会長の座は遺言で選挙に委ね、戦う役目だけは誰にも渡さなかった。衰えを自分から口にした人物が、いちばん危ない役目を離していない。
まとめ|高齢の念能力者の年齢と衰えはどう出たか
- 実年齢が数字で出るのはビスケの57歳だけ。しかも本人が明かしたのではなく、ビノールトに抜き取られた
- ネテロは約100歳を自己申告し、衰えについても全盛期の半分と自分から言った。ゼノは本編に数字が出ない
- ネテロは味方に、ゼノは見た者すべてに、ビスケは敵に。受け取る相手が違うから、出し方の向きも違う
- 念で老化が遅くなるという説明は解説側にあり、本編の場面としては確認できない
- 老いでどれだけ弱くなったかは一度も測られていない。だから3人の強さは上限が見えないまま置かれている
高齢の念能力者が衰えないのかどうかは、作中の材料では決まりません。代わりに置かれているのは、本人が自分の老いを誰にどう見せたかのほうです。測らせないことが、この3人を最強格に留めている。
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