最後まで念を使わないまま、話を大きく動かした人物。ハンターハンターには何人かいます。
そのうち型がはっきり分かれるのが、ミト、コムギ、バッテラの3人だ。同じ基準で見ていくと、食い違うのは一点だけでした。
自分で勝負の席に着いたか、それとも念を使える人間のほうを外から雇ったか。3人を分けているのはここだけです。
※ハンター試験編・ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編・王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ハンターハンターの一般人は、どこまでを指すか
ここでの一般人は、最後まで念を使わない人物を指します。念を習う前のゴンやキルアは入らない。
ハンター試験の時点で、ゴンは念を知らないままヒソカからプレートを奪っている。でもゴンもキルアも、そのあと念を覚える。「その時点で使えない」まで広げると、序盤が丸ごと対象に入ってしまいます(→ 念を知らない相手に念は効くのか)。
この線で残るのが、次の3人だ。
- ミト|ゴンを育てた人物。念の系統も能力も「なし」とされる
- コムギ|軍儀の世界チャンピオン。念を習っていない
- バッテラ|グリードアイランドを買い集めた資産家。念は使えないとされる
この3人で全部ではありません。東ゴルトー共和国の行政を一人で回していたビゼフもそうだ。ハンター試験で新人を潰し続けるトンパも、念は使わない側にいる。ただしこの2人には、自分で勝負の席に着いて決着をつける場面が出てきません。
コムギには補足が必要です。念を使っているかどうかは、本編で明かされていない。軍儀を打つときだけ目を開く描写はある。ただ、それが念によるものかどうかも分からないままだ。
一方で「冨樫義博展 -PUZZLE-」の設定資料では、コムギは強化系で修練度は天賦とされている。本編で明言されていないことと、本編の外の資料が念能力者の側に振れていること。事実としてあるのはこの2つです。この記事では、念を習っていない人物として数えます(→ コムギはメルエムと何が違ったか)。
ミト・コムギ・バッテラを同じ基準で見る
見る基準は4つ。勝負の中身、相手は念能力者か、オーラの量で結果が動くか、自分で決めたか人に任せたか。
| 勝負の中身 | 相手は念能力者か | オーラの量で結果が動くか | 自分で決めたか、人に任せたか | |
|---|---|---|---|---|
| ミト | 裁判 | ジン | 動かない | 自分で取りにいった |
| コムギ | 軍儀 | メルエム | 動かない | 自分で打っている |
| バッテラ | 買収と雇用 | 雇ったプロハンター | 動かない | 人に任せている |
勝負の中身は3人とも別物です。それでも真ん中の2つは、3人ともそろっている。相手は念能力者で、勝敗はオーラの量では動かない。食い違うのは最後の1つだけだ。
ミトは裁判でジンから養育権を取り、コムギはメルエムと打ち続けて王に一度も勝たせていません。どちらも自分の名前で勝負に出ている。
バッテラは出ていない。ゲームを買い集め、クリア報酬に500億ジェニーを懸け、プレイするプロハンターのほうを雇いました。席に着いたのは雇われた側です。
念が入れない場所があるわけではない
3列目がそろった理由を、先に押さえておきたい。
盤上の勝負には、メルエム自身が出てきます。暇つぶしに将棋やチェスのチャンピオンを次々と倒し、そのうえでコムギにだけ勝てなかった。盤上は念能力者にも開かれた場所で、王はそこへ入ったうえで負けた。
鑑定の場も例外ではありません。ヨークシンでは、ゴンとキルアがオーラの出ている品を探し当てた。凝で調べて当たりを見分けています(→ ゼパイルの鑑定が見抜いたのは本物)。念は鑑定にも持ち込める。
つまり3人が立っているのは、念が入れない場所ではない。入っても、オーラの量では順位が変わらない勝負のほうです。
裁判で問われたのは誰が子を育ててきたかで、オーラの厚みではない。軍儀で問われるのは読みの深さ。バッテラが動かした金も、念を厚くしたところで増えはしない。
軍儀は立体的で選択肢が多い。だから王でも手こずった、と作中では語られています。強さの問題ではなかった。
自分で決めた側と、人に任せた側で何が変わるのか
差が出た1点に戻ります。
ミトとコムギは、相手と同じ席に着いている。ジンと争ったのはミト本人で、王と打ったのはコムギ本人だ。勝ったぶんの結果は、そのまま本人のところに残る。養育権はミトが持ち、負けのない記録はコムギのものになりました。
バッテラは席に着いていません。総資産1000億ジェニー超の資産家です。グリードアイランドを買い集め、クリアする人間のほうを外から雇った。自分は念を使えない。だから念を使える人間ごと買っています。
ツェズゲラ組はこの報酬を取りにきた側です(→ ツェズゲラは3週間を稼ぐほうを選んだ)。ゴンとキルアもバッテラに雇われる形でゲームへ入りました(ゴンの狙いは報酬ではなく、父の手がかりのほうです)。任せた側の手元に残るのは、結果ではなく契約だ。だから雇った相手の動き方しだいで、話そのものが動いていく。
ヨークシンにも同じ形の人物がいます。ライト=ノストラードだ。片田舎の一組長だった彼は、娘ネオンの占いを使ってマフィアの組を大きくした。出したのは金ではなく身内ですが、他人の念で結果を受け取っている点は変わりません。
ただし、これが念を手に入れる唯一の方法ではない。カキンの王子は、誰も雇わずに守護霊獣を付けられている。しかも念を学んでいない王子は、自分の霊獣を見ることすらできないとされています。
ゼパイルは、その線のどちら側にも収まらない
自分で決めた側と、人に任せた側。そのどちらにも半分ずつ入るのがゼパイルです。上の基準を当てると、最後の1つで答えが出ない。
彼は念を知りません。念能力者として戦う場面もない。下見市では、木造蔵の値を下げにきた業者の主張に1つずつ答え、本物の値を守りました。使ったのは鑑定の腕だけだ。
ところが、贋作家だったころに彼が作った品には、オーラがこもっていた。知らないまま、念の一部に触れていたことになる。
同じ競売で、29億ジェニーの値が付いた緋の眼はコルトピが作ったコピーのほうでした。あの偽物が見抜かれる場面は出てきません。念で作られた品が、鑑定の目をすり抜けたままになっています。
ゼパイルを「念を使えない人物」の側にきちんと置けないのは、このためだ。本人の自覚と、品に残ったオーラが食い違っている。
冨樫は念の外側に、誰を置いたのか
3人に共通しているのは、念能力者と同じ場所にいること。物語の外側で見ているのではない。
そして、先に動いたのがどちらかで2つに分かれます。自分で決めた側の2人には、念を使える側から先に接触している。ジンはゴンをくじら島へ連れて帰り、ミトのもとに残していった。メルエムは自分から盤の前に座り続けた。
バッテラだけは逆です。金を出したのは彼のほうで、念の側を呼び寄せている。プロハンターたちはその報酬に応じて動いた。
呼んだのか、呼ばれたのか。念を使えない人物が話に残るときは、どちらかの向きで念能力者とつながっていると俺は読んでいます。強さでも運でもなく、つながり方のほうだ。
そう考えると、王が最後にコムギのもとへ戻る場面の意味も変わってくる。討伐隊の作戦は王を一人にすることで組まれていました(→ キメラアント編の勝因は作戦にある)。その王が最後に自分から向かった先は、念を持たない相手のところだった。
念が届かない領域があるのではありません。念の量では順位が動かない一点を、それぞれが握っているだけだ。ミトの手続き、コムギの読み、バッテラの金は、どれもそこに収まります。
まとめ|ハンターハンターの一般人がしていること
- 最後まで念を使わないまま話を動かした3人を同じ基準で見ると、食い違うのは「自分で勝負に出たか、人に任せたか」の1つだけ
- ミトは裁判で養育権を取り、コムギは軍儀で王に一度も勝たせなかった。どちらもオーラの量では答えが動かない勝負だった
- バッテラは自分では打たず、報酬でプロハンターを雇った。ライト=ノストラードが娘の占いで組を大きくしたのも同じ形
- コムギは本編で念能力者だと明言されておらず、ゼパイルは念を知らないまま贋作にオーラを込めていた。線引きは思ったほど単純ではない
- ミトとコムギには念を使える側から接触があり、バッテラは自分から念の側を呼び寄せた。先に動いた側は逆でも、念能力者とつながっている点は同じ
念を使えない人物は、戦いに入れない側ではありません。入らずに済む場所へ、きちんと置かれている。ジンが子を残し、王が盤を挟み、バッテラが報酬を出す。念を使える側と使えない側は、どちらかが先に動く形でつながっている。3人を見たあとの俺の読みはここです。
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