ハンターハンターのラスボスを編ごとに数える|倒して終わった編は1つ

編ごとの敵役を「ラスボス」と呼ぶ数え方は、読者の側に定着しています。

ただしラスボスという言葉には、最後に倒される敵、という意味がくっついている。その意味を原作で確かめると、当てはまるのは8編のうち1つだけでした。

グリードアイランド編のゲンスルーだけ。残り7編の敵役がどうなったのかを、1つずつ確かめます。

※ハンター試験編から王位継承戦編まで、各編の決着に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

各編のラスボスは誰か、という数え方は読者の側にある

Q&Aサイトには「各編のラスボスを教えてください」と尋ねる質問が立っています。編に1から7まで番号を振った質問だ。ハンター試験編、キルア奪還編、天空闘技場編、ヨークシン編という並び。

個別の編でも同じ扱いを見かける。ゲンスルーは「グリードアイランド編の中で実質のラスボスとして登場した」と紹介されている。別の質問でも「ラスボス?のゲンスルー」と呼ばれていました。

呼び方そのものは広く共有されている。では、ラスボスという言葉が前提にしている「最後に倒される敵」は、原作の編の終わり方と合っているのか。

8つの編を、終わり方で数える

編の区切りは本編に明示がありません。ここでは、まとめ資料のあいだで話数まで一致している9編を使います。内訳はハンター試験編、ゾルディック家編、天空闘技場編、くじら島編の4編。それにヨークシン編、グリードアイランド編、キメラアント編、会長選挙編、暗黒大陸・王位継承戦編の5編です。

くじら島編にだけ、主人公側と対立する人物が出てこない。ジンの残した箱を受け取る編だ。対立相手がいるのは残りの8編です。

敵役は「その編の終盤で主人公側と対立していた人物」とする。候補が分かれる編は両方の名前を挙げた。

敵役 終わり方 倒したか
ハンター試験編 ヒソカ・イルミ 合格発表で締める 倒していない
ゾルディック家編 執事たち キルアと再会して締める 倒していない
天空闘技場編 ヒソカ ゴンが負ける 倒していない
ヨークシン編 クロロ・幻影旅団 念を封じたうえで解放 倒していない
グリードアイランド編 ゲンスルー ゴンが倒す 倒した
キメラアント編 メルエム 毒で死亡 倒していない(倒したのはネテロ)
会長選挙編 パリストン 当選した直後に辞任 倒していない
王位継承戦編 確定していない 継続中 倒していない

主人公が敵役を倒して締めくくったのは1編。メルエムを数に入れても2編で、どちらにしても少数派です。

倒して終わったグリードアイランド編にも、ずれがある

ゲンスルーはゴンに倒されている。ここだけは呼ばれ方と原作が一致します。爆弾を使ったゲームを仕掛け、正面から破られて負けた(→ ゲンスルーの念能力は手の内を全部明かす)。

ただし、その後どうなったかは描かれない。生死にも触れられないまま話が進みます。

もう1つ気になるのが、編の締めくくりの位置だ。決着がついたあとも話は続き、最後はNo.185「邂逅」でカイトとの再会を描いて閉じる。倒した場面は、編の終わりに置かれていない。

一方、キメラアント編のメルエムは、貧者の薔薇の毒で死にました。倒したのは自爆したネテロで、主人公ではない。討伐隊の作戦も、王を倒すことではなく王を一人にすることで組まれていました(→ キメラアント編の勝因は作戦にある)。

倒される代わりに、敵役はどこへ行ったか

残りの6編は、それぞれ別の形で終わります。とくに大きいのがヨークシン編と会長選挙編だ。

ヨークシン編のクロロは、クラピカの鎖で念を封じられただけでした。殺されていない。

そのうえ、のちに除念を受けて念能力を取り戻しています。ヒソカとの戦いでは、盗んだ能力を使って戦っている(→ ヒソカvsクロロはどっちが強い?)。旅団そのものも解散していない。編が終わっても、敵役は能力ごと戻ってきた。

会長選挙編には、パリストンと戦って倒す展開が出てきません。会長の座は投票で決まります。しかも当選したパリストンは、直後に自分から辞めた(→ 会長選挙が9回続いた理由)。

敵役が勝ち、そのうえで降りた。倒される形から最も遠い終わり方です。

ハンター試験編は合格発表で締めくくられます。ここで見落とされがちなのが、ヒソカとイルミが合格している点だ。倒されるどころか、主人公と同じハンターライセンスを受け取って終わる。試験そのものが、敵役を落とす仕組みになっていません(→ ハンター試験は強さを測る試験?)。

天空闘技場編では、ゴンが負けています。勝ったのはヒソカだ。

ただしゴンは、その試合でヒソカの顔面に一撃を入れている。ハンター試験でヒソカに作った借り、44番のプレートを返した。目的は果たし、試合には負けた。主人公が敗北したまま終わる編が、序盤に置かれています。

ゾルディック家編はキルアと再会して終わる。執事見習いのカナリアと執事たちが、屋敷へ向かう3人の行く手を阻んでいます。それでも主人公側と家の側で、命を取り合う戦いにはならない。

王位継承戦編はまだ続いています。決着していないので敵役も定まっていない。上の基準にそのまま当てはまるのは、ワブル陣営を狙うベンジャミンの側だけだ。同じ船には、旅団を追うヒソカも、マフィアを率いるモレナもいます。狙っている相手がそれぞれ違う。

敵役を持ち越す作りが、この作品に何をもたらしたか

ここまでを整理すると、「各編にラスボスがいる」という呼び方自体は、そう的外れでもありません。どの編にも、主人公側と対立する人物は置かれている。

食い違うのは「最後に倒される」という部分だ。8編で倒された敵役は1人。代わりにあるのは、合格する、勝つ、封じられて解放される、自分から降りる、という終わり方でした。どれも敵役が生きたまま次の編へ渡る形です。

この作りの効果は、ヒソカを見ると分かりやすい。ハンター試験編の敵役が、天空闘技場編でゴンに勝つ。のちにクロロと戦い、今も船にいます。倒して終わる作りなら、試験編で退場していた人物だ。

クロロも同じです。ヨークシン編で封じられ、除念で念を取り戻し、別の編でヒソカと戦っている。パリストンは会長を降りたあと、ビヨンドの暗黒大陸探検隊に加わっています。

冨樫が編の終わりに置いているのは、敵役の退場ではなさそうだ。主人公側が何を手に入れたか。ライセンス、借りの返済、ゴンとキルアの生還、カイトとの再会。こうして見ると、編の締めくくりは敵役の生死と関係なく決まっていると分かります。

倒して終わる作りなら、敵役は編ごとにいなくなる。持ち越す作りなら、同じ人物が何度でも戻ってこられる。長く続く作品でも敵役が尽きないのは、こちらを選んだからだと俺は見ている。

まとめ|ハンターハンターのラスボスを数えると

  • 編ごとの敵役を「ラスボス」と呼ぶ数え方は実在する。編に番号を振って各編のラスボスを尋ねる質問も立っている
  • ただしラスボスという言葉が背負う「最後に倒される敵」が当てはまるのは、対立相手のいる8編のうち1編だけ
  • その唯一の例であるグリードアイランド編も、決着のあと話が続き、カイトとの再会で閉じている
  • 残りの編は合格・敗北・封印と解放・当選と辞任という形で終わり、敵役は生きたまま次へ渡っていく
  • 編の終わりに置かれているのは敵役の退場ではなく、主人公側が手に入れたものだと読める

ヒソカは今も船にいる。クロロは能力を取り戻した。パリストンは会長を降りて暗黒大陸を目指す側に回った。倒されて終わった敵役より、倒されずに残った敵役のほうがずっと多い。

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