クロロが盗んだ能力を使うあいだ、右手はずっと本でふさがっている。自分で道具を出せる側なのに、手ぶらの相手より動きが狭い。
念能力と道具の関係を出どころで仕分けると3通りになります。ただし、その3通りは手数の多さの順番にはなっていませんでした。
道具は能力を広げる装置ではなく、縛りをどこに置くかを決める場所として使われている。そう読める例が2つ残ります。
※ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編と、34巻のクロロとヒソカの戦いに触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
念能力と道具の関係は出どころで3通りに分かれる
作中にこの区分の名前が出てくるわけではない。道具がどこから来ているかで、俺が仕分けたものです。
| 道具の出どころ | 例 | 道具を失うと |
|---|---|---|
| 自分で具現化して出す | クラピカの5本の鎖/シズクのデメちゃん | オーラがあれば出し直せる |
| 既製の物にオーラを込める | モラウの煙管/シャルナークの携帯電話とアンテナ | 補充するまで使えない |
| 道具を使わない | ゴンのジャジャン拳/ウボォーギンの拳 | 失うものがない |
自分で具現化する能力ほど手数が増え、道具を使わない能力ほど身軽になる。ここまでは想像どおりだ。
既製の物を使う能力だけが、念とは関係のない事情で止まります。
既製の道具を使う念能力は、物を失った時点で止まる
モラウの紫煙拳(ディープパープル)は、巨大な煙管から煙を出して形を作る能力。兵隊も、監獄も、壁も、この煙から生まれる。
ただし煙管を失うと、新しい技は出せなくなる。すでに出した煙は動かせても、そこから先が続きません。実際にプフへ煙管を奪われて以降、本来の力を出せないまま戦っている。
シャルナークの「携帯する他人の運命(ブラックボイス)」も同じ形だ。使うのは念で作った物ではなく、実在する携帯電話とアンテナです。相手にアンテナを刺すことが発動の条件になっている。
刺しに行く距離も、アンテナの本数も、念の強さとは関係のない条件だ(同時に何人まで効くかは → 念能力が同時に効く人数)。
自分で出した道具なら、オーラがあれば出し直せる。既製品はそうはいきません。ここで挙げた中ではこの2人だけが、買い直しや持ち運びという念の外側の手間を抱えています。
クロロの本は、持っているあいだ右手をふさぐ
クロロの盗賊の極意(スキルハンター)は、盗んだ能力を使うのに具現化した本が要る。その能力のページを開いたまま、右手で持ち続けなければならない。
戦っているあいだ、右手は空かないまま。複数の能力を同時に使うこともできない。
自分で出せる側という点では、クラピカやシズクと同じです。本を失ってもオーラがあれば出し直せる。
違うのは出したあとだ。鎖もデメちゃんも、出してしまえば本人は自由に動けます(具現化系が発動前に決めていることは → 具現化系の念能力は使う前に決まる)。出した物を持ち続けることを条件にしているのは、この中ではクロロだけだ。
栞のテーマ(ダブルフェイス)は、その不便を減らすための能力です。使いたいページに栞を挟んでおけば、本を閉じたままでもその能力を保てる。両手が空くので、手を使う能力も併用できる。
それでも2つ目の能力まで使うなら、本を開いて右手をふさぐことになります。不便を打ち消すための能力を、もう1つ抱えている。
カイトは出す武器を選べず、使うまで消せない
カイトの気狂いピエロ(クレイジースロット)は、ピエロ型のルーレットが回って武器が決まる能力。9種類のうちどれが出るかは、本人にも分かりません。
出た武器は、使わないかぎり消せない。カイト自身も面倒な能力だとこぼしています(能力そのものの読み解きは → カイトの念能力は弱い?)。
道具を出す能力なのに、何が出るかを本人が決められない。自分で出せる側の利点は、選べることのはずでした。
選べないなら、既製品を持ち歩くのと自由度は大きく変わらない。違うのは、その不自由が武器という物の側に付いていることだ。9種類ぶんの幅は、その条件と釣り合っている(釣り合いの仕組みは → 制約と誓約は”念の交換レート”)。
道具は手数を増やす装置ではなく、条件の置き場になっている
クロロが手放したのは右手の自由、カイトが手放したのは選ぶ権利です。どちらも、自分で出した道具のほうから条件を課されている。
既製品を使うモラウとシャルナークの場合は、物を失えば止まるという弱点がそれにあたる。つまり出どころの3分類は、そのまま条件をどこに置いたかの分類にもなっています。
道具を使わないゴンやウボォーギンには、条件を置く場所が本人の体しかない。だからジャジャン拳は単純で、代わりに相手との距離を詰めるところに負担が集まる(技の中身は → ゴンの念能力ジャジャン拳が単純すぎる理由)。
俺は、物が出てくる能力ほど設計の幅が広いのだと見ています。物という置き場ができると、そこに縛りを重ねられる。念は縛るほど強くなるので、道具があるほど強さに変える余地も増える(容量の話は → 念の「メモリ(容量)」が強さを決める)。
ただ、その余地は自由と引き換えだ。ここで見たかぎり、道具を自分で出せる側ほど動ける範囲は狭くなっていました。
まとめ|念能力の道具が決めているもの
- 道具の出どころは3通り。自分で具現化して出す/既製の物にオーラを込める/道具を使わない
- 既製の物を使う能力は、物を失った時点で止まる。モラウは煙管を奪われて以降、本来の力を出せていない
- クロロは本のページを開いたまま右手で持つ必要があり、戦闘中は片手がふさがる
- カイトは9種類の武器を出せるが、出る目を選べず、使うまで消せない
- クロロとカイトはどちらも、自分で出した道具のほうから条件を課されている側だった
道具が多いほど戦い方が広がるわけではありません。物を持った側から順に、動ける範囲が狭くなっている。
道具を使わない能力が単純なままなのも、同じところから説明が付きます。縛りを置く場所として、体しか残っていないからです。
関連記事:
- 具現化系の念能力は使う前に決まる — 出す物と一緒に条件が固まる系統
- シャルナークの念能力ブラックボイス — アンテナを刺しに行く側の事情
- モラウの念能力は”戦場ごと作り替える” — 煙管から出る手数の広さ
- シズクの念能力デメちゃん — 出したあとも本人は動ける具現化物
- 制約と誓約は”念の交換レート” — 不自由が強さに変わる仕組み

