ヨークシンの地下競売は表の競売と別物|同じ街で二重に動いていた売り買い

幻影旅団はヨークシンの地下競売を襲った。それなのに、狙った品を1つも持ち出せていない。

競売品は、襲撃の前にすでに別の場所へ移されていた。旅団が同じ品を手に入れるのは、このあと手口を変えてからです。

ヨークシンで動いていた売り買いを仕分けると、旅団がどこを突いたのかが見えてきます。

※ヨークシン編(8〜13巻)の展開に触れます。

ヨークシンの競売は10日間、街のあちこちで開かれる

ヨークシンシティは年に一度、世界最大の競売が開かれる街です。期間は10日間。その10日のあいだ、街のあらゆる場所で大小さまざまな競売が動いている。

会場は1つではない。旅団が襲った地下競売も、この10日のうちの1つでした。

手がかりになるのは2つ。誰が開いているのか。そして、どんな客が集まっていたのか。

表の競売と地下競売は、集まる客からして違う

この2つで仕分けたのが次の表。作中にこういう区分があるわけではなく、記事のための整理です。

売り買いの場 開いているのは誰か どんな客が集まったか
表の競売 サザンピース カタログを買った客。ゴンとキルアも入れている
地下競売 マフィアンコミュニティー マフィア側の人間ばかり
会場を通さない取り引き 開き手はいない。個人どうし 買い手が自分で相手を探す

いちばん有名なのがサザンピースの競売です。カタログ代だけで1200万ジェニーかかる。珍しい品を中心に競りにかけられていた。グリードアイランドが7本並んだのも、この表の会場です(→ グリードアイランドのカードは100種類)。

地下競売のほうは、開いているのがマフィア側だ。6大陸をまたぐマフィアの大組織が抱え、その頂点に十老頭がいる(→ 十老頭と幻影旅団は替えがきく部分が逆)。会場に集まっていたのも、マフィア側の人間でした。

3つ目は会場を持たない。緋の眼のように、地下競売に並ぶこともあれば個人のあいだで動くこともある品が、ここに入る(→ 緋の眼はなぜ市場を渡り歩くのか)。買い手は自分で相手を探すしかない。

合法かどうかより、客の素性が問われるかどうか

3つを並べると、表と地下の差が「合法か非合法か」に見えます。ただ、集まる客まで見ると別の分かれ目が出てくる。

表の競売は、1200万ジェニーのカタログを買えば入れる。金額は高いものの、払いさえすれば客の素性は問われません。マフィアと縁のないゴンとキルアが入れているのがその証拠だ。

地下競売のほうは、実際に会場にいたのがマフィア側の人間ばかりだった。品が非合法なぶん、客の顔ぶれもそちらへ寄る。

表は金額で入り口を作り、地下は品の性質で客が絞られていた。同じ街の同じ10日間に、成り立ちの違う会場が並んでいたことになります。

幻影旅団は客でも出品者でもなかった

ここまでの3つは、買う側と売る側がいる前提です。旅団はその外にいる。

旅団は地下競売に客として入っていない。品を出したわけでもない。会場を襲い、参加していたマフィアを皆殺しにしました。

それでも品は手に入らなかった。襲撃の前に、主催側が競売品を別の場所へ移していたからです。危険を知らせたのはネオンの占いだった(→ 天使の自動筆記の的中率は100%?)。

そのあと、手口が変わります。旅団は会場をもう一度襲うのではなく、十老頭を動かして競売を開始させた。そのうえで、コルトピの能力で作った偽物を客につかませ、本物を持ち出した。

力ずくで奪おうとして失敗した場面と、開く側を動かして奪った場面が、同じ10日のうちに並んでいる。旅団は3つの枠のどこにも入らないまま、競売そのものを動かした側です(→ 幻影旅団の団員ナンバー一覧)。

ネオンを守る側は、どの枠にも置けない

もう1組、枠に入らない集団がいる。ネオンの護衛として来ていたノストラード組の護衛団です。

彼らは品を買いに来たのでも、売りに来たのでもない。客を守るために雇われて会場にいた。トチーノ、イワレンコフ、ヴェーゼは競売担当として地下競売の場内に入っています。

結果はきびしい。ダルツォルネ、トチーノ、スクワラ、イワレンコフ、ヴェーゼの5人がヨークシンで死ぬ。守られる側のネオンはヨークシンを生き延びた。

ダルツォルネの死に方が、この立場をよく表しています。捕らえたウボォーギンをマフィア側へ引き渡す場面。訪ねてきた相手を旅団の変装だと見抜けず、そのまま招き入れた。背後からフィンクスに胸を貫かれた。

守る役を引き受けた側だけが、自分を守る相手を持っていませんでした。

品を救った手は、2度目には効かなかった

旅団とノストラード組は、正反対の側から同じ弱点に触れています。旅団は守りを外した側で、ノストラード組は守りを引き受けて崩れた側だ。

初日に効いた手を確かめると、1つしかありません。品を移すこと。場所を変えて、襲撃の届かないところへ置いた。会場にいたマフィアは殺され、護衛団も5人死んだのに、品だけは無事だった。

守ったのは警備ではなく、先に危険を知らせた占いです。この10日間でいちばん効いたのは、強い護衛ではなく情報のほうだった。

ところが2度目に、その手は使えなくなります。旅団は会場を襲わず、開く側の十老頭を動かして競売を始めさせた。競売が正規に開かれれば、品は競りにかけるために出てくる。移して隠す先がなくなる。

会場の側が用意していたのは「どこに置くか」の守りだったと読める。開く側そのものを動かされる形は、初日にも2度目にも対策が出てこない。旅団が突いたのはそこでした。

決まりや組織の形を外から使うやり方は、旅団の掟の向きにも出ている(→ 幻影旅団の掟は内向き、流星街は外向き)。掟が団の内側だけを縛るぶん、外の組織の決まりには縛られない。ヨークシン編がこの10日間で一気に動き出すのも、この一点からだと考えています(→ ハンターハンターの主人公交代はヨークシン編で起きていた)。

まとめ|ヨークシンの競売はどう分かれていたか

  • ヨークシンの競売は10日間、街のあちこちで開かれる。旅団が襲った地下競売はそのうちの1つ
  • 売り買いは表の競売(サザンピース)/地下競売(マフィアンコミュニティー)/会場を通さない個人どうしの取り引きに分かれる。表はカタログ代で入り口を作り、地下は品の性質で客が絞られていた
  • 旅団は初日の襲撃で品を奪えていない。ネオンの占いが危険を知らせ、競売品は先に移されていた
  • 旅団は2度目に、十老頭を動かして競売を開かせ、コルトピの偽物とすり替えて本物を持ち出した
  • ノストラード組の護衛団はダルツォルネら5人が死に、守られる側のネオンはヨークシンを生き延びた

ヨークシンで品を守ったのは、警備でも会場の作りでもなかった。先に危険を知って、置き場所を変えたことだけが効いている。

その手が2度目に通じなかったのは、旅団が場所ではなく開く側を取りにきたからだ。同じ品を2度狙って、手口だけを変えている。そこがこの編のこわいところだと思う。

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