モモゼの護衛は事件の前に弟へ移されていた|最初に脱落した第12王子

35巻のNo.361「辞退」で、第7王妃セヴァンチはモモゼ付きの人員をまるごと弟マラヤームへ回した。その7話あとに、モモゼは殺される。

王位継承戦で最初に脱落した王子です。手を下したのは外から忍び込んだ刺客ではなく、部屋にいた警護兵だった。

つまり部屋の顔ぶれは、事件より前に決まっていたことになる。同じ母から生まれた姉と弟が、正反対の部屋で航海初日を迎えます。

※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

モモゼの部屋から人が引き上げられたのは、事件より前だった

セヴァンチが動かしたのは、モモゼ付きの人員のほぼ全部だ。母の所属兵も、雇ったハンターも、使用人も、まとめて弟の側へ回っています。第12王子の護衛だったハンゾーが第13王子の側へ移るのも、このときだ(→ ハンゾーの念能力は本体を置いて出かける)。

引き上げられなかった兵もいました。継承戦には、上位の王妃だけが使える枠がある。下位の王妃が産んだ王子の警護に、自分の所属兵を1人ずつ入れられる決まりだ。

逆向きはできません。34巻のNo.360「寄生」で出てくる仕組みです。

モモゼの母は第7位。だから第1から第6までの王妃が送り込んだ兵が、部屋に6人いた。セヴァンチが動かせるのは自分の側の人員だけなので、この6人は動かせない。

引き上げが済んだ時点で、モモゼの部屋は監視の兵だけになっていた。誰がどの陣営に入ったかは クラピカの護衛5人は狙った陣営に入れなかった で整理しています。

モモゼとマラヤームを同じ3つの基準で比べる

同じ母から生まれた2人を、次の3つで比較します。

基準 モモゼ(第12王子) マラヤーム(第13王子)
部屋にいた人 よその王妃の監視兵6人だけ 引き上げられた人員一式。部屋にはビスケとハンゾー
守護霊獣の動き 本人のオーラを消費していたと見られる 姉の死後に姿が変わり、手が出せなくなった
39巻の時点 航海初日に死亡 生存

3つとも差が出ました。ただ、差を生んだ理由は護衛の頭数ではない。

モモゼの部屋に残った6人は、全員よその王妃の兵だった

犯人はタフディー。第5王妃スィンコスィンコの所属兵で、モモゼ付きの警護兵として部屋に入っていた1人だ。

手口は幽体離脱(ザタッチ)。横になって目を閉じると分身が出せて、半径20mの範囲を自在に動ける。この分身が寝室へ入り、モモゼを絞殺しました。事件のあと、残っていた6人は全員拘束されています。

ただ、頭数で防げた事件でもありません。扉の前に何人立っていても、分身で入られたら止まらない。護衛が減ったから死んだ、という因果までは描かれていない。

効いていたのは、残った人間が誰のために来ていたかだ。6人は全員、上位の王妃が枠を使って送り込んだ兵。この枠は監視、場合によっては暗殺のために置かれている。守る役として選ばれた人間は、部屋に1人もいなかった。

同じ引き上げが、弟の部屋では逆に働いています。1013号室にはビスケとハンゾーが入り、モモゼから外された人員がそのまま弟の側に加わった。片方を空にした動きが、そのまま片方を埋めている。

なお、第5王妃が暗殺を命じたかどうかは、作中で明かされていません。分かっているのは、タフディーがその陣営の兵だったところまでだ。

モモゼの守護霊獣は、本人の知らないところで動いていた

念の側にも守りは残っていませんでした。モモゼの守護霊獣は、人に取り憑いて操る型。「おヒマ?」と問いかけ、肯定した相手を操る。

ワブルの警護に付いていた協専ハンターのサイールドが、この霊獣に操られました(→ オイト王妃は借り物だけで戦っている)。

問題は、これがモモゼの意思と関係なく動いていたことだ。霊獣が働いたぶん、モモゼは大量のオーラを使っていた。エネルギー切れを起こしたのではないか、というのがクラピカの見方です。

モモゼが寝室で深く眠り込んでいたのも、そのためだという読み。ただしこれはクラピカの見立てで、はっきりした原因として描かれてはいません。

それでも、霊獣が持ち主を守る側に立っていなかったことは変わらない。本人の念能力のほうにも、似た向きの例があります。カミーラの「百万回生きた猫(ネコノナマエ)」は、本人が殺されるまで働かない(→ カミーラの念能力)。モモゼの霊獣は働きすぎた側で、向きが逆だ。

マラヤームの霊獣は、逆の動きをしている

弟側の変化は、モモゼの死のあとに起きます。36巻のNo.372「消失」。マラヤームの霊獣が、竜のような姿からトゲだらけの姿へ急に変わる。

ビスケは、体中のトゲを防衛本能の表れと見ていました。不安や恐怖のストレスが霊獣に影響しているという読みです。のちに1013号室は、外から手を出せない状態になった。

こちらもビスケの見立てで、能力の中身が明かされたわけではない。霊獣の系統も名前も、作中では決まっていません。敵味方を区別しているように見えない場面もある。守りに徹した霊獣だと言い切る材料は、まだそろっていない。

描かれている順番だけははっきりしています。姉の霊獣が動いていた間に本人は眠り込み、弟の霊獣は姉が死んでから姿を変えた。同じ母から生まれた2人の霊獣が、同じ日を境に別の向きへ動いている。

最初の脱落が見せたのは、念より前の段階だった

継承戦は、念で守り合う戦いに見えます。守護霊獣を授かり、念能力者を雇い、船の中で探り合う(→ 王位継承戦で王子は自分では戦えない)。

ところが最初の一人が欠けたとき、念はほとんど働いていない。霊獣は持ち主を守らず、警護兵はよその陣営の人間。殺したのは部屋の中にいた1人だった。崩れたのは念の守りより手前、人の配置のほうだと俺は見ています。

しかもその配置を決めたのは母です。敵が奪ったのではなく、味方の側が引き上げた。継承戦の駆け引きが始まるより前に、モモゼの部屋の中身は決まっていた。

守護霊獣を授かった王子が、念の外側から先に欠ける。継承戦のいちばん早い段階に、その順番が置かれています。

まとめ|モモゼの部屋は、事件の前に守る人がいなくなっていた

  • 35巻のNo.361で、母セヴァンチがモモゼ付きの人員をまるごと弟マラヤームへ移した。ハンゾーが第13王子側へ回るのもこのとき
  • 残ったのは、上位の王妃が枠を使って送り込んだ監視の兵6人だけ。守る役として選ばれた人間は部屋にいなかった
  • 犯人のタフディーは第5王妃スィンコスィンコの所属兵で、分身を使って寝室へ入った。頭数では止まらない手口なので、護衛が減ったから死んだとは言えない
  • 守護霊獣も持ち主を守ってはいない。本人の知らないところで動いてオーラを使わせていた、というのがクラピカの見方
  • マラヤームの霊獣が守りの側に振れたように見えるのは、姉の死のあと。同じ母の子の霊獣が、同じ日を境に別の向きへ動いた

守る人がいない部屋が、事件より前にできあがっていた。最初の脱落は、その部屋で起きています。

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