カキン第6王子タイソンの経典|効いているのに配り先で止まっている

第6王子タイソンが王位継承戦でしているのは、自分で書いた本を配ることです。

その本は効いています。読んだ護衛は、感激して信者の側へ移った。ところが、同じ本を渡した下位の王子たちは違う。タイソン本人が「多分読んでないわよね~」と言っている。

効く道具を持っていながら、配るところで止まっている。タイソン陣営が継承戦で見せているのは、この1点です。

※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

第6王子タイソンが継承戦でしていること

タイソンはもともと継承戦に加わる気がありませんでした。参加を決めたのは母の願いを汲んでのこと。暴力的な手段には反対の立場を取っている。本人は、自分の武器は愛と献身だけだと語っています。

私設兵は5人いますが、戦わせている場面はまだ出てきません。継承戦に加わっていながら、武力を使う描写がない王子。

代わりに配っているのが自著の「タイソン経典」です(資料によっては「タイソン教典」とも書かれます)。晩餐会に出て、護衛のためにサプライズのパーティーを用意して、経典を配る。船に乗ってからの動きは、この範囲に収まっている。

王子が自分で他の王子を殺せば、王族殺しとして極刑になる。だからどの陣営も、人を介して動きます(→ 王位継承戦で王子は自分では戦えない)。タイソンはその人を、戦いには使っていません。

経典を読んだ護衛は、実際に変わっている

経典が効かない本だ、というわけではない。タイソンの護衛のジュリアーノは、読んだあとに信者の側へ移っている。

経典を直接手渡された護衛として描かれているのが、イズナビとジュリアーノです。同じ本を読んで、片方だけが変わった。イズナビは信者になっていません。経典を読んでいるときのジュリアーノの穏やかさを、心配になるほどだと見ている。

読んだ人間のうち少なくとも1人は、はっきり態度を変えている。この本には、人の立場を動かすだけの働きがあります。

そのうえで、信者の人数は原作に出てきません。増えたとはっきり確認できるのは、この護衛1人だけ。

配った先に届いたかどうかは、まだ分からない

経典を渡した相手は他にもいる。下位の王子と、その母たち。

ただしその結果を、タイソン自身がこう語っている。「下位王子と母親には渡したけど多分読んでないわよね~。さすがに処分はしないと思うけど」。

読んだかどうかを描いた場面は出てきません。分かっているのは、配った側が届いていないと思っていることまでです。

つまり経典が効いた相手は、今のところ陣営の内側にしかいない。効き目の問題ではなく、配ったものが読まれる段階にたどり着いていない。

15人の枠を、戦う以外に使っている陣営

継承戦の陣営は、王子1人につき15人までと決められています(→ 王位継承戦の人数の上限は15人)。タイソン陣営もこの枠は埋まっている。ただ、中身の配り方が他と違う。

陣営 15人の枠の使い方
第1王子ベンジャミン 15人すべてが私設兵
第6王子タイソン 私設兵5人/ハンター協会員2人/従事者5人/監視3人

※人数は乗船時点のもので、考察サイトの陣営まとめによります。

ベンジャミンを並べたのは、枠を戦力だけで埋めた側の例だからです。同じ15人でも、片方は全員が兵で、片方は3分の1しか兵に割いていない(→ ベンジャミンの念能力は補充が効かない)。

念の講習会に警護兵を派遣したのは、カミーラ陣営とタイソン陣営を除く10人の王子でした(→ クラピカの念講習)。船内で念を身につける機会にも、タイソンの兵は出ていない。

効く道具が、配るところで止まっている

継承戦が始まってから、タイソンは何も起こしていません。兵を動かさず、他の王子に自分から働きかける場面もない。外とのやり取りとして描かれるのは、配った経典と、カチョウの手紙を受け取ったことくらい。その手紙は、フウゲツが各王子に配って回ったものです。

それでも脱落していない。単行本の最新巻の時点でも、私設兵と船内で平穏に過ごしています。

戦わずに人を集めるやり方そのものは、タイソンに限りません。第9王子ハルケンブルグの私設兵は、独自の人脈で集まった志願者。上下関係ではなく同志として扱われている。集まった理由は、腐敗した王族政治を打破するという考えと、本人の人柄です(→ 王位継承戦の14王子は母の序列で読む)。

ハルケンブルグの周りには、すでに支援者が集まっている。それを脅威と見た勢力が、暗殺を企てるところまで進んでいます。同じ「戦わずに集める」でも、届いた先の広さが違う。

俺が気になるのは、冨樫がタイソンに効かない道具ではなく、効く道具を持たせていることです。読めば人が変わる本を書かせておいて、その本が読まれる場面を外側では描かない。継承戦の中に、まだ何も始まっていない陣営を1つ残してあるのだと思います。

同じ継承戦でも、オイト王妃は借り物を次々に使って動いています(→ オイト王妃は借り物だけで戦っている)。持たない側が借りて動き、持っている側が配ったまま止まっている。いまの継承戦の幅は、この対比にそのまま出ています。

まとめ|第6王子タイソンが継承戦で置かれている位置

  • タイソンは継承戦への参加に乗り気ではなく、母の願いを汲んで加わった。武力を使う場面はまだ描かれていない
  • 15人の枠のうち私設兵は5人で、残りは協会員・従事者・監視。枠を戦力だけで埋めたベンジャミン陣営とは中身が逆になっている
  • 継承戦でしているのは自著「タイソン経典」を配ること。読んだ護衛のジュリアーノは信者の側へ移っている
  • 同じ本を渡した下位の王子については、本人が「多分読んでない」と語っている。読まれたかどうかは分かっていない
  • 戦わずに人を集めるやり方は第9王子ハルケンブルグにもある。そちらはすでに支援者が集まり、暗殺を企てられるところまで進んでいる

効く道具を持っていて、配る段階で止まっている陣営が、継承戦の中にあります。タイソンが見せているのは、人を集める新しいやり方ではない。争いに加わらないまま船に乗っている、という状態でした。

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