今のノストラード組の収入は、賭博と用心棒。この2つで全部です。
以前は違った。組の金は、娘ネオンの占い1つが生んでいました。その念能力が奪われた時点で、この組は財源をまるごと失っています。
立て直したのは組長のライト=ノストラードではない。護衛として雇われていたクラピカのほうでした。組長だった父と、雇われだった護衛。この2人を同じ3つの基準で比べます。
※ヨークシン編と王位継承戦編の展開に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ノストラード組は、ネオンの念能力で大きくなった
ネオン=ノストラードの念能力は「天使の自動筆記(ラブリーゴーストライター)」。1ヶ月ぶんの未来を、週ごとの四行詩で書き出す占いです。
的中の精度は高く、マフィアの世界で強い需要があった。ライトはこの占いを取引に使い、片田舎の小さな組を一気に大きくしている(占いそのものの精度は → 天使の自動筆記は的中率100%?)。
クラピカが入ったのは、その組の護衛職だ。緋の眼が手に入りやすいと見て選んでいる。ネオンは人体のコレクションが趣味で、毎年ヨークシンの競売に通う雇い主。緋の眼はその競売に流れる品でした。
片方は組長として組を作り、もう片方は目的のために組へ入った。出発点からしてそろっていません。
ダルツォルネの死後、クラピカは同僚の推薦でネオンの護衛団のリーダーになる。ライトから正式に任命されています。その後さらに昇進し、今は若頭だ。
ライトとクラピカを3つの基準で比較する
| 基準 | ライト=ノストラード | クラピカ |
|---|---|---|
| その人のとき、組の金はどこから来ていたか | 娘の占いを売って得ていた | 賭博と用心棒で得ている |
| 占いが消えたとき、その人はどう動いたか | 心を病み、組長の役を果たせなくなった | 組を取り仕切り、財源を入れ替えた |
| その人は組から何を得ようとしていたか | 組の中で完結していた | 組の外にある緋の眼 |
上2つの差は、そのまま読める範囲に収まる。稼ぎ方が変わり、片方は倒れて片方は回した。組長が抜けて実務役が代わりに動かした、と言えば済む話だ。
掘るだけの中身があるのは3つ目でした。
目的を組の中に置いた父と、外に置いた護衛
ライトが求めていたものは、組の中で完結している。娘の能力で金を作り、その金で組を伸ばす。手に入れたいものと、それを生む仕組みが同じ場所にあった。
だから占いが消えた瞬間、稼ぎだけでなく目的まで一緒に消えます。心を病んだのは気の弱さというより、目的の置き場が1点しかなかったせいだと読める。
クラピカは違う。目的は緋の眼の回収で、これは組の外にある。組はそこへ近づくための足場でしかない。傾いたなら、直せば済みます。
同じ出来事が、片方には終わりになり、片方には作業になった。差を作ったのは能力の有無でも実務の力量でもない。目的をどこに置いていたか、それだけです。
財源が消えても、目的が消えなかった側が残った
この違いは、組がその後どうなったかまで決めています。
占いを出せなくなった時点で、財源としてのネオンの役目は終わっている。その後のネオンがどうなったかは原作で描かれていません。父も組長として動けなくなる。組の中に目的を置いていた2人が、そろって表から消えた形です。
残ったのは、その能力を守るために雇われていた側だった。クラピカは財源を賭博と用心棒に入れ替え、組は解散を免れています。今の収入はこの2つで全部。納税もしているとされる。
念能力1つで急に伸びた組が、能力を失って普通の商売に戻った。そう読むと、この一家に起きたのは没落というより、元の大きさへの巻き戻しに近い。
替えのきかないものをどこに置くかは、組織ごとに違う(→ 十老頭と幻影旅団は替えがきく部分が逆)。この組の場合、替えがきかないと思われていた念能力が先に消えました。
冨樫がクラピカを組に残した理由
なぜ冨樫は、能力を持つ側ではなく守る側を残したのか。
念能力で成り立つ組織を描くなら、能力者が最後まで中心にいる形が自然に思えます。ここではそうなっていない。組を継いだのは、能力そのものと何の関係もない護衛です。
俺が見るかぎり、これはクラピカを継承戦まで動かすために要る作りでした。マフィアの一家に所属したまま王子の護衛職へ応募し、選抜を通って第14王子ワブルに就く。雇われの護衛のままでは、ここまで動くのに立場が足りない(→ クラピカの護衛5人は狙った陣営に入れなかった)。
旅団や流星街と違い、この組を縛る掟は描かれていません。血のつながりも要らない。クラピカが上がったのは、そのとき必要だったからです。縛りのない組織だったことが、外から来た人間に組を継がせている。
まとめ|ノストラード組を継いだのは誰か
- 組の金は、娘ネオンの「天使の自動筆記」を父ライトが取引に使う形で生まれていた
- ヨークシンで能力が奪われ、組は財源をまるごと失った
- 立て直したのは、緋の眼を目的に護衛として入っていたクラピカ。今は若頭で、収入は賭博と用心棒に入れ替わっている
- 2人の差が出たのは「組から何を得ようとしていたか」の1点。ライトの目的は組の中、クラピカの目的は組の外にあった
- 財源としてのネオンの役目は終わり、その後は原作で描かれていない
2人は同じ組にいて、同じ能力を失いました。それでも片方は動けなくなり、片方は動き続けている。
目的を組の外に置いていたことが、そのまま組を存続させた。念能力で回る組織を1つ壊したうえで、冨樫はその組をクラピカに継がせています。
関連記事:
- 天使の自動筆記は的中率100%? — 組を支えていた占いの精度
- クラピカの念能力は“二段構え” — 護衛として買われた実力の中身
- クラピカの護衛5人は狙った陣営に入れなかった — 若頭になったあとの配置
- 十老頭と幻影旅団は替えがきく部分が逆 — 替えのきかないものをどこに置くか
- クルタ族が滅ぼされた理由 — 組の外にあった目的のほう

コメント