キメラアントはなぜ強い?念能力と元の動物を師団長・護衛軍8体で比べる

師団長と護衛軍の8体で数えると、キメラアントの念能力は5体が元の動物から組まれています。尾の針、ハサミ、鱗粉、擬態、草原での追いかけっこ。体の部位や生き方が、そのまま念の中身になった。

動物と切れているのは、ネフェルピトー・レオル・ウェルフィンの3体。猫とライオンとオオカミの念は、人形・貸し借り・尋問と、動物とは別の形をとりました。

蟻の強さは、摂食交配で受け継いだ動物の体から始まると読めます。そこに念を重ねるとき、動物と同じ向きに重ねた蟻と、別の向きに重ねた蟻がいた。そして別の向きの3体は、戦いの前に言葉のやり取りが入る場面を受け持っていた。そういう読みです。

※キメラアント編の内容に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

キメラアントの念能力は尾の針とハサミ|体の部位を念に使った蟻

いちばん分かりやすいのは、体の部位をそのまま念に使った蟻。

師団長ザザンはサソリ型。念能力の審美的転生注射(クィーンショット)は、尾の毒針で刺した相手を蟻に変え、配下にする(→ ザザンの念能力はなぜ自分に向いたのか)。

ロブスター型の師団長ブロヴーダは、両手のハサミから念弾を撃ち出して戦います。

護衛軍のシャウアプフは蝶型。スピリチュアルメッセージは、羽から撒いた鱗粉で相手のオーラの流れを読む力です。同じ鱗粉には、暗示をかける催眠の作用もある(→ プフの念能力を護衛軍3体で比較)。

3体とも、念が働く場所は動物の部位そのもの。サソリの針は刺して作り変え、ハサミは念弾を撃ち、蝶の鱗粉は心を読む。体を見れば、念の出どころが分かります。

キメラアント8体の元の動物と念能力|ユピーは魔獣との混生型

元の動物が確かめられ、念能力が作中で示された師団長と護衛軍は8体。

蟻 元の動物 念能力 念に出た動物の特徴
ザザン サソリ 尾の針で刺して蟻に変える 尾の毒針
ブロヴーダ ロブスター ハサミから念弾を撃つ 両手のハサミ
シャウアプフ 蝶 鱗粉でオーラの流れを読む 鱗粉
ヂートゥ チーター サバンナを模した念空間での鬼ごっこ 草原での追いかけっこ
メレオロン カメレオン 息を止めている間、あらゆる感知から消える 体の擬態
ネフェルピトー 猫 念人形で治す・自分を操る 無し
レオル ライオン 恩を売った相手の能力を借りる 無し
ウェルフィン オオカミ 問いに偽った・逆らった相手をミサイルで撃つ 無し

どの特徴が念に出ているかは、能力の中身から読んだもの。動物とつながる念は5体、切れている念は3体。

コンドル型の師団長コルトは、固有の念能力が作中で示されていない。タコ型のイカルゴは師団長ではなく、レオル隊の兵隊長です(→ イカルゴの念能力は死体を借りる)。

モントゥトゥユピーは護衛軍で1体だけ、人間ではなく魔獣との混生型。混ざった魔獣の種類は、作中で示されていません。体を変えて戦う念は、ユピーの念能力は戦いながら進化する で扱っています。

ヂートゥとメレオロンは、動物の生き方を念にした

体の部位ではなく、動物の生き方を念に使った蟻もいる。ヂートゥとメレオロンの2体。

ヂートゥはチーター型の師団長。最初に使った念は、相手をサバンナを模した念空間に閉じ込める鬼ごっこでした。鬼にされた相手は、時間内にヂートゥに触れないと外に出られない。

戦いの途中で出したボウガンは、本人の脚より遅かった。モラウに「自分の脚より遅いものを能力にしてどうすんだよ」と言われています(→ ヂートゥの念能力は速さを活かせていない)。

メレオロンはカメレオン型。念を覚える前から、自分の姿を見えなくする力を持っていた。消えるのは目に映る姿だけで、音や足跡、匂い、円では見つかります。

念の神の不在証明(パーフェクトプラン)では、息を止めている間、音も匂いも円も通らなくなる(→ メレオロンの神の不在証明は“消えるだけ”)。

2体とも、動物の暮らし方が念の形になっている。鬼ごっこは、草原で追い追われるチーターの暮らしを遊びにしたもの。速さを強くする能力ではありません。神の不在証明は、目をだますカメレオンの擬態を、ほかの感覚まで広げたものと読めます。

一方でヂートゥのボウガンは、チーターの体から離れた後付けの能力でした。

動物と切れた例外はピトー・レオル・ウェルフィン

残る3体は、念を見ても元の動物が分からない。ただしピトーとウェルフィンは、動物の特徴が体のほうで働いています。

ネフェルピトーは猫型の護衛軍。名前のついた念能力は、外科医姿の念人形で傷を治す玩具修理者(ドクターブライス)。もう1つは、バレリーナ姿の念人形で自分を操る黒子舞想(テレプシコーラ)です。

ピトーの体は身軽で、離れた相手との距離も、脚の力だけでひと跳びに詰める。攻めは体が受け持ち、念は治すことと操ることに回っている(→ ネフェルピトーの念能力に“攻撃技”は一つもない)。

レオルはライオン型の師団長。発は謝債発行機(レンタルポッド)の1つだけで、恩を売った相手の能力を借りる力です。モラウとの戦いでも、借りた能力で水を操って攻めた(→ レオルの念能力レンタルポッド)。

借りた能力の1つは、トンボ型のフラッタの衛星蜻蛉(サテライトンボ)。レオルの戦いに出てくる動物は、ライオンではなく、ほかの蟻が持つトンボでした。

ウェルフィンはオオカミ型の師団長。鼻が利き、メレオロンの匂いに気づいて追いかけています。

念の卵男(ミサイルマン)は、問いに嘘をついたり、命令に逆らったりした相手だけを撃てる能力。ウェルフィンがこれを向けたのは、フラッタに扮したイカルゴでした(→ ウェルフィンの念能力ミサイルマンは尋問の道具)。

3体の念は、体と同じ役目を持っていない。跳ぶ・嗅ぐは体で、念は治す・借りる・問い詰める。俺の読みでは、この3体だけ、体と念が別々の役目を受け持っています。

キメラアントはなぜ強いのか|動物の体と念の重ね方

女王は、食べた生き物の特徴を次に産む子に映す(→ キメラアントの階級は何で決まったのか)。尾の針も、ハサミも、利く鼻も、蟻は生まれた時点で持っていた。蟻の強さは、まずこの動物の体から来ていると考えられます。

念そのものは、人間の側から蟻に入ったものでした(→ キメラアントの念能力は2つに分けて奪われた)。それでも8体中5体は、その念を自分の動物に合わせて組んでいる。針で刺す蟻は針で念を使い、擬態する蟻は擬態を念で広げた。念は、動物がもともと得意なことをもとにしています。

残る3体は、念を動物と別の向きに組みました。この3体には、言葉を交わしてから力が動く場面がある。

ピトーは、コムギを治している最中に現れたゴンに、治療を終えるまで待ってほしいと頼んだ。ウェルフィンは、フラッタに扮したイカルゴを問い詰め、答えしだいで撃てる構えをとった。レオルの能力は「これは貸しだぜ?」と確かめ、相手が同意しないと借りられない。

もちろん、いつも言葉が先とは限りません。ピトーはカイトを、言葉を交わす前の奇襲で倒している。

それでも、頼む・問う・貸しを確かめる場面は、念の読めない3体に寄っている。冨樫は見た目で強さが分かる蟻を多く置き、言葉で動く場面を3体に寄せたのだと俺は読んでいます。

まとめ|キメラアントの念能力と元の動物

  • 元の動物が確かめられ、念能力が示された師団長・護衛軍は8体。5体の念は動物とつながり、3体は切れている
  • ザザンの尾の針、ブロヴーダのハサミ、プフの鱗粉は、体の部位がそのまま念の働く場所になった例
  • ヂートゥの鬼ごっこは草原での追いかけっこ、メレオロンの神の不在証明は擬態の延長。ヂートゥのボウガンは脚より遅い後付けの能力
  • ピトー・レオル・ウェルフィンの念は人形・貸し借り・尋問。ピトーの脚やウェルフィンの鼻は、体の側で働いている
  • 蟻の強さは動物の体から始まり、頼む・問う・貸しを確かめる言葉の場面は、念の読めない3体に寄っている

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