ハンター試験の合格者7人が向かった先|同じ免許の使い道が1人ずつ違う

ハンターライセンスは、売るだけで7代は遊んで暮らせる額になるとされています。ゴンたちの回で受かったのは7人。その7人のうち、売ったと描かれた人物は1人もいません。

金にはしなかった。かといって全員がハンターの仕事に就いたわけでもない。

それでも7人は、免許を受け取ってすぐ別々の方向へ動き出します。免許そのものより、何に使ったかのほうに人物が出ている。そういう配り方をされていると考えています。

※ハンター試験編から王位継承戦編(39巻まで)の展開に触れます。

ハンター試験の合格者は7人で確定している

ゴンたちが受けた回で受かったのは7人です。ゴン、クラピカ、レオリオ、ヒソカ、ポックル、ハンゾー、そしてギタラクルと名乗っていたイルミ。

キルアは最終試験でボドロを殺してしまい、ルール違反で失格になった。一緒に旅をしてきた4人のうち、この時点で免許を持っていないのはキルアだけです。

最終試験は変わった形をしていた。勝てば即合格で、負けた者が次の試合に回る。最後まで勝てなかった1人だけが落ちる仕組みです。

ポックルはハンゾーに腕を折られて降参している。それでも次の自分の試合で、戦う気を見せずに降参したキルアに勝ち、合格した。

一度負けた側が受かり、一度も勝たなかった側が落ちる。顔ぶれの決まり方からして、実力の順位になっていません。そもそもこの試験が強さを測る場ではないことは、課題の中身にも出ています(→ ハンター試験は強さを測る試験?)。

ハンターライセンスを売った合格者は1人もいない

ライセンスは、現物を欲しがる好事家が絶えないとされています。売れば7代は遊んで暮らせる。その価値は作中でも早くから示されていた。

つまり合格した時点で、7人は全員その金額を手にできる立場にいた。それでも売った人物は描かれていない。

レオリオにいたっては、金が要るから受験したと最初に公言していた人物だ。医者になるには大金が要る、というのが理由だ。それでも免許は売らず、医大へ進んで自分で勉強を続けた。

いちばん金を必要としていた人物が、いちばん手っ取り早い換金を選ばなかった。免許が「金に換える札」として置かれていないことは、ここに出ていると思う。

免許で本当に開いたのは、くじら島の箱だった

ゴンの使い方はもっとはっきりしている。ジンが残した箱は、ハンターライセンスと念の両方がそろわないと開かない仕掛けでした。

条件を決めたのはジンのほうです(→ ジン=フリークスは父親失格か)。ゴンはハンターの仕事をするために免許を取ったわけではない。父が決めた条件を満たすために取っている。

免許が果たしたのは職業証明ではなく、父と子のあいだの合図だったと読める。

クラピカも近い。プロハンターの資格を持った状態で護衛の職に就いた。そこから緋の眼と幻影旅団を追える位置へ移っている。仕事に就くための資格ではなく、目的に近づくための立場として使われた。

7人の使い道は1人ずつ違う

受かったあとの行き先を比べると、重なるものがほとんどありません。

誰が その先で追ったもの
ゴン 父ジンの行方
クラピカ 奪われた緋の眼と幻影旅団
レオリオ 医者になること
ヒソカ 自分を満足させる強い相手
イルミ 暗殺の稼業。受験の理由は仕事の都合とされる
ポックル 幻獣ハンターとしての仕事
ハンゾー 忍としての立場

追う対象が人それぞれなのは、肩書きの付き方にも出ています(→ ハンターの種類は数えられない)。ここで見たいのは呼び名の側ではなく、免許という同じ道具が7通りに使われたことのほうです。

そう見ると、ハンターという職業そのものを目的にしていたのはポックルくらいだと分かる。残る6人にとって、免許は別の目的へ近づくための手段だった。

ハンターらしく使ったポックルが、最初に死ぬ

免許を本来の用途で使った人物がどうなったか。ここがこの配り方でいちばん引っかかる部分です。

ポックルは幻獣ハンターになった。未知の生物を追う仕事で、ハンターという職業の説明にそのまま当てはまる使い方だ。

そのポックルが、NGLでキメラアントに捕らえられて死ぬ。念の知識を抜き取られ、蟻側が力をつけるきっかけにもされている(→ ポックルは“蟻編の戦犯”なのか?)。7人で死が描かれたのは、この1人だけです。

一方で、免許を私的な目的に使ったヒソカとイルミは物語に残り続けた。ヒソカは幻影旅団に入り、そのあと抜けている(→ ヒソカが幻影旅団に入った理由)。イルミも家業を続けたまま、何度も物語に絡んでくる。

免許どおりに生きた1人が退場し、免許を私用に回した2人が生き延びる。ライセンスは持ち主の安全を保証しない、という見せ方になっていると読めます。

協会の中枢に入ったのは、職業として使っていない側だった

その後の展開も、この読み方と食い違わない。ハンター協会の内側に入ったのは、レオリオとクラピカでした(→ 会長選挙が9回続いた理由)。

2人ともハンターの仕事を本業にしてこなかった側です。レオリオは医大生のまま会長選挙の投票で一時は首位に立ち、そのあと十二支んに加わった。

クラピカが十二支んへ入ったのは選挙のあとで、推薦したのはそのレオリオです。しかもクラピカはノストラード組の若頭を続けたまま。マフィア側に残りながら、協会の内側にも入っている。

一方でハンゾーは、試験のあと長く出てきません。再登場は会長選挙のころで、そのあとクラピカの依頼でカキンの王子の護衛に就く(→ ハンゾーの念能力は本体を置いて出かける)。ハンターの肩書きが協会での位置を決めていないことは、協会の権限の話ともつながります(→ ハンター協会は国家の上にいない)。

7人が散ったのは、試験がゴールではないからだ

金にも、職業にも、身の安全にもつながらない。それでも7人は全員、受け取ったあとに自分の目的へまっすぐ動いています。

つまり免許そのものは、誰の目的でもなかった。冨樫がハンター試験を物語の最初に置いたのは、主人公たちに肩書きを与えるためではない。俺はそう考えています。同じ免許を7人に配り、その使い道の違いで7人の目的を一度に見せたのではないか。

実際、試験が終わったあとの巻で、7人の目的は説明し直されていません。ゴンは父を探し、クラピカは眼を追い、レオリオは医者を目指す。読者はそれを、合格後の行動だけで受け取っている。

7人は全員、同じ免許を持った。だから違いは使い道にしか出ない。売らなかったこと、ポックルだけが本来の用途に使ったこと、協会へ入ったのが本業にしていない2人だったこと。どれも免許ではなく、持ち主の側の話です。

まとめ|合格者7人と免許の使い道

  • 合格したのはゴン・クラピカ・レオリオ・ヒソカ・ポックル・ハンゾー・イルミの7人。キルアはボドロを殺してルール違反で失格になった
  • 最終試験は勝てば即合格・負ければ次の試合へ回る形。ポックルはハンゾーに降参したあと、キルアに勝って合格している
  • ライセンスは売れば7代遊んで暮らせる額になるとされるのに、売ったと描かれた人物はいない。金が要ると公言して受験したレオリオでさえ売らなかった
  • 7人の使い道は1人ずつ違い、ハンターという職業そのものを目的にしていたのはポックルくらい
  • そのポックルが7人で唯一死に、免許を私用に回したヒソカとイルミは物語に残った

ハンター試験は、主人公たちに肩書きを与えるための回ではなかったと読める。同じ免許を7人に配ったからこそ、7人が本当に欲しかったものが見分けられる。合格発表のあとすぐ全員が散っていくのは、そこが終点ではないという合図なのだろう。

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