ヨークシンでウボォーギンが受けたものは、1種類ではありません。マフィアの銃撃では血の一滴も出ていない。ライフルの弾には痛がり、対戦車スーパーバズーカには「さすがにかなり痛えな」と口にしている。
通説の出どころとされる人物が、同じ9巻のなかで3段階の反応を見せている。
「念能力者に銃火器は通用しない」という言われ方は、この最初の1段目だけを取り出したものだ。原作の描写に戻して確かめます。
※ヨークシン編・キメラアント編・王位継承戦編の展開に触れます。
「銃が効かない」の出どころはウボォーギン
広まっているのは「念能力者に銃火器は通用しない」という理解です。ネット上のまとめでは、この思い込みの出どころがウボォーギンだと名指しされている。
実際、こんな題のスレッドまであります。「ウボォーギンとかいう読者に『念能力者は銃火器が通用しない』と勘違いさせてしまった元凶」。別のまとめでは「ウボォーギンのせいで念能力者は物理無効と思われがち」という言い方も見かける。
通説そのものと、その原因になった人物が、セットで語られている。
根拠になっているのは、ヨークシンでウボォーギンがマフィアの銃撃を受けた場面。念能力者は銃弾を弾く。その印象が、そのまま世界観の説明として使われています。
ウボォーギンは弾の重さで反応が変わる
原作でウボォーギンが受けたものを並べると、こうなります。
| 受けたもの | ウボォーギンの反応 |
|---|---|
| マフィアの銃撃 | 血の一滴も出ていない |
| ライフルの弾 | 頭に当たり、痛がっている |
| 対戦車スーパーバズーカ | 「さすがにかなり痛えな」 |
3つとも9巻の中の出来事で、ページ順もこの並びどおり。弾が重くなるほど、反応も大きくなる。
弾を止めているのは発の効果ではなく、強化系としてのオーラの量です(→ ウボォーギンの念能力ビッグバンインパクト)。
だからこの場面が示しているのは「銃が効かない」ではない。彼のオーラの厚みなら、その程度の弾は届かない——言えるのはそこまでです。
同じ弾でも、受け手が変われば結果が変わる
境目をはっきり示す場面がもう一つあります。王位継承戦編で、クラピカが相手の兵の持つ銃を見て評価するところ。
クラピカは9mmパラの弾について、凝でガードしても無傷では済まない威力だと見ていた。凝は、オーラを体の一部に集めて厚みを増す技です。その凝を使ってなお、無傷ではいられないと本人が見積もっている。
クラピカが弱いわけではない。鎖で銃弾を止めることもできる(→ クラピカの念能力は“二段構え”)。それでも、素の防御で受けきれるとは考えていなかった。
マフィアの弾はウボォーギンに通らず、9mmパラはクラピカの凝を抜きうる。この差が出る以上、「念能力者には効かない」という全体の話にはできません。
さらに下には、オーラで身を守る発想を持たない人たちがいます(→ 念を知らない相手に念は効くのか)。ヨークシンの襲撃でも、マフィア側の人員は大量に命を落とした。
効くかどうかは、弾と厚みの釣り合いで決まる
銃が効くかどうかは、銃の側だけでも受け手の側だけでも決まらない。弾の威力と、受け手が張れるオーラの厚みの釣り合いで決まります。
この見方なら、ウボォーギンの3段階もクラピカの見積もりも矛盾しない。同じ基準で説明がつく。
そしてオーラの厚みは、いつでも同じではありません。凝はオーラを体の一部へ集める技(→ 念の応用技「凝・円・硬・流・隠」を整理)。纏と練を同時に行う堅は、身体全体を覆う。
どちらも、使っていなければ効いていない。土台になるのは四大行のほうです(→ 絶・纏・練・発はどう違う?)。
技を使っていない瞬間、意識の外から撃たれた瞬間には、厚みが落ちる。通説がいちばん見落としているのは、この「いつ撃たれたか」の部分だと俺は考えています。
だから言い切れるのは、こうだ。念能力者に銃が効かないのは、ウボォーギン級の厚みがあって、弾がその厚みに届かないときだけ。条件つきの話が、全体の話として受け取られてしまった。
冨樫が銃をなくさなかった理由
そう考えると、この世界に銃が残っている意味も見えてきます。
念能力を持たない人間にとって、銃はほとんど唯一の手段だ。ここを無効にすると、念を使えない登場人物が物語に関われなくなる。
ヨークシン編でも王位継承戦編でも、同じ形が出てきます。念能力者の戦いのそばに、銃を持った人員がいる。戦力として数えられないこともあるけれど、いなくなるわけではない。
さらに上には、念の強さでは避けきれない毒を撒く兵器も置かれている(→ 貧者の薔薇は安いから手放せない)。念が強ければ何でも通るわけではない。上と下の両方から、そう示されている。
銃が効かない世界だと、強さを測る基準が1つだけになってしまう。冨樫はそこを1つにしなかったのだと思う。
まとめ|念能力者に銃は効くのか
- 「念能力者に銃火器は通用しない」という読み方は実在する。出どころはウボォーギンの場面だと名指しされている
- そのウボォーギン自身が、マフィアの銃撃では血も出ていない
- 一方で、ライフルの弾には痛がり、対戦車スーパーバズーカには「さすがにかなり痛えな」と反応している
- クラピカは9mmパラについて、凝でガードしても無傷では済まない威力だと見ていた
- 効く・効かないは銃の側だけで決まらない。弾の威力と、受け手が張れるオーラの厚みの釣り合いで決まる
「効かない」が成り立つのは、ウボォーギン級の厚みで軽い弾を受けたときだけ。その一場面を世界観の説明に広げてしまったのが、この通説でした。上から下まで厚みが分かれているからこそ、この世界の戦いは念だけの話にならずに済んでいる。
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