相手の時間を奪う念能力|30日と8時間で数えているものが違う

相手に押しつける制限時間を決めているのは、時計とは限らない。ハコワレは相手のオーラ量で線を引き、ゲンスルーの爆弾は心拍を数えます。

時計で進むのはヂートゥの8時間だけだ。

何を数えているかで、押しつけられた側が期限にどこまで手を出せるかが変わる。3つを比べると、その幅がきれいに段になっていました。

※グリードアイランド編・キメラアント編・ヨークシン編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

相手に押しつける制限時間は、何を数えているかで3つに分かれる

数えるもの 能力 押しつけられた側にできること
相手のオーラ量 天上不知唯我独損(ハコワレ) 距離を取れば進行を止められる
相手の心拍 命の音(カウントダウン) 落ち着けば遅くできる
実際に流れる時間 ヂートゥの鬼ごっこ 長さそのものは動かせない

原作でこう名前が付いているわけではありません。期限が何を数えているかで仕分けたものです。

3行目へ進むほど、期限の進み方そのものへ手が届かなくなる。止められる・遅くできる・動かせない、の順に落ちていきます。

ハコワレの30日は、相手のオーラ量で線が引かれる

ナックルの天上不知唯我独損(ハコワレ)は、殴った威力ぶんのオーラを相手に貸し付ける能力だ。利息は10秒で1割ずつ増えていく。

貸付と利息の合計が相手のオーラの絶対量を超えると破産。そこから30日間、その相手はオーラを一切使えなくなります。能力の収支は ナックルの念能力ハコワレを“借金の収支”で読む で分解しました。

オーラ量が決めているのは、破産という線がどこに引かれるかです。オーラの多い相手ほど線が遠い。強い相手ほど、破産までの距離が長くなる。

ただし、そこへ着くまでの時間は相手も動かせる。利息が積まれるのはナックルとの距離が100m以内にいるあいだだけ。離れてしまえばカウントは進みません。

止める手が残っている。押しつけられた側に残る余地は、3つのなかでいちばん大きい。ちなみに落とされた絶を自力で解くことはできません(→ ハンターハンターの絶は誰が決めるのか)。

貸したぶんナックル自身のオーラは減ります。相手を止めているあいだ、こちらの攻撃力は増えていない。

カウントダウンは心拍を数える|焦るほど早く0へ近づく

ゲンスルーの命の音(カウントダウン)は、触れた相手の体に爆弾を仕込む能力。数字が減っていくが、減らしているのは秒針ではない。

数えているのは心拍だ。作中で示されるのは6000という回数で、心臓が速く打つほど早く0へ近づきます。

同じゲンスルーでも、殴って爆発させる一握りの火薬(リトルフラワー)のほうに猶予はない。期限を押しつけるのはカウントダウンだけ。手の内を明かす戦い方は ゲンスルーの念能力は手の内を全部明かす で書いています。

数え方そのものは、遅くはできても止められません。生きているかぎり心臓は打ち続けるからだ。ハコワレのように、距離を取ってカウントを止める手は使えない。爆弾を消す道は別に用意されていて、ゲンスルーに触れながら合言葉を言い当てる必要がある。

落ち着いていれば延び、走れば縮む。逃げるほど不利になり、追い立てる側に有利が寄っていきます。

ヂートゥの8時間だけは、長さを誰も動かせない

ヂートゥの鬼ごっこには、作中で明かされた技名がない。念の空間に相手を閉じ込め、8時間のうちに自分を捕まえさせる能力だ。

8時間という長さは能力そのものが決めている。ヂートゥが中央の巨大な砂時計をひっくり返すと始まり、鬼にされた側は砂時計に触れません。

捕まえられないまま8時間が過ぎると、鬼にされた側に何かのペナルティが科される。中身は作中で描かれないままです。

期限の進み方に手が出せないのが、この型の特徴です。距離を取っても、呼吸を整えても、砂は同じ速さで落ちる。終わらせたければヂートゥ本人を捕まえるしかない。

そこが弱点にもなった。モラウはこれを消耗戦だと読み、ヂートゥの集中力が8時間もたないほうに賭けています。読みは当たり、粘ったすえに捕まえて勝った。

誰にも動かせない期限は、押しつけた本人にも同じ速さで流れていたわけだ。速さの使い道そのものは、また別の話です(→ ヂートゥの念能力は速さを活かせていない)。

相手の時間を奪って自分が強くなったのは、レオル1人だけ

3つに収まらない能力が1つある。レオルの謝債発行機(レンタルポッド)です。

恩を売った相手から能力を借りる能力で、レンタルは1回1時間。借りているあいだ、貸した側は自分の発が使えなくなります。

ここまではハコワレと同じ形だ。止める長さが30日から1時間になっただけに見える。

違うのは、止めた発をレオル自身が振るう点です。モラウ戦では、グラチャンの TUBE(イナムラ)を借りて水で攻めている。

ハコワレもカウントダウンも鬼ごっこも、押しつけた側の手数は増えない。期限を押しつけるだけで、こちらの攻撃力は変わらない。レンタルポッドだけが、奪った1時間ぶん自分の手札を増やしている(→ レオルの念能力レンタルポッド)。

制限時間は相手を止めるための道具。その読み方が、ここで1つだけ崩れます。

期限が相手ではなく自分に付く念能力もある

向きが逆の例がもう1つある。クロロの盗賊の極意(スキルハンター)だ。

能力を盗む条件は4つあり、その4つめが「1〜3までの作業を1時間以内に済ませること」。ここにも1時間という期限が出てきます。

ただし急がされるのはクロロのほうだ。盗まれた側に期限は付きません。

同じ1時間でも、時計を見る側が入れ替われば、期限は武器ではなく足かせに変わります。急がされる側に立った瞬間、それは自分を縛る条件だ。念能力の弱点は発動条件に集まる でも触れたとおり、発動条件は弱点になりやすい。

3つの分け方が効くのは、期限が相手側に置かれているあいだだけだ。置き場が変わると、同じ長さでも意味が反転します。

まとめ|相手の時間を奪う念能力が数えているもの

  • 相手に押しつける制限時間は、何を数えているかで3つに分かれる。相手のオーラ量(ハコワレ)/相手の心拍(カウントダウン)/実時間(ヂートゥの鬼ごっこ)
  • ハコワレはオーラ量で破産の線が引かれ、破産すると30日間の絶になる。ただし100m離れれば利息のカウントは止まる
  • カウントダウンが数えるのは心拍6000回。落ち着けば遅くできるが、止めることはできない
  • ヂートゥの8時間は、押しつけられた側には進み方を動かせない。ただし押しつけた本人にも同じ8時間が流れ、そこを突かれて敗れた
  • レオルのレンタルポッドだけが、止めた1時間のあいだ相手の発を自分で使っている

押しつけられた側の手が届かないほど、期限は押しつけた側にも重くなる。俺はこの3つをそう読んでいます。

ヂートゥを崩したのは速さではなかった。自分で選んだ数え方が自分の側にも同じだけ効いていて、モラウはそこを待っていた。

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