ウショウヒの念能力|殺人を無罪にする方法は標的のそばを離れられない

ウショウヒの念能力は、人を殺すために何を背負っているのか。答えは、標的のそばを離れられないことと、見つかって外されたら同じ相手を二度と狙えないこと。威力の縛りではありません。

※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

第1王子ベンジャミンの私設兵ウショウヒ。その発は「殺人を無罪にする方法(スタンドバイミー)」。王位継承戦の船の中で、第8王子サレサレの暗殺に使われました。

ウショウヒの念能力「殺人を無罪にする方法」は虫射球を取り憑かせて殺す

ウショウヒが標的に取り憑かせるのは、虫射球(ニードルボール)と呼ばれる虫のような球です。取り憑いた虫射球が、時間をかけて標的を殺す。

殴る・撃つといった直接の攻撃は、この発の中にありません。ウショウヒ本人は標的の近くにいるだけで、手を下す場面は要らない作りです。

能力の中身は、ウショウヒ自身が語っています。系統は、はっきりしていない。

殺人を無罪にする方法が払っているのは威力ではない

説明される条件を集めると、5つになります。

  • ウショウヒと標的が半径20mより離れると、能力が解ける
  • 虫射球が標的を殺すまでには、潜伏の時間がかかる
  • 標的が念能力者でない場合は、効果が出るまでさらに時間がかかる
  • 虫射球を直接取り除かれると、その相手には二度と使えない
  • 念能力者には虫射球が見え、羽音が聞こえる

このうち4つは、ウショウヒの側が背負う不自由です。近くに居続ける。待つ。外されたら終わり。

逆に、出てこない縛りもある。威力を下げる、同時に狙える人数を絞る、1日に使える回数を決める、といったもの。無いと決まったわけではなく、語られていないだけです。ただ、語られた条件はそろって「距離」「時間」「一度きり」の側に寄っている。

手に入るのは、正面から戦わずに標的を殺せること。相手が気づかないうちに、潜伏の時間は過ぎていく。そのあいだウショウヒは、何もしていない人のように近くに立っているだけ。

虫射球の4つの条件は、離れたときと見つかったときに効く

払うものと、それで手に入るものを対応させると、次のようになります。

条件 ウショウヒが払うもの 手に入るもの
半径20mより離れると解ける 標的のそばを離れられない 近くにいる理由さえあれば、攻撃の動きが要らない
殺すまでに潜伏の時間がかかる すぐには殺せない 潜伏が済めば、標的と戦わずに殺せる
念能力者でない相手はさらに長くかかる 弱い相手ほど待たされる 時間をかければ、念で身を守れない相手も殺せる
直接取り除かれるとその相手には二度と使えない 失敗のやり直しがきかない 見つからなければ、最後まで止められない

念能力者でない相手ほど長くかかる、という条件は、普通の攻撃と向きが逆です。普通なら、念を使えない相手のほうが楽に倒せる。俺が見るかぎり、この発でいちばん変わっているのはここ。

念能力者でない相手にも念は効くが、効き方が違う。その一例として読めます(→ 念を知らない相手に念は効くのか)。

4つの条件は、どれも戦っている最中の不利ではありません。不利が出るのは、標的と離れたときと、見つかったとき。

フウゲツの部屋とサレサレの部屋|20mの条件が効いた2つの場面

ウショウヒは最初、第11王子フウゲツのもとに出向しています。のちに第8王子サレサレの部屋へ移り、そこで暗殺を実行しました。

フウゲツの部屋では、標的が20mの外へ出た

フウゲツの部屋で、虫射球は届かなくなります。離れる場面そのものは描かれていない。部屋にフウゲツがいないことから、秘密の扉で部屋を出て20mの外へ離れた、と読めます(→ 2人セゾンと秘密の扉)。

ウショウヒは同じ場面で、フウゲツの守護霊獣の能力を電話でリハンに話してしまう。リハンの発は、相手の能力を知らないまま当てたときに威力が上がる作り。先に答えを聞かされたのは、リハンにとっては損でした(→ リハンの念能力はなぜ48時間の空白を払うのか)。

この場面では、そばに居続ける条件を満たせず、手に入ったものはありません。相手が自分で動ける能力を持っていると、20mは破られやすい。

サレサレの部屋では、そばに居続けられた

No.381 で、リハンはサレサレの守護霊獣を捕食します。捕食のあとは48時間、念が一切使えない。そこで、フウゲツについていたウショウヒがリハンと警護を交代しました。

警護の役なら、標的の部屋にいるのが当たり前です。20m以内に居続ける条件は、警護に就いた時点でそろう。No.382 で、サレサレの死亡が確かめられます。

この場面で払ったのは、潜伏の時間が過ぎるまで待つことでした。手に入ったのは、王子本人と戦わない暗殺。継承戦では、母の序列が上の王子が、下の王子の部屋へ兵を置ける。この発がいちばんよく働くのは、その仕組みの上です(→ ベンジャミンが送り込んだ私設兵)。

羽音は払うものに数えない|念能力者には見え、聞こえる虫射球

5つの条件のうち、1つだけ扱いの違うものがある。念能力者には虫射球が見え、羽音が聞こえること。

距離でも時間でも一度きりでもない。ウショウヒが背負う不自由というより、能力の見つかりやすさの話です。

それでも、羽音は4つ目の条件と切り離せない。見えて聞こえる相手なら、虫射球を見つけて取り除けるからです。取り除かれれば、その相手には二度と使えない。

ウショウヒ自身も、心の中で羽音の使い道を挙げています。相手の耳元で羽音を立てて反応を見れば、念能力者かどうかを見分けられる。弱みを、人を選り分ける道具に回している形。

念能力者を狙うほど早く殺せるが、そのぶん見つかりやすい。念能力者でない相手は見つけられないが、そのぶん待たされる。羽音の条件は、待つ時間の条件と表裏になっています。

ウショウヒの強さは、そばに居続けられる立場で決まる

殺人を無罪にする方法は、正面の戦いには向かない発です。相手が動けば20mは破られ、見つかれば外される。

それでも王位継承戦の船の中では、条件が勝手にそろいます。第1王妃の子ベンジャミンの兵が、序列が下の王妃の子の部屋に置かれ、警護として標的の近くに立てる。王子が自分では戦えない継承戦の仕組みとも、相性がいい(→ 王位継承戦で王子は自分では戦えない)。

接触を条件にする念能力では、触れるまでの段取りが難しくなりやすい(→ 触れないと効かない念能力)。ウショウヒの場合、その段取りが「近くにいても怪しまれない立場」に置き換わっている。能力の外側にある立場まで含めて、1つの発として働いています。

ウショウヒの念能力が払うものは、2つに寄っている。標的のそばを離れられないことと、一度外されたら同じ相手を二度と狙えないこと。裏を返せば、警護の立場を失ったとき、この発の強みはほとんど残りません。

冨樫はこの発を、正面の戦いの道具ではなく、警護として標的の隣に立てる者の道具として作ったと読めます。

まとめ|ウショウヒの念能力が払うもの

  • 殺人を無罪にする方法は、虫射球を取り憑かせて標的を殺す発。直接の攻撃は含まない
  • 説明される条件は5つで、うち4つが距離・待つ時間・一度きりの側に寄る。威力や人数の縛りは語られない
  • フウゲツの部屋では、標的が20mの外へ出て届かなかった。サレサレの部屋では、警護の立場で近くに居続けて暗殺が済んだ
  • 念能力者に見え、聞こえる羽音は払うものに入らない。ただし、見つかって外される弱みと、念能力者を見分ける使い道の両方につながる
  • 戦いには向かず、近くにいても疑われない立場があるときにだけ強い

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