協会が用意した念の教え口は、クラピカが開いた講習だけだった。第4王子ツェリードニヒは、そこに出ていない。
手ほどきをしたのはテータとサルコフです。どちらも王子自身が抱えている私設兵。しかも2人とも、王子を危うい存在だと見たうえで教える側に回っている。
王子への向き合い方・教えている中身・絶の身につけ方。この3つでテータとサルコフを比べると、答えが割れるのは真ん中だけだった。
※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
協会が開いた念の講習に、第4王子は出ていない
協会の側が用意した念の教え口は1つ。クラピカが開いた講習です(→ クラピカの念講習)。
受けに来たのは各陣営の護衛と私設兵で、王子本人ではない。ツェリードニヒ陣営からもミュハンとダンジンという私設兵が出ていました(ミュハンは講習の序盤で殺害されています)。
協会が教えたのは兵までで、王子には届いていない。王子に念を渡したのは、自分の陣営の中にいた人間だった。
協会が押さえているのは入り口までで、その先は渡す側が決める。当サイトでは別の記事でもそう書きました(→ 念能力を教えていいのは誰か)。ここで見たいのは、その渡す側が王子の雇い人だったという点です。
なおテータとサルコフは、船を降りるまで有効な準協会員の資格を持つ念能力者だとされています(→ 王位継承戦の人数の上限は15人)。
テータとサルコフで、答えが割れるのはどこか
2人を同じ基準で見ると、こうなります。
| 基準 | テータ | サルコフ |
|---|---|---|
| 王子への向き合い方 | おぞましさを強く危惧 | 守護霊獣の危険をテータと内密に相談 |
| 教えている中身 | 非効率な修行 → 絶を急がせる | 絶に入るまでの時間を縮める |
| 絶の身につけ方 | 本編で描かれていない | 生まれたときからできたとされる |
王子への向き合い方は、2人ともほぼ同じ答えになる。好意的に仕えていると読める描写は、どちらにも見当たりません。
割れるのは真ん中です。テータの側だけ、教えている中身が途中で逆を向く。
3行目は片方しか埋まりません。テータが絶をどう身につけたかは描かれていない。だから比較には使えないが、サルコフの側の事情としては後で意味を持つ。
指南役が交代したこと自体は、差ではなく前提。テータが降りたあと、サルコフが引き継いで今も続いている。
テータの教え方は、途中で狙いが変わっている
最初にテータが組んでいたのは、王子に念を覚えさせないための修行でした。非効率なやり方を選んで、習得を先送りにしていた。
ところが No.376「決意」でのテータの独白は、その逆だった。あと11日で王子の絶の習得を間に合わせる、という内容でした。遅らせる側から急がせる側へ回っている。
11日が何の期限なのかは作中で明かされません。読者の考察では、クラピカの念講習が終わる日だと読まれています。受講しているダンジンが念を覚えて戻れば、非効率な修行は露見する。そう読む向きがあります。
理由はもう1つ考えられる。絶は自分のオーラを断つ技で、その間は無防備になる。始末する側から見れば、絶を覚えさせることは隙を作らせることでもある。俺には、この2つが1つの行動で両立していたように見えます。
遅らせるための修行と、隙を作るための修行。同じ「絶を教える」で、狙いだけが入れ替わった。教えない側から、殺すために教える側へ回ったと読めます。
サルコフの教え方は変わらず、本人が追い抜かれていく
No.386「仮説」でテータは指南役を降り、サルコフが引き継ぐ。No.402「手紙」でもサルコフが指導を続けている。
サルコフのほうは、教える中身が一貫している。絶に入るまでの時間を縮める訓練。狙いが入れ替わっていない。
ここで効いてくるのが3行目です。サルコフは生まれたときから絶ができたとされる。それでも自分が10秒を切るまでには1年かかったとされます。ツェリードニヒは数日でそこに届いている。
テータは王子の習得を止めようとして失敗し、サルコフは止めようとせずに追い抜かれた。2人の教え方は違うのに、王子が絶を身につけたという結果は変わらない。
ツェリードニヒの能力そのものは別に整理しました(→ ツェリードニヒの念能力が“反則級”な理由)。ここで見ているのは、その力がどこから渡されたかです。
テータとサルコフが教え手になったのは、船の決まりごとの結果
なぜ2人とも私設兵だったのか。船の中の決まりごとを見ると、そうなるしかなかったと分かる。
協会の講習は兵に向けて開かれていて、王子は受けに来ない。王子の身の回りにいるのは自分の陣営の人間だけ。念を渡せる位置にいるのは、雇われている側しかいない。
雇われている側には、教えるのを断る道がない。断れば王子の不興を買います。テータが選んだのが「教えるふりをして遅らせる」だったのは、断れない位置にいたからだと読める。
しかも、その位置は同時に「いちばん近くで刺せる位置」でもある。テータが絶を急がせたのは、教え手であることを利用した手だと読めます。
危ういと思っている相手に、断れない人間が、いちばん近くで力を渡していく。だから王子の成長を外から止める手は残らない。止められる位置は、いちばん近くにしかありません。
まとめ|ツェリードニヒに念を教えたのは自分の私設兵だった
- 協会が用意した念の教え口はクラピカの講習だけで、受けたのは各陣営の兵。ツェリードニヒ本人は出ていない
- 手ほどきをしたのはテータとサルコフ。どちらも王子自身の私設兵で、準協会員の資格を持つ念能力者だとされる
- テータは王子を強く危惧しており、サルコフもその危険性を共有したうえで引き継いでいる
- 割れるのは教えている中身。テータの狙いだけが、遅らせる側から急がせる側へ入れ替わる
- 念を渡せる位置にいたのは、断れない雇われの側しかいなかった
同じ役を引き継いだ2人だが、教えている狙いは違う。テータは止めようとして失敗し、サルコフは止めようとせずに追い抜かれている。
念の手ほどきは、協会からでも外からでもなく、王子を危ういと見ている身内の側から渡された。だから止める手は、王子のいちばん近くにしか残っていません。
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