ハンター十ヶ条で個人を縛るのは3条だけ|残る7条は協会の規約

ハンター十ヶ条で、ハンター本人に命令か禁止をしている条文は3条だけ。其の一・二・四です。

残りの7条が決めているのは、ライセンスの効力、星の付け方、協会の運営。掟というより、協会の規約に近い中身。

作中で十ヶ条が持ち出される場面も、その3条を守らせる展開にはなっていません。出てくるのは、縛りを外す但し書きと、条文の外に足された枠のほうです。

※会長選挙編・王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

ハンター十ヶ条の一覧|10条を「誰の何を決めているか」で分ける

10条がまとめて示されるのは、32巻 No.331「X日」。会長選挙編の途中です。

条文を要旨にして、決めている対象ごとに分けると次のとおり。

条 決めていること(要旨) 分類
其の一 何かを狩らねばならない 個人の行い
其の二 最低限の武の心得が要る。最低限とは念の修得 個人の行い
其の三 ライセンスは取り消されず、再発行もされない 資格の効力
其の四 同胞のハンターを標的にしてはいけない 個人の行い
其の五 一ツ星の条件 星
其の六 二ツ星の条件 星
其の七 三ツ星の条件 星
其の八 会長の資格と、空席のときの代行 協会の運営
其の九 新しい同胞の選抜方法を決める権限 協会の運営
其の十 ここに無い事柄を決める閣議 協会の運営

個人の行いが3条、資格の効力が1条、星が3条、協会の運営が3条。其の四には但し書きが付いていて、これは後で読みます。

星の3条の中身は 三ツ星ハンターの条件に強さは入っていない で1条ずつ読んでいます。

個人を縛る3条だけが「ハンターたる者」で始まる

其の一・二・四は、どれも「ハンターたる者」で書き出される。文末は「狩らねばならない」「必要である」「してはいけない」。主語がハンター本人で、述語が命令か禁止の形です。

其の二は、資格の条件とも読める条文。ただ、書き出しは其の一・四と同じで、文末もハンター本人に「必要である」と求めている。資格の側へ移せば、個人の条文は2条に減ります。

其の三はライセンスの持ち主に関わる条文。ただし述語は「取り消されることはない」「行われない」で、協会がライセンスをどう扱うかを決めている。個人の側に数えても4条で、半分に届きません。協会に辞める手続きが無い点との関わりは ハンターハンターの組織に入る3つの道 で扱いました。

星の3条は、どれも「星が与えられる」で終わる。命令も禁止も入っていない。

もう1つ、10条のどこにも、守らなかったハンターを罰する規定は書かれていません。縛る条文が少ないうえに、縛った先の罰も無い。十ヶ条は、ハンターの振る舞いを細かく決める文書にはなっていないわけです。

会長の資格を決める其の八|全同胞の過半数

運営の3条のうち、会長選挙の場面にいちばん関わるのが其の八。

書き出しは「ハンターの最高責任者たる者」。其の一・二・四と似た形でも、中身は行いの決まりではありません。会長になれる条件と、席が空いたときの手順です。

  • 会長の資格には最低限の信任が要り、「最低限とは全同胞の過半数である」
  • 会長の座が空いたら次の会長を選び、決まるまでの代行権は「副たる者」に与えられる

会長選挙の当選条件にも、過半数が入っていました。その選挙は、過半数に届かない回が重なって9回まで続いている(回ごとの票は 会長選挙が9回続いた理由)。

其の九と其の十も、決めているのは協会の手続き。其の九は、新しく加わる同胞を選ぶ方法の決定権を会長に置きます。従来の方法を大きく変えるときは、全同胞の過半数の信任が要る。其の十は、十ヶ条に無い事柄を、会長とその副たる者、参謀諸氏の閣議で決めるとしています。

10条が示されるのと同じ話で、ジンはX日が次のハンター試験の日だと話します。そのうえで、十ヶ条の解釈しだいで状況が変わる、という趣旨を付け加える。ジンはどの条とは言いません。

運営の条文を当てはめると、1つの読みが立ちます。試験の方法を決めるのは会長(其の九)。会長の席が空いていれば、代行の権限は副たる者に行く(其の八)。当時の副会長はパリストンでした。

試験の日までに会長が決まるかどうかで、次の試験の方法を決める人が変わりうる。俺はジンの言葉をそう読みます。この読みが正しければ、十ヶ条で選挙編の話を動かしうるのは、個人を縛る条文より運営の側です。

ハンター十ヶ条 其の四の但し書きは、禁止を解く条件を条文に含む

個人の3条のうち、1つだけ例外があります。其の四です。

「ハンターたる者 同胞のハンターを標的にしてはいけない 但し甚だ悪質な犯罪行為に及んだ者に於いては」。条文はこう続き、そういう者には禁止が及ばない、と締めくくられる。

其の二(と運営側の其の八)にも「最低限とは」という補足は付いている。ただ、あれは範囲を決める補足で、縛りを解くものではない。禁止を解く条件を条文の中に持つのは、其の四だけです。

しかも、その但し書きは罰の規定ではない。悪質な犯罪に及んだハンターを罰するとは書かれていません。外れるのは、同胞から狙われないという守りだけ。ハンターの特権が個人に付いていることは ハンター協会は国家の上にいない で書いています。

この但し書きに沿う動きが出るのが、31巻 No.328「手配」。キルアは、十ヶ条の改訂を主張する立候補者がいたことを思い出す。そして其の四の但し書きに沿う筋道を、モラウに示します。イルミの行いが「甚だ悪質な犯罪行為」に当たれば、同胞のハンターに追わせられる、という筋道です。

ここでの其の四は、縛りとして働いていない。狙ってよい相手を作る根拠として使われています。何が「甚だ悪質」に当たり、誰がそれを決めるのかは、其の四の中には書かれていない。其の十の閣議に回ると読む余地はありますが、条文を読む人しだいで向きが変わる作りです。

準協会員は十ヶ条の外にある期限つきの枠

もう1つの例外は、10条の外側にあります。

暗黒大陸へ向かう船では、渡航しているあいだだけ有効な、期限つきの協会員の身分が使われている。準協会員です。ファン向けの解説サイトでは、この枠は十ヶ条の改訂を避けて、其の二に副項目として足されたものと説明されています。

分類の上では、十ヶ条は10条で閉じている。説明どおりなら、そこへ条文を1つ増やさず、既にある条の下に項目を足したことになります。

足された先が其の二だったのも気になるところ。其の二は、個人を縛る3条のうち、ハンターになる側の条件にいちばん近い条文です。本文を書き換えないまま、その条件の下に入口を1つ足した形になる。

期限つきの身分を十ヶ条の本文に書き込むと、其の三の「取り消されることはない」と食い違って見えます。副項目に回したのは、その食い違いを本文に持ち込まずに済む足し方でもあった。これは俺の読みで、作中でそう説明されているわけではありません。

準協会員が船の上でどう扱われているかは、ブラックホエール号の殺人を捜査しているのはハンター協会 で触れています。

ハンター十ヶ条が持ち出されるのは、運営の条文と縛りを外す・足す場面

十ヶ条が持ち出された場面を比べると、向きがそろっています。解釈の余地があったのは、代行を決めた其の八と、選抜の方法を会長に置いた其の九。キルアが手を伸ばしたのは、其の四の但し書き。暗黒大陸への渡航で使われたのは、其の二に足された副項目。

十ヶ条の名を挙げて縛りとして使われた場面は、既刊の範囲では見当たりません。使われたのは運営の手順と、外す条件と、足された枠。十ヶ条の読み方で状況が変わるのは、書かれていない部分が大きいからだと思います。

一覧で見るとき、俺がまず見るのは其の一・二の2条より、運営の3条と其の四の但し書き、其の二の副項目のほう。十ヶ条が作中で役割を持つのは、そちらの条文だからです。

まとめ|ハンター十ヶ条は何を決めているか

  • 10条を分けると、個人の行い3条・資格の効力1条・星3条・協会の運営3条
  • 「ハンターたる者」で始まり、命令か禁止で終わるのは其の一・二・四だけ。10条のどこにも罰の規定は無い
  • 其の八は会長の資格を全同胞の過半数とし、空席のときの代行を副たる者に与える
  • 其の四の但し書きは、禁止を解く条件を条文の中に持つ。キルアはこれに沿ってイルミを追わせる筋道を立てた
  • 準協会員は、十ヶ条を改訂せずに其の二の下へ足された枠と、解説サイトで説明されている

十ヶ条が作中で持ち出されるのは、ハンター本人を縛る場面ではありません。協会の運営が決まるときと、縛りを外すとき、枠を足すときです。

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