原作の外側に作られたもののうち、本編の年表に乗ったのは0巻だけです。
劇場版2作は原作の出来事として扱われていません。敵役も原作に出てこない人物。いっぽう紙で配られた0巻は、そこに出てきた人物が本編にも登場しました。
同じ「原作の外側」でも、本編との関わり方は3つに分かれる。そして分かれ方は、映像か紙かという形式では決まっていません。
※ヨークシン編と、0巻に収録された読み切りの内容、連載再開後の幻影旅団の回想に触れます。アニメと劇場版の内容にも触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
劇場版・0巻・アニメを原作との距離で3つに分ける
見るのは2点。原作の出来事として扱われているか。そして、その中身が本編の側にも出てきたか。
この2点で分けると、原作の外側に作られたものは3通りになる。
| 本編との関わり方 | 何が置かれているか |
|---|---|
| 原作の出来事として扱われていない | 劇場版 緋色の幻影(2013年1月12日公開)/劇場版 -The LAST MISSION-(2013年12月27日公開) |
| 本編の年表につながっている | 0巻の読み切り「クラピカ追憶編」 |
| どちらにも入らない | 1999年版のテレビシリーズで放送された、原作に無い回 |
劇場版と0巻が逆を向いている。2作の映像は原作の外に残り、劇場でしか配られなかった1冊が本編につながった。
劇場版2作は原作の出来事として扱われていない
2作の敵役は、どちらも原作に出てこない人物。そして2作とも、原作が細かく書いていない場所に入っています。
1作目のオモカゲには「元幻影旅団の4番」という設定が付いています。ただしこれは劇場版の側で決められたもので、原作はその席にいた人物の名前を書いていない(→ 幻影旅団の団員ナンバー一覧)。原作が名前を明かしていない席に、劇場版側の人物を当てています。
2作目が入っているのは、ネテロの過去とハンター協会の裏側。協会がどう成り立ち、内側に何を抱えていたのかは、本編でも断片しか語られない(→ ハンター協会は国家の上にいない)。ここも原作が埋めていない場所で、そこへオリジナルの敵役を立てている。
2作とも、原作が書いていない空白を使っている。だから原作の側の記述と衝突せずに済む。
では2作は原作のどの時点の話なのか。ここは公式に示されていない。資料のあいだでも置き場所が割れているので、編の名前で「このあいだの話」と決めることはできません(→ ハンターハンターのアニメはどこまで?)。
公開は緋色の幻影が2013年1月で、-The LAST MISSION- が同じ年の12月。どちらも原作の出来事として扱われていません。だから本編のどこを読んでいても差し支えない位置にあります。
0巻の読み切りだけが本編の年表に乗った
紙のほうは逆。0巻は緋色の幻影の入場者特典として、全国先着100万名に配られた非売品でした。収録されているのは読み切り1本で、初出は週刊少年ジャンプ2013年の1号と2号。「クラピカ追憶編」と呼ばれているものです。
中身はクルタ族の惨劇の前日譚。クラピカが村を出るまでの経緯が描かれる(→ クルタ族が滅ぼされた理由)。ただし襲撃そのものが直接描かれるわけではない。追憶編に出てくるのは、事件を報じた紙面です。
決定的なのは、そのあとに起きたこと。追憶編に出てきたシーラという人物が、のちに本編の幻影旅団の回想に登場しました。外側の配布物に出てきた人物が、本編の中でも動いている。
0巻は本編の材料としても使われている。収録された質問への回答が、クラピカの生死の議論にまで持ち出されています(→ クラピカ死亡説の根拠は3つ)。特典の冊子なのに、本編を読む側の材料として扱われてきた。
配り方と行き先が逆になっている点に、俺は引っかかった。劇場でしか配られなかった冊子の中身が、全国で公開された映像より本編に近い場所にある。
原作に無い回は、どちらにも置き場がない
1999年版のテレビシリーズには、原作に無い回がありました。ファンのあいだで「軍艦島」と呼ばれることがある回です。この呼び方は公式の編名ではない。
こちらは3つ目に入る。原作の出来事として扱われておらず、本編の側にも出てこない。テレビシリーズで放送されただけで、劇場版や単行本には収録されていません。
分類の外に出る理由は、0巻と比べるとはっきりする。0巻には本編の年表に接続する材料があり、こちらには無い。クルタ族の過去のような、本編が後から使える中身を持っていない。だから放送された回の中だけで終わっています。
同じ1999年版でも、OVA3作は原作の続きを映像にしたもの。原作に無い回は挟まれていないので、この分類には入らない。外側に作ったかどうかではなく、中身が本編とつながるかどうかで並びが決まる。
分けているのは形式ではなく中身
3つを見ると、形式では説明が付かないと分かる。
映像だから本編の外、というわけではない。OVA3作は原作の続きを映像にしています。紙だから本編の内、でもない。0巻が本編につながったのは、中身がクルタ族の過去だったからです。
効いているのは中身です。原作の年表に接続できる話を入れたか、原作が空けている場所で別の話を作ったか。その差が、あとになって本編に使われるかどうかを分けたように読めます(→ 緋の眼はなぜ市場を渡り歩くのか)。
いちばんはっきり出ているのが、1作目と0巻の関係。どちらも約10年前の未公開ネームが元になっているとされ、出どころは同じ。それでも中身は別の話で、行き先も分かれました。
同じ出どころから、映像は原作の外へ、紙は原作の年表へ。分け方が先にあったのだとすれば、外側に作るものを最初から2通りに分けていたことになります。
まとめ|劇場版2作と0巻を分けたのは中身だった
- 原作の外側に作られたものは、本編との関わり方で3つに分かれる。分けているのは映像か紙かという形式ではなく、中身が本編とつながるかどうか
- 劇場版は緋色の幻影(2013年1月12日公開)と -The LAST MISSION-(2013年12月27日公開)の2作。1作目は原作が名前を明かしていない席に、2作目は原作が細かく書いていないネテロの過去に、それぞれオリジナルの敵役を立てている
- 2作が原作のどの時点の話かは公式に示されておらず、資料のあいだでも割れている
- 0巻は1作目の入場者特典で全国先着100万名に配られた非売品。読み切り「クラピカ追憶編」を収録し、初出は週刊少年ジャンプ2013年の1号と2号
- 追憶編の人物シーラは、のちに本編の幻影旅団の回想に登場した。3つのうち本編の側に出てきたのはこの1冊だけ
映像として作られた2作は原作の外に残り、紙で配られた1冊だけが本編の年表に乗った。同じ未公開のネームが元だとされる2つが、中身の違いだけで別の場所に落ち着いています。
関連記事:
- ハンターハンターのアニメはどこまで? — 映像になった範囲と劇場版の位置づけ
- 幻影旅団の団員ナンバー一覧 — 団員の番号と、4番の席に座った人物
- クルタ族が滅ぼされた理由 — 追憶編がつながっている過去
- クラピカ死亡説の根拠は3つ — 0巻が議論の材料になっている例
- 緋の眼はなぜ市場を渡り歩くのか — 惨劇のあとに残ったもの

