念能力の元ネタと作品の題名|同じ名前はキメラアント編から増えた

題名と重なる念能力の名前は、数えると18件あります。キメラアント編より前に出てくるのは3件だけ。残る15件は、キメラアント編とそのあとに集まっている。

ただ、どの名前についても、冨樫が「この作品から取った」と語った記録は見つかりません。元ネタとしてよく挙がる名前も、確かめられるのは「題名と同じ語が入っている」ところまでです。

※ヨークシン編からヒソカ対クロロ戦、王位継承戦編までの念能力の名前に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

念能力の元ネタと言われる作品の題名18件を、出てくる編で分ける

念能力の名前 使い手 同じ題名の作品 題名が入る側 編
神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク) コルトピ 楳図かずおの漫画『神の左手悪魔の右手』・細野不二彦の漫画『ギャラリーフェイク』 両側 ヨークシン編
切り裂き美容師(シザーハンズ) ビノールト ティム・バートンの映画『シザーハンズ』 ルビ側 グリードアイランド編
桃色吐息(ピアノマッサージ) ビスケ 高橋真梨子の曲「桃色吐息」 漢字側 グリードアイランド編(魔法美容師の初出)
気狂いピエロ(クレイジースロット) カイト ゴダールの映画『気狂いピエロ』 漢字側 キメラアント編
玩具修理者(ドクターブライス) ネフェルピトー 小林泰三の小説『玩具修理者』 漢字側 キメラアント編
黒子舞想(テレプシコーラ) ネフェルピトー 山岸凉子の漫画『舞姫 テレプシコーラ』 ルビ側 キメラアント編
蝿の王(ベルゼブブ) シャウアプフ ゴールディングの小説『蠅の王』 漢字側 キメラアント編
龍頭戯画(ドラゴンヘッド) ゼノ 望月峯太郎の漫画『ドラゴンヘッド』 ルビ側 キメラアント編
許されざる者(ペインパッカー) フェイタン イーストウッドの映画『許されざる者』 漢字側 キメラアント編
太陽に灼かれて(ライジングサン) フェイタン ミハルコフの映画『太陽に灼かれて』 漢字側 キメラアント編
暗い宿(ホテルラフレシア) シュート 有栖川有栖の短編集『暗い宿』 漢字側 キメラアント編
人間の証明(オーダースタンプ) クロロ 森村誠一の小説『人間の証明』 漢字側 暗黒大陸編(ヒソカ対クロロ戦)
栞のテーマ(ダブルフェイス) クロロ サザンオールスターズの曲「栞のテーマ」 漢字側 暗黒大陸編(ヒソカ対クロロ戦)
百万回生きた猫(ネコノナマエ) カミーラ 佐野洋子の絵本『100万回生きたねこ』 漢字側 王位継承戦編
星を継ぐもの(ベンジャミンバトン) ベンジャミン ホーガンの小説『星を継ぐもの』・フィッツジェラルドの短編を原作とする映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 両側 王位継承戦編
11人いる!(サイレントマジョリティー) 使い手は不明 萩尾望都の漫画『11人いる!』・欅坂46の曲「サイレントマジョリティー」 両側 王位継承戦編
異邦人(プレデター) リハン(ベンジャミンの私設兵) カミュの小説『異邦人』 漢字側 王位継承戦編
2人セゾン(キミガイナイ) カチョウの守護霊獣 欅坂46の曲「二人セゾン」「キミガイナイ」 両側 王位継承戦編

数えたのは、漢字側かルビ側に、すでにある作品の題名と同じ語が入る名前です。題名と同じ語が入っていれば、その名前はその作品から来たように読める。元ネタという呼び方は、この読み方から来ています。

表記や重なり方がそろわない名前もある。百万回生きた猫は、絵本の題名をほぼそのまま漢字に置き換えた形です。2人セゾンは、曲の「二人」が「2人」になっている。テレプシコーラとベンジャミンバトンは、題名の一部と重なるだけ。蝿の王も、小説の題名は「蠅」の字です。

ボノレノフの木星(ジュピター)は天体の名前で、作品の題名とは別。クロロの転校生(コンバートハンズ)も、一般の名詞として読めるので入れていません。

表記や重なり方がそろわない5件を外しても、キメラアント編より前の3件に対して、後ろは10件。前の側が少ない形は変わりません。

キメラアント編より前では、幻影旅団の能力名はコルトピ以外、題名と重なりません。ウボォーギンもシャルナークも、能力の中身を言う名前。クロロの名前が題名と重なるのは、34巻のヒソカ戦からです。

グリードアイランド編は、ビノールトとビスケで2件。ビスケの技の名前が初めて出る場面は、キメラアント編の修行の可能性もあります。ハンター試験編と天空闘技場編には見当たらない。

キメラアント編のカイトとフェイタンは、漢字側が映画の題名と重なる

作品の種類で分けると、映画・小説・漫画・曲・絵本の5つ。いちばんまとまって見えるのは映画です。

カイトの気狂いピエロは、ゴダールの映画と同じ題名。フェイタンの許されざる者と太陽に灼かれても、イーストウッドとミハルコフの映画にそれぞれ重なる。3件とも題名と同じ語は漢字側にあり、ルビ側は能力の動きを言っています。

クレイジースロットは、スロットを回して出た番号で武器が決まる能力。ペインパッカーは、受けた痛みをもとにオーラを強めて放つ能力です。ライジングサンは、そのオーラを灼熱の玉に変えて周りを焼く技。漢字側に題名と同じ語、ルビ側に中身という分担が、3件ともそろっている。

キメラアント編の8件は、どれも片側だけに題名と同じ語が入る形。ピトーの玩具修理者とシュートの暗い宿は小説、ゼノの龍頭戯画は漫画と重なる。プフの蝿の王は小説と同じ題名ですが、悪魔の名前の訳語でもあります。

ルビにどんな語が入るかの型は、念能力名のルビは3種類で仕分けています。カイトの能力そのものはクレイジースロット(気狂いピエロ)とはで書きました。フェイタンはフェイタンの念能力は“痛みが燃料”へ。

星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)は、ルビが題名なのか名前なのか決められない

題名と同じ語が入れば、その作品から来たと読める。この見方がまず崩れる例外が、ベンジャミンの星を継ぐものです。漢字側は、ホーガンの小説『星を継ぐもの』と同じ。

ルビ側は、映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の題名の前半と重なる。映画の原作は、フィッツジェラルドの短編です。

両側に別々の作品と重なる語が入る形は、この名前が最初ではない。ヨークシン編のコルトピが、すでに漫画2作の題名を両側に入れていました。王位継承戦編の11人いる!と2人セゾンも、同じ形。

星を継ぐものが分類からはみ出すのは、ルビの「ベンジャミン」が使い手の名前そのものだから。題名と重なる語なのか、自分の名前を書いただけなのか、ルビの形からは区別がつきません。

俺がこの名前で面白いと思うのは、残る「バトン」のほうです。星を継ぐものは、死んだ私設兵の念能力を王子が受け継ぐ能力。リレーのバトンを渡す形と、能力の中身が重なって読める。ここは作中で説明されていない、俺の読みにすぎません。能力の仕組みはベンジャミンの念能力は補充が効かないで書いています。

蝿の王(ベルゼブブ)は、題名なのか悪魔の名前の訳語なのか決められない

同じ見方が崩れる例外は、プフの蝿の王にもあります。ゴールディングの小説『蠅の王』と同じ題名。ただ、ルビのベルゼブブは悪魔の名前で、「蝿の王」はその訳語でもある。

漢字側とルビ側は、同じものを2通りに言っているだけです。小説の題名を借りたのか、悪魔の名前を訳したのか、名前の形からは区別がつかない。小説の題名も、この悪魔から取ったとされています。

題名と同じ語が、作品より古い別の言葉としても通っている。作品の題名で分ける分類は、その語がほかで使われていないことが前提です。蝿の王は、その前提から外れる。

能力の中身は、プフが自分を細かく分けて散らばる力。護衛軍3体の能力の比べ方はプフの念能力を護衛軍3体で比較にあります。

2人セゾン(キミガイナイ)と11人いる!は、同じグループの3曲にまたがる

最後の例外で崩れるのは、「1つの名前の片側に、1つの作品」という数え方です。カチョウの守護霊獣の2人セゾンは、漢字側が欅坂46の「二人セゾン」と重なる。ルビ側も、同じ欅坂46の「キミガイナイ」です。

同じグループの曲は、11人いる!のルビにも入っています。サイレントマジョリティーは欅坂46のデビュー曲。キミガイナイは、そのシングルのカップリング曲でした。

こうなると、名前ごとに作品を1つずつ当てる数え方では足りない。名前で数えれば2件、作品で数えれば4作になり、そのうち3曲が同じグループのものです。重なっている先は1曲ずつではなく、1つのグループの持ち歌の並び。

メンバーの菅井友香も、2018年のラジオで「どっちも欅坂の曲の名前」だと話していました。ただ、これはメンバーが気づいて話したことで、名前の付け方の説明ではない。守護霊獣の働きは2人セゾンと秘密の扉で扱っています。

念能力名の元ネタと言えるのは、題名と重なるところまで

18件を編ごとに見直すと、題名と重なる名前の出方は3つの時期で違います。

  • キメラアント編より前: 3件。両側・ルビ側・漢字側が1件ずつで、形がそろっていない
  • キメラアント編: 8件。すべて片側だけに題名と同じ語が入り、映画の3件は漢字側
  • キメラアント編より後(34巻のヒソカ戦〜王位継承戦編): 7件。両側に入る形が3件で、同じグループの曲が2つの名前にまたがる

キメラアント編で一気に8件が出てきて、そのあとは1つの名前に2つの題名を入れる形が増えた。数でも入れ方でも、題名と重なる名前はキメラアント編から目立つようになっています。

ただ、題名と同じ語が入ることは、その作品から来た証拠にはなりません。星を継ぐもののルビは使い手の名前と重なり、蝿の王は悪魔の名前の訳語と重なる。2人セゾンと11人いる!では、1つのグループの曲が名前をまたいでいます。どれも、作品から来たのか別の理由なのか、名前の形だけでは決められない。

だから、キメラアント編から増えたのは「題名と重なる名前」の数です。題名を借りた名前の数ではありません。

冨樫が由来を語った記録も、見つかっていない。俺が言えるのは、題名と重なる名前がいつから増えたかまで。どの作品から来たかは、名前の側には書かれていないのです。

まとめ|念能力名の元ネタと、題名と重なる名前

  • 念能力の名前で、すでにある作品の題名と同じ語が入るものは18件。キメラアント編より前は3件だけ
  • キメラアント編の8件は片側だけに題名と同じ語が入る。カイトとフェイタンの3件は、漢字側が映画の題名と重なる
  • 星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)は、ルビが題名の一部なのか使い手の名前なのか決められない
  • 蝿の王(ベルゼブブ)は小説と同じ題名だが、悪魔の名前の訳語でもある
  • 2人セゾン(キミガイナイ)と11人いる!には欅坂46の3曲がまたがる。名前ごとに作品を1つ当てる数え方が崩れる

作品の題名と重なる念能力名は、キメラアント編から増えた。ただ、それを元ネタと言い切れる名前は、まだ1件もありません。

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