258cmのウボォーギンが、171cmのクラピカを見下ろしている。ヨークシン編のあの場面から、勝敗を当てられた読者はいないはずです。
ウボォーギンは負けた。154cmのゴンは、183cmのノブナガに腕相撲で勝っている。体格の数字と勝敗の並びは、どこでも噛み合っていません。
ゴン・クラピカ・ウボォーギンの3人で比べてみる。見るのは数字の出どころ・本編での描かれ方・勝敗の向きの3つ。
※ハンター試験編・天空闘技場編・ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編・王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
身長・体重の数字は、本編ではなく資料の側にまとまっている
ゴンの154cm、キルアの158cm、クラピカの171cm、レオリオの193cm。こうした数字の出どころは、どれも本編の外にあります。
公式データブック『ハンター協会公式発行 ハンターズガイド』の記載とされています。2004年に集英社から出た1冊。ゴン・キルア・クラピカ・レオリオを中心に、サブキャラや世界観まで扱っている。
○cm・○kgというプロフィールの数字が本編のコマで示される場面は、見当たりません。ハンター試験で受験者に振られるのは受験番号。天空闘技場のクラスも10階単位で、体重の別で組まれたという説明は出てこない。
数字が振られているのも一部の人物だけです。ネテロ・ビスケ・メルエムには一覧そのものがない。序列の数字も本編の外側にある。幻影旅団の腕相撲の順位は、単行本の余白に載ったものでした。
ゴン154cm、クラピカ171cm、ウボォーギン258cm
| ゴン=フリークス | クラピカ | ウボォーギン | |
|---|---|---|---|
| 一覧の数字 | 154cm・49kg | 171cm・59kg | 258cm・189kg |
| 数字の出どころ | ガイドの一覧 | ガイドの一覧 | ガイドの一覧 |
| 本編での描かれ方 | 体が大きくなる場面がある | 体格への言及は見当たらない | 巨体が繰り返し描かれる |
| 勝敗の向き | 183cmのノブナガに勝つ | 258cmのウボォーギンに勝つ | 171cmのクラピカに敗れる |
3人とも、数字の出どころは同じ一覧です。ここに差はない。
俺が引っかかったのは、本編での描かれ方と勝敗の向きのほうでした。いちばん数字の大きいウボォーギンと、いちばん小さいゴン。両者の勝敗が、きれいに入れ替わっている。
大きい側が負けている戦いは、実名でそろう
258cmのウボォーギンは、171cmのクラピカに敗れている。決め手は体格ではない。勝敗を分けたのは、クラピカ側だけが相手を調べていたこと。そして、ウボォーギンが凝を怠ったことでした(→ ウボォーギンの念能力ビッグバンインパクト)。
154cmのゴンがノブナガに腕相撲で勝った場面は、もっと単純です。念の能力も仕掛けも挟まらない。純粋な力比べで、背の低い側が押し切っている。183cmと154cm、29cmの差がそのまま裏返っています。
大きい側が負けた戦いは、他にもある。158cmのキルアは、トリックタワーで巨漢のジョネスとすれ違いざまに決着をつけた。155cmのフェイタンは、巨大な姿に変貌したザザンを焼き切っている。
フェイタンのほうは、相手が大きくなったぶんだけ自分が深く傷つく。その受けたダメージの量が、そのまま返す火力になります。
余白に載った腕相撲の順位も、背丈の順ではない。155cmのフェイタンが、183cmのノブナガや177cmの団長より上に来る。逆に、体格差そのものが勝因として語られた戦いは、俺が探した範囲では見当たりませんでした。
本編で体格が描かれるとき、数字は付いてこない
では作中で体格が無意味かというと、そうでもない。
ウボォーギンの巨体は、繰り返しコマの大きさで描かれます。相手を見下ろす構図そのものが圧になる。数字を出さなくても強さが伝わる描き方。
ゴンの側にも、体が大きくなる場面があります。ネフェルピトーと向き合ったときに背が伸び、筋肉が発達した姿に変わった。ただし作中で示されたのは体格の効果ではない。二度と念を使えなくなってもいいという覚悟、つまり制約と誓約のほうです。
ビスケの本来の姿も同じです。身長2mをはるかに超える体で、本気で戦うときにその姿に戻る。体の大きさが本気の合図として働いている。
そしてこの3つに共通するのは、数字が付いていないことです。ビスケはガイド由来の一覧に載っておらず、変貌後のゴンの身長も数字では出てこない。ここで挙げた場面では、体格が効いて見えるのに数字が振られていない。
本編のコマに出た身長の数字は、人探しの条件だった
数字がまったく出てこないわけではありません。1か所だけ、はっきり出る。
王位継承戦のブラックホエール号でのことです。フィンクスがヒソカの捜索を指示する。その条件が「身長が190以上あるヤツを見つけて、全員の部屋番控えて教えろ」でした。
これは誰かの身長として示された数字ではない。人を絞り込むための条件として出てきた数字です。
しかも一覧のヒソカは187cmで、190には届かない。ファンの間では、作中の描写から190cm以上ではないかという説があります(→ ハンターズガイドと本編の食い違い)。
本編のコマで身長の数字が働いた場面は、人物の紹介ではなく人探しでした。資料の側と本編の側で、数字の使われ方がずれている。
数字を渡さないことで、体格の使い方が自由になっている
なぜ分かれているのか。冨樫が体格を数字から切り離しているからだ、と読めます。
もし本編で身長・体重が示されていたら、どうなるか。戦いのたびに、読者はその数字を持ち出すことになる。258cm対171cmと出れば、そこで勝敗の予想が固まってしまう。
数字を資料の側に置いておけば、体格は必要な場面だけコマの大きさで使えます。ウボォーギンの巨体は圧として働き、ビスケの本来の姿は本気の合図になる。どちらも絵で伝わるので、数字は要らない。
強さの議論が体格で決着しないのも、同じところから説明が付きます(→ ハンターハンター最強論が噛み合わない理由)。数字は用意されているのに、その数字では何も決まらない。決めているのは能力の性質と、その場の条件のほうです。
まとめ|ハンターハンターの身長・体重はどこに置かれているか
- ゴン154cm・クラピカ171cm・レオリオ193cm・ウボォーギン258cmといった数字は、『ハンターズガイド』の記載とされている。プロフィールの数字が本編のコマで示される場面は見当たらない
- 数字の大きい側が勝つ形になっていない。258cmのウボォーギンは171cmのクラピカに敗れ、154cmのゴンは183cmのノブナガに腕相撲で勝っている
- 余白に載った腕相撲の順位も背丈の順ではない。155cmのフェイタンが183cmのノブナガや177cmの団長より上に来る
- 体格が強さとして効いて見えるウボォーギンの巨体・ゴンの変貌・ビスケの本来の姿には、どれも数字が付いていない
- 本編のコマに出た身長の数字は、フィンクスがヒソカを捜すときの「190以上」という条件。しかも一覧の187cmとはずれている
数字を資料の側へ寄せたぶん、体格はコマの大きさで自由に使えるものになっている。一覧を開いても勝敗が読めないのは、そもそも読ませるために置かれた数字ではないからです。
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