クラピカを8位に置く強さランキングがあります。同じクラピカを、15位以内にすら入れないランキングもある。1位ですらメルエムだったりドン=フリークスだったりと割れています。
順位が割れているのは、読み方が浅いからではない。書き手ごとに測っているものが違うからだ。オーラの総量で測る人、能力の相性で測る人、手の内を知っているかまで含める人。同じ「最強」という言葉で、別のことを話している。
基準を決めれば、議論はその場で決着します。決着しないのは、決めずに始めているからだ。
※天空闘技場編・ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編の展開に触れます(単行本既刊分)。
最強議論で使われている強さの基準は4つ
議論に出てくる根拠を整理すると、4つに分かれる。作中で名前が付いているものではなく、議論で挙がる根拠を俺が束ねた呼び名だ。ただしオーラ量も相性も、原作が念の説明として扱っている考え方ではあります。
| 基準 | 何を測っているか | この基準で上に来るのは |
|---|---|---|
| オーラの総量 | 地力そのもの | メルエム |
| 能力の相性 | 相手の能力と噛み合うか | 条件を押し付けられる側 |
| 手の内を知っているか | 戦う前の情報の差 | 先に調べていた側 |
| 発動の条件 | 力を出せる状況がそろうか | 条件がそろった瞬間の本人 |
オーラ量の基準なら、作中で描かれた範囲では答えがはっきりしている。生まれた時点で桁違いだったメルエムです(→ メルエムはなぜ最強で生まれた?)。
相性で見ると、答えは相手しだいに変わる。ゲンスルーに触れられ、能力の説明ごと命の音(カウントダウン)を仕掛けられたとする。地力で勝っていても、心拍6000回の時限を背負わされます。相性は総量を一時的にひっくり返す。
3つ目は戦う前の段階で差がつく基準だ。4つ目は、その力をいつ出せるかという条件です。同じ人物でも条件が外れれば、別人のように弱くなる。
基準を変えるとクラピカの順位はここまで動く
同じキャラでも、使う基準を変えるだけで位置が変わる。クラピカが分かりやすい例だ。
オーラの総量だけで見れば、クラピカは幻影旅団の上位陣に届かない。それでもウボォーギンには勝っている。旅団を追うために情報を積み上げ、自分の能力のほうは読ませなかったからです。手の内を知っているかという基準で、大きく勝っていた。
ウボォーギン側の油断も重なっている。凝を怠り、鎖を軽く見たまま捕まった。地力で上回っていたのに、情報の差で負けた形だ。
条件の基準に移すと、評価は逆を向きます。クラピカが全力を出せるのは緋の眼が出ているときで、そこには寿命を削る代償がついている(→ クラピカの寿命はあと何年?)。
ヒソカとクロロの戦いも、オーラ量や技の派手さでは説明できません。俺は、戦う場所を先に作り込んだ側が有利を取った一戦だと読んでいます(→ ヒソカvsクロロはどっちが強い?)。
4つの基準は順位を出すための道具ではない。どんな条件のときの話かを示すラベルとして見たほうが実態に合います。
メルエムは4つの基準で上にいたのに負けた
オーラ量では文句なしの頂点。相性と条件でも崩しどころが見当たりません。制約と誓約のような発動条件を背負っておらず、相性で崩されるタイプの能力にも頼っていない。
それでも王は死んでいます。
決着をつけたのは念ではなく、貧者の薔薇(ミニチュアローズ)という兵器の毒でした。ネテロが体内に仕込み、自分の心臓を止めて起動している。念のぶつかり合いの外側から持ち込まれたものだ。
つまりメルエムは、4つの基準で負けたわけではない。基準そのものが通用しない手で倒されたのです。
残る1つ、手の内を知っているかの基準では、王は本来なら有利な立場にいました。ところが原作の王は、護衛軍に軍儀の駒を隠され、コムギの存在まで伏せられている。ネテロが体内に何を仕込んでいるかも知らないまま戦った。頂点にいながら、情報だけは握られていた側だ。
ここが最強議論の噛み合わない原因です。「メルエムは負けたから最強ではない」と言う人がいる。「あれは念の勝負ではない」と言う人もいる。2人は前提から違うだけで、どちらも原作を正しく読んでいます。
クラピカの順位は緋の眼が出ているかで入れ替わる
2人目はクラピカ。基準を変えたときの振れ幅が、とくに大きい人物だ。
緋の眼が出ているあいだ、クラピカは絶対時間(エンペラータイム)に入る。習得した能力を、系統に関係なく100%の精度で使えます。この状態なら上位の念能力者とも渡り合える。
条件が外れると話は変わる。緋の眼が出ていないときは、この100%が働きません。しかも力を引き出すほど寿命を削る仕組みになっている。
さらに、旅団を捕らえるための束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)には誓約がかかっています。幻影旅団以外に使えば、自分が死ぬ。強さを買うために、使える相手を自分で狭めた形だ(→ 制約と誓約は”念の交換レート”)。
だからクラピカは、8位にも圏外にも置かれる。順位が割れているのではなく、どの状態のクラピカを見ているかが割れているのだと俺は考えています。
条件つきの強さを1つの順位にまとめると、この人物は必ず測り損ねる。4つの分類では捉えきれない例です。
ヒソカは倒しても順位が確定しない
3人目はヒソカ。この例は、勝敗の数え方そのものに引っかかる。
クロロとの戦いで、ヒソカは負けて死にました。心肺が止まり、遺体として運び出されている。勝敗としては決着済みだ。
それが戻ってきた。死後に強まる念を見越して、あらかじめ自分の心肺を動かす仕掛けを残していたためです(→ 死後の念はなぜ消えない?)。
4つの基準は、どれも「戦って倒れるかどうか」を前提にしています。倒れたあとに戻る手があるなら、その前提が崩れる。ヒソカを何位に置くかは、負けを負けとして数えるかどうかで変わる。
しかも本人は、この一件のあとで幻影旅団の全員を狙うと決めています。測ろうとしても、測る対象が動き続けている状態だ。
最強議論は基準をそろえれば決着する
3人に共通しているのは、どれも4つの基準の外側に理由があることだ。
メルエムは念以外の手で倒され、クラピカは状態によって別の存在になり、ヒソカは倒れたあとに戻った。逆に言えば、この3人以外は基準を1つ決めれば順位が付く。
順位が割れ続けるのは、冨樫が強さを一列に並べられる形で描いていないからだと俺は見ています。相性で番狂わせが起き、情報の差で格上が負け、条件しだいで同じ人物の評価が動く。オーラ量で押し切ったように見える戦いにも、たいてい相性か情報が関わっています。
ゴレイヌ最強説のようなネタ寄りの主張が長く残っているのも、理由は同じだ。基準を「入れ替えという一点」に絞れば、実際に上位相手でも通る場面があるからです(→ ゴレイヌ最強説の半分は本当)。
だから最強議論を噛み合わせたいなら、順位を出す前にやることがある。オーラ量の話なのか、相性の話なのか、情報の話なのか、条件の話なのか。どの基準で話すかを先に決めれば、そこで議論は成立します。
まとめ|最強議論が決着しない理由
- 最強議論の根拠は、オーラの総量・能力の相性・手の内を知っているか・発動の条件の4つに分かれる。オーラ量の基準ならメルエムで答えが出る
- クラピカがウボォーギンに勝てたのは、情報の差で勝っていたから。一方で緋の眼が出ているかによって評価が振れるため、8位にも圏外にも置かれる
- メルエムは4つの基準で上にいながら、念ではなく兵器の毒で決着した。基準の外から倒された例
- ヒソカは死んだあとに戻ったため、負けを負けと数えるかどうかで順位が変わる
- この3人以外は、基準を1つ決めれば順位が付く。決着しないのは、基準を決めずに議論を始めているから
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