恋の相手として描かれたヒロインは、ハンターハンターにはほぼいません。ただ、誰かが家まで迎えに行く相手は編ごとに替わり、その役には男性も入る。
ネットでは昔から「ヒロインのいない漫画」と言われ、「ヒロインはキルアだ」という声もあります。原作の場面で確かめると、どちらの説にも当たっている部分がある。
※キメラアント編と会長選挙・アルカ編の結末に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ハンターハンターにヒロインはいない?知恵袋に挙がった14人
「ヒロインがいない」という説は、かなり前から広まっている。2011年の Yahoo!知恵袋には、ヒロインがいないとよく言われる、という質問が立っています。回答でも、明確な女性ヒロインは確かにいない、と認められている。
同じページの質問と回答には、ヒロインの候補として14人の名前が挙がった。その14人について本編の場面を、恋の相手として描かれたか、誰かに迎えに行かれたかで分けてみます。
| 人物 | 本編の場面 | 役 |
|---|---|---|
| パーム | ゴンにデートを求める/蟻にされたあと、キルアの訴えで心を取り戻す | 恋の相手・取り戻される |
| キルア | ゴンたちがゾルディック家まで迎えに来る | 迎えに行かれる |
| アルカ | キルアが家から連れ出す | 迎えに行かれる |
| コムギ | メルエムが居場所を聞き出して会いに行く | 迎えに行かれる |
| ネオン・センリツ・ツボネ・サンビカ・ビスケ・クラピカ・ミト・チードル・ポンズ・マチ | 2つの役の場面は見つからない | なし |
14人のうち10人は、2つの役のどちらの場面も持たない。役の場面があるのは4人で、そのうち3人が迎えに行かれる側です。
ハンターハンターで恋の相手として描かれるのはパームくらい
恋の相手としての場面がはっきりあるのは、パームだ。パームはゴンに、デートを求めました。知恵袋にも、「少なくともパームのなかではあれが『交際』なのでしょう。」という回答があります。
ビスケやミトにも、恋の相手として描いた場面は見当たらない。ネオンやポンズ、マチも同じです。恋の相手という意味のヒロインなら、「いない」という説は原作とよく合う。
ただ、それで話は終わりません。14人の名前は、恋とは別の理由で挙がっている人が多いからです。
キルアがヒロインと言われるのは、ゴンが家まで迎えに行くから
もう1つの説が「ヒロインはキルア」。さきほどの知恵袋でも、ベストアンサーは「ヒロイン役はキルアだからな~。」でした。note にも、キルア説を書いた人がいる。アニメのオープニングでもエンディングでも、キルアがヒロインの顔になっているという。その筆者は見進めるうちに、最後はゴンこそヒロインだと考えるようになりました。
原作でキルアがヒロインらしく見えるのは、5巻のゾルディック家の話(No.040〜043)です。家に連れ戻されて幽閉されたキルアを取り戻すため、ゴンたちはゾルディック家へ向かいます。訪ねる資格は、試しの門の扉を自力で開けられること。ゴンたちは門を開け、執事たちの試練も越えて、キルアと再会しました。キルアはゴンたちとの友情を選んで、家を出ます(→ ゾルディック家の試しの門は何トンか)。
家に閉じ込められた相手を、門を開けて迎えに行く。少年漫画ならヒロインがよく担う役を、ここではキルアが受け持っている、と読める。キルア説は、この「閉じ込められた相手を迎えに行く」場面から来ていると考えると筋が通ります。
同じ形の場面は、このあとも出てきます。
- キメラアント編: 宮殿へ向かう時点のゴンの目的は、カイトを元に戻すこと。のちにゴンはピトーに「約束通りカイトを治せ」と迫ります。ただ、ピトーはカイトを治せないと認め、取り戻す試みは間に合わなかった(→ カイトの転生とは何だったのか)
- 会長選挙・アルカ編: 31巻で、重体のゴンを救いたいキルアが実家へ戻る。父の許しを得てアルカと再会し、アルカを連れて家を出ました。そのアルカの力で、ゴンは治ります(→ ナニカ(アルカ)のおねだりのルール)
迎えに行かれる相手は、キルアからカイト、アルカへと替わっていく。迎えに行く側も、ゴンからゴンとキルア、そしてキルアへと替わります。アルカ編で、重体のまま救われるのを待っているのはゴンのほうです。
知恵袋には、ヒロインは編ごとに替わる、という回答もありました。ハンター試験と旅団編はクラピカ、グリードアイランド編はビスケ。キメラアント編はコムギ、新章ではアルカ、という並びです。替わること自体は、ファンの間でも気づかれている。
原作で確かめて分かるのは、その先です。替わっても残るのは「迎えに行かれる」という役のほうで、その役には男性も入ります。
コムギを迎えに行くのはメルエム|主人公の側から外れる例外
この形から外れる例外が、コムギです。コムギも迎えに行かれる側ですが、迎えに行くのは主人公の側ではありません。
28巻でゴンは、ピトーが治療していたコムギを取引の材料にしています。「ピトーがカイトを元に戻してくれたら すぐに彼女を解放するよ」。主人公の側にとって、コムギは迎えに行く相手ではなく、カイトを取り戻すための担保でした(→ ゴンはサイコパスなのか)。
コムギのもとへ向かったのは、メルエムです。メルエムは残りの時間をコムギと過ごすと決め、パームに頼み込んで居場所を聞き出し、コムギと再会しました。2人の関係も、Wikipedia では軍儀を通して「惹かれ合い」と書かれている。恋や愛の語は使われていません。
俺がこの例外で面白いと思うのは、迎えに行く役が敵の王に渡っているところです。キルアやアルカの場面では、迎えに行くのはいつもゴンかキルアでした。コムギの場面では、主人公の側は担保を握る側に回り、迎えに行く役は王が持っている(→ コムギはメルエムと何が違ったか)。
パームの場面も、恋の相手という1つの役には収まりません。蟻にされたパームは、人間だった頃の記憶を取り戻します。きっかけは、キルアが涙ながらにゴンを頼むと訴えたことでした。ゴンにデートを求めた人物であると同時に、キルアの言葉で取り戻される相手でもあった。
ハンターハンターのヒロインは、迎えに行かれる役として編ごとに替わる
2つの説を原作と照らすと、どちらにも当たっている部分があります。恋の相手という意味のヒロインは、パームくらいしか場面を持たない。この意味では「いない」が原作に合います。キルアがヒロインに見えるのも、ゾルディック家まで迎えに行かれる場面があるからでした。
ただ、迎えに行かれる役を持つのはキルアだけではありません。カイト、アルカ、そしてメルエムが会いに行ったコムギ。役は1人に固定されず、編が替わるたびに別の人物へ移っています。
ヒロインがいないのではなく、ヒロインの役を1人の女性に預けていない。ヒロインの役は、恋の場面より、迎えに行かれる場面のほうに寄っている。その役を受け持つ人物は、男女を問わず、編ごとに替わっていきます。
まとめ|ハンターハンターのヒロインを原作で確かめると
- 「ヒロインがいない」は、恋の相手という意味なら原作と合う。恋の場面がはっきりあるのはパームくらい
- 知恵袋で候補に挙がった14人のうち、10人は恋の相手の場面も迎えに行かれる場面も持たない
- 「キルアがヒロイン」は、ゴンたちが試しの門を開けてキルアを迎えに行く場面から来ている
- 迎えに行かれる役は、キルア、カイト、アルカと、男女を問わず編ごとに替わる
- コムギを迎えに行くのはメルエムで、主人公の側はコムギを担保として扱っていた
キルアが連れ戻された家の一族については、ゾルディック家の念能力まとめにまとめています。アルカを「妹」と呼ぶのが誰なのかは、アルカの性別は本編で割れているを、ゴンとキルアが最後に別れた場面はゴンとキルアの別れは世界樹の下だったを読んでみてください。

