呪術廻戦の「縛り」とハンターハンターの「制約と誓約」は、自分に条件を課して力を上げる部分がほぼ同じ。違うのは、縛りという一語に、他人との取り引きや生まれつきの体まで入っていることです。
条件を誰が課し、どう決まるかで比べると、差ははっきりする。他人と結ぶ縛りは、結んだ双方が条件を負い、それぞれ何かを得る取り引き。ハンターハンターで相手にかける掟は能力の効果で、掟を負った側は何も得ない一方的なものです。
※呪術廻戦の虎杖悠仁と両面宿儺の縛りの中身、伏黒甚爾と与幸吉の生まれつきの縛りに触れます。ハンターハンターはヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編・会長選挙編・王位継承編の内容に触れ、扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
呪術廻戦の縛りと制約と誓約は、自分に課す部分がほぼ同じ
制約と誓約は、能力者が自分の発にルールを課し、その代わりに威力を上げる仕組み。イズナビはクラピカに、ルールが厳しいほど技は爆発的な威力を出すと教えています。
クラピカの束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)には、本人が自分で課した条件がある。「幻影旅団以外に使えば死ぬ」。対象を絞り、破れば命を払う。そのぶん、旅団を相手にしたときの鎖は強くなる。仕組みの全体は制約と誓約は“念の交換レート”で見ています。
縛りの説明も、ここまではほとんど変わりません。自分に制限をかけて、その代わりに呪力や術式の効果を底上げする。手の内を相手に明かす「術式の開示」も、縛りの1つです。
縛りの解説に「制約と誓約」という言葉がそのまま出てくることもあるほど。2作が似ていると言われるのも、まずこの部分でしょう。
縛りと制約と誓約の違いを4つの基準で比較
比べる基準は、条件を課すのは誰か・条件はどう決まるか・手の内を明かす働き・破ったときの扱いの4つです。
| 基準 | 制約と誓約(ハンターハンター) | 縛り(呪術廻戦) |
|---|---|---|
| 条件を課すのは誰か | 能力者が自分の発に課す | 自分に課すものと、他人と結ぶものがある |
| 条件はどう決まるか | 本人が決める | 本人が決めるものと、生まれつき負うもの(天与呪縛)がある |
| 手の内を明かす働き | 能力を起動する条件になる例がある | 明かすと効果が上がる(術式の開示) |
| 破ったとき | 念能力そのものを失う危険がある | 上がった力が消える |
手の内を明かす働きと、破ったときの扱いは、差があっても小さめ。ゲンスルーの命の音(カウントダウン)は、能力の中身と解除の方法を相手に説明しないと起動しない。明かすのは発動の条件で、明かしたぶん強くなるわけではない。術式の開示は、明かすこと自体が上乗せになります。
破ったときも、念のほうはイズナビの警告で「念能力そのものを失う危険」が語られる程度。縛りのほうは、破れば上がった力が消え、他人と結んだ縛りは罰の中身が決まっていないとされる。念で罰が実際に下った場面は誓約を破って罰が下ったのは2度だけにまとめています。
大きく分かれるのは、誰が課すかと、どう決まるかのほうです。
他人と結ぶ縛りは取り引き、律する小指の鎖の掟は一方的
両面宿儺と虎杖悠仁は、1つの縛りを結んでいます。宿儺が「契闊(けいかつ)」と唱えたら、虎杖は1分間体を明け渡す。その間、宿儺は誰も殺さず、傷つけない。そして虎杖は、この約束を忘れる。
宿儺が手に入れるのは1分間の体。虎杖のほうも、条件を飲むだけでなく、引き換えに宿儺から受け取ったものがある。結んだ2人がそれぞれ条件を負い、それぞれ何かを得ている。縛りの「他人と結ぶ」は、こういう取り引きの形です。
ハンターハンターにも、相手に条件をかける力はあります。律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)は、相手の心臓に鎖を刺して掟を課し、破れば心臓を貫く。クラピカはクロロに、念能力の使用と旅団員との接触を禁じました。
掟を負うのはクロロのほうで、その代わりに何かを受け取るわけではない。2人で結んだ約束ではなく、鎖の効果。鎖そのものはクラピカの念能力の記事で扱っています。
カキン王家の壺中卵の儀も、同じ側に入る。初代国王が遺した能力で、儀式を受けた王子には守護霊獣が付く。霊獣どうしは攻撃し合わず、取り憑いた王子も攻撃しない決まり。王子が作った能力ではなく、王子は霊獣を動かすこともできません。
クラピカは、同じ律する小指の鎖を自分の心臓にも刺しています。幻影旅団以外に中指の鎖を使えば、心臓に刺した小指の鎖が、自分の命を取る。相手に刺せば掟、自分に刺せば誓約の罰の仕掛け。同じ鎖でも、誓約の側に入るのは自分に向けたほうだけ、というのが面白いところ。
生まれつきの天与呪縛と、制約と誓約から外れるナニカの決まり
天与呪縛は、本人の意思と関係なく、生まれつき体に課される縛りです。代償が大きいぶん、大きな力を得るとされる。
伏黒甚爾は、呪力をまったく持たない代わりに、並外れた身体能力を持っています。与幸吉は、生まれつき右腕と膝から下が無く、腰から下の感覚も無い。その代わり、術式の届く範囲が日本全土に及び、呪力の出力も大きい。
制約と誓約は、本人が決めるもの。多くはあらかじめ決めておくものですが、ゴンのようにピトーとの戦いの最中に自分にかけた例もある。決めた時期はばらばらでも、決めたのはいつも本人でした。
生まれつきの決まりに近く見えるのが、ナニカ(アルカ)のおねだりの決まり。本人が作った条件ではなく、初めから負っている決まりに見える。ただ、制約と誓約として説明される決まりではない。念能力かどうかも資料によって見方が分かれ、天与呪縛と同じものとは数えにくい。
決まりの中身はナニカのおねだりのルールで追っています。
縛りは言葉の受け持つ範囲が広く、制約と誓約は自分の発だけ
2作とも、条件を負うほど力が上がるという考え方は同じです。差は、その言葉がどこまでを受け持つかにある。
縛りは、自分への制限と他人との取り引き、生まれつきの体の欠けを1つの言葉に入れている。他人との縛りは、結んだ双方が条件を負い、それぞれ得をする取り引きでした。
ハンターハンターにも、相手に掟をかける力はある。ただ律する小指の鎖も壺中卵の儀も、能力の効果として相手にかかるもので、掟を負った側は何も得ません。2人が条件を出し合って結ぶ誓約は、本編では見当たらない。
なぜここで分かれたのか。作中で説明されているわけではないが、念の仕組みから考えると筋は通る。
ハンターハンターでは、相手に掟をかける力も、能力者が作る発の効果の1つ。発に条件や代償をつけるのは能力者本人なので、相手を縛るときでも、条件を負うのはまず能力者の側になる。誓約という言葉を相手との約束にまで広げなくても、自分の発に課すものの中で話が収まる。2作が分かれたのはここだろう、というのが俺の読みです。
誓約は、自分の発に課すものだけに絞られています。似ていると言われる2つの差は、力の上げ方より、この言葉の広さにある。
まとめ|呪術廻戦の縛りと制約と誓約の違い
- 自分に条件を課して力を上げる部分は、縛りと制約と誓約でほぼ同じ形
- 縛りは、他人と結ぶ取り引き(虎杖と宿儺の契闊)と、生まれつきの天与呪縛まで同じ言葉に入れている
- ハンターハンターで相手に掟をかけるのは、律する小指の鎖や壺中卵の儀のような能力の効果。掟を負った側は何も得ない
- 手の内を明かすのは、念では起動の条件(ゲンスルーの命の音)、縛りでは効果の上乗せ(術式の開示)
- 誓約は本人が決めるもの。ゴンのように戦いの最中に決めた例はあっても、生まれつき負う誓約は見当たらない
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