アルカ=ゾルディックを「妹」と呼ぶのは、本編でキルアだけ。ほかの登場人物はそろって「弟」か「坊ちゃま」で通しています。
この偏りを根拠に、ネットでは男が有力という見方が広がっている。ただ、その根拠を原作と照らし合わせると、1つは人物を取り違えていました。もう1つは発言した人が違う。
※会長選挙・アルカ編の範囲に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
アルカの性別を「男が有力」とする見方の出どころ
アルカの性別を扱うページは、多くが男という答えを出しています。
ある考察サイトは、キルア以外はほぼ全員がアルカを弟と呼んでいる点を挙げています。そこから男が有力だと結論づける。同じ組み立ては別のまとめサイトにもある。どちらも呼び方の多数決で性別を決めようとしている。
ただしどのページも断定はしていません。「あくまでも推測です」と添える例もあれば、体は男で心は女の子という読み方を採る側もある。
数だけ見れば、たしかに「弟」のほうが多い。問題は、その内訳が原作とどこまで合っているかだ。
誰がアルカを何と呼んでいるか
呼び方は人物ごとにはっきり分かれます。
| 呼んだ人 | 呼び方 | 出どころ |
|---|---|---|
| キルア | 妹・女の子 | 本編 |
| イルミ | 弟 | 本編 |
| ミルキ | 弟 | 本編 |
| 執事たち | 坊ちゃま扱い | 本編 |
| No.322 の題名 | 兄妹 | 公式の話数一覧 |
キルアは「いい妹だろ?」と言い、執事とのやり取りでは「アルカは女の子だぞ」と口にする。いっぽう、イルミは「もう一人弟がいる」と言い、ミルキも弟として紹介します。執事たちは坊ちゃま扱いだ(→ ゾルディック家の執事で一番自由に動いたのはカナリア)。
なお、アルカはゾルディック家5人きょうだいの4番目にあたる(→ ゾルディック家の兄弟)。多数決で数えているのは呼び方であって、性別を書いた記述ではありません。
根拠①「キルア以外はほぼ全員が弟と呼んでいる」を確かめる
この見方を取るページは、弟と呼ぶ側の顔ぶれに5巻のバスガイドを入れている。
ところが、バスガイドが話しているのは、きょうだいの人数のほうです。ククルーマウンテンへ向かう道中で、ゾルディック家は5人きょうだいだと説明する場面。アルカを弟と名指ししてはいない。
弟と呼んでいるのはイルミとミルキ、そして坊ちゃま扱いの執事たち。家の側がそろって男として扱っている点は変わりません。
間違っていたのは、弟と呼ぶ顔ぶれの数え方のほうだ。
根拠②「キルアも弟だと認めた」を確かめる
2つ目は31巻の通話の場面。モラウが「兄貴が弟を…!?」と言い、キルアが「ああ」と答える。ここをキルアが弟だと認めた証拠に挙げるページがある。
ただ、そこで「弟」という語を口にしたのはモラウだ。キルアが肯定したのは、イルミがアルカを狙っているという中身のほうだと読むこともできる(→ キルアはイルミの針が抜けても逃げる)。
少なくとも本編で確認できる範囲では、キルアの呼び方は「妹」と「女の子」だけ。同じ人物が2つを使い分けているわけではありません。
割れているのはキルアの中ではなく、登場人物のあいだだ。
根拠③「2004年の公式資料の家系図」を確かめる
3つ目は『ハンター協会公式発行ハンターズ・ガイド』の家系図。この本が出たのは2004年6月です。アルカが本編に出てくるのは31巻なので、資料のほうが何年も先になる。記載の中身も伝聞で割れていて、誌面そのものを示した記述は見当たりません。
あとから本編に出てきた人物を、刊行前の本が先回りして決められるのか。俺はここがいちばん弱いと思っています。
ハンターズガイドは、ほかにも本編と食い違う記述が見つかっている本だ(→ ハンターズガイドと本編の食い違い)。
アルカの性別に作品が使った字は「兄妹」
本編だけに絞ると、材料はもう1つ残っている。登場人物の口ではなく、作品が付けた表記です。アルカが初めて描かれる区間の題名が、No.322「兄妹」。集英社の話数一覧にもそう並んでいます。
キルアの「いい妹だろ?」と同じ字だ。呼び方の多数決とは別の場所に、「妹」の字がもう1つある。
ただしこれで決まりとも言えません。アルカとナニカは同じ体に同居している。ナニカはキルアを名前で呼び、アルカは「お兄ちゃん」と呼ぶ(→ ナニカ(アルカ)のおねだりのルール)。題名の「兄妹」がどちらを指すかまでは決まらない。
まとめ|アルカの性別について原作から言えること
- 「男が有力」という見方は、キルア以外がほぼ全員アルカを弟と呼んでいることを根拠にしている
- そのうち5巻のバスガイドは、アルカを弟と呼んだのではなく5人きょうだいだと人数を話していた
- 31巻の通話で「弟」と言ったのはモラウで、キルア自身が弟と呼ぶ場面は本編に見当たらない
- 公式資料の家系図は2004年6月の本で、アルカが本編に出るより前。記載の中身も伝聞で割れている
- キルアは妹・女の子と呼び、家の側は弟か坊ちゃま扱い。アルカが初めて描かれる区間の題名は No.322「兄妹」だった
根拠を1つずつ確かめると、人物と発話者が入れ替わる。残るのは、キルアだけが別の呼び方で通しているという事実です。
冨樫はアルカの性別を、登場人物の呼び方と題名の字だけで示してきた。誰が呼んだかを見ないと、どちらにも取れる書き方になっています。
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