ミテネ連邦共和国の島には、5つの国が並んでいる。そのうち街と人物が出てくるのはNGL自治国と東ゴルトー共和国の2つだけ。
残るロカリオ共和国・ハス共和国・西ゴルトー共和国は、名前だけで終わります。国の格ではなく、その編の舞台になったかで描かれる層が変わっている。同じ見方で並べると、作中の国は4つの形に分かれます。
※ハンター試験編・ヨークシン編・キメラアント編・暗黒大陸編・王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
名前しか出てこない国が、いちばん多い
まず名前が挙がるのは、暗黒大陸への渡航を禁じた側の国々だ。ベゲロセ連合国、オチマ連邦、ミンボ共和国、クカンユ王国。もう1つサヘルタ合衆国があり、この国だけは後で別の形として出てきます。
5つをまとめた正式な呼び名が「近代5大陸」で、通称がV5。大陸という語が付いているが、中身は5つの国だ(→ 暗黒大陸の渡航禁止が足止めするのは個人だけ)。
名前が出るのは33巻。ジンが暗黒大陸を説明する場面で、各国が送った調査団の規模と、持ち帰ってしまったものが語られる。その後カキン帝国が加わり、いまはV6と呼ばれる。
世界の渡航を禁じるほどの立場にありながら、街も市民も出てこない。5つの国のうち4つは、国名と調査団の数字だけで終わっています。
ジャポンも同じ形です。ハンゾーの出身国として名前が出るだけで、国の中は描かれない(→ ハンゾーの念能力は本体を置いて出かける)。
ミテネ連邦の島に5つ並んで、足を運ばれたのは2つ
ミテネ連邦共和国は、NGL自治国・ロカリオ共和国・ハス共和国・西ゴルトー共和国の4国。東ゴルトー共和国だけが加盟していない。この島には、合わせて5つの国が並ぶ。
描かれたのは2つだけ。キメラアントの巣ができたNGL自治国と、蟻が拠点を移した東ゴルトー共和国だ。討伐隊が足を運んだ国が、そのまま描かれた国になっている(→ NGL自治国は機械しか止められなかった)。
残る3国は名前だけ。隣で国が1つ乗っ取られているのに、街の様子も政府の反応も出てこない。同じ島・同じ連邦でも、蟻の事件が届かなかった国には何も起きないままです。
東ゴルトー共和国は、国民の顔まで出てくる
この形から外れる国が2つある。1つが東ゴルトーです。
人口は約500万人。総帥マサドルディーゴによる独裁で、三権も報道機関も総帥と軍が握っています。国民どうしを見張らせる「指組」という仕組みがあり、家族で亡命すれば死刑(→ 東ゴルトーで蟻が新しく作ったものは2つだけ)。
人物も出てくる。総帥、実権を握る執政官のビゼフ長官、高級官僚のマルコス。マルコスは身の安全と引き換えに、国の内情をハンター協会へ売って亡命しました。
街と民衆も描かれる。選別のために全国民を招集した大集会があり、テレビ放送があり、民衆が立ちすくむ中でプフが死ぬ。
同じ3つがそろう国はNGL自治国にもある。ただし東ゴルトーは、制度に「指組」という名前まで付いている。名前のある国民も3人出てきます。
理由は、蟻がこの国に求めたものにありそうだ。国を乗っ取ったあと、王が始めようとしたのは国民を選別する計画でした。
狙われたのは国民そのもの。だとすれば国民を描かないと計画の中身が伝わらない、というのが俺の見方です。国の制度が細かく見せられたのも、500万人をまとめて集められる仕組みだと示すためだったのでしょう。
カキン帝国で細かいのは王家のほうだけ
もう1つがカキン帝国。ただし細かく描かれた層が、東ゴルトーとは正反対です。
国王ナスビー=ホイコーロがいて、8人の正妻と14人の正室子がいる。従者は1人につき15人まで。王家に代々伝わる壺中卵の儀があり、国王軍があり、三大マフィアがいる(→ ナスビー=ホイコーロが残そうとしているのは国)。
制度も人物も、東ゴルトーと同じくらい細かい。それでも、カキンの街はほとんど出てきません。王位継承戦の舞台は出航したブラックホエール号の中で、物語は本国を離れたところで進みます(→ ブラックホエール号の内部は5階層)。
国土は出てこないのに、王家だけが細部まで開かれた国。東ゴルトーが下から見せた国だとすれば、カキンは上からだけ見せた国です。
国名のほうが表に出ない場所もある
逆の形もある。場所はよく知られているのに、そこがどの国なのかが前に出ない。
ヨークシンシティがそうだ。地下競売も幻影旅団の戦いも、この街で起きる(→ ヨークシンの地下競売は表の競売と別物)。資料では、ヨークシンはサヘルタ合衆国の都市とされています。ただ本編で国名が出る場面は限られていて、街の名前だけが残る。
ゾルディック家のククルーマウンテンも近い形です(→ ゾルディック家の念能力まとめ)。資料では、パドキア共和国デントラ地区にあるとされます。屋敷も一族も本編で長く出ているのに、国名のほうは資料の側で補われています。
描かれ方で並べると、形は4つに分かれる。
| 描かれ方 | 国 | 出てくるもの |
|---|---|---|
| 名前だけ | ベゲロセ連合国・オチマ連邦・ミンボ共和国・クカンユ王国 | 国名と調査団の数字 |
| 名前だけ | ロカリオ共和国・ハス共和国・西ゴルトー共和国・ジャポン | 国名のみ |
| 国民の側まで | 東ゴルトー共和国 | 制度・人物・街と民衆 |
| 国民の側まで | NGL自治国 | 入国の制度・建国者・住民と畑 |
| 王家の側だけ | カキン帝国 | 王家・制度・国王軍 |
| 場所だけ有名 | サヘルタ合衆国・パドキア共和国 | 街と屋敷 |
国名がよく出る国と、中身がよく描かれる国が一致していません。V5のうち4国は名前ばかり出るのに中身がない。NGLと東ゴルトーは逆に、中身のほうが濃い。
分かれ目は、その編の舞台になったかどうか
4つの形を見ると、国の格は関係なさそうだ。
V5は世界の渡航を禁じる側に立っている。それでも街は出てきません。いっぽう東ゴルトーは、近隣で唯一ミテネ連邦に属さない閉鎖国家です。こちらは国民の顔まで描かれる。
差がついたのは、その国が編の舞台になったかに見えます。討伐隊がNGLと東ゴルトーへ入り、王位継承戦はカキンの王家から始まった。舞台になった国だけが、必要なぶんだけ開かれている。
カキンで街が描かれないのも同じ理屈。舞台になったのは船で、本国ではなかった。
冨樫が世界地図を先に作り込んでいたかどうかは分かりません。ただ読者に見えている順番は、必要になった国から必要な層だけが開く形です。名前だけの国が多いのは描き落としではなく、順番の問題に見える。まだ開いていない国が、地図の上には残ったままです。
まとめ|ハンターハンターの国はどこまで描かれたか
- 作中で名前の出た国の多くは、名前だけで終わる。V5の4国・ミテネ連邦の3国・ジャポンがこの形
- ミテネ連邦の島には5つの国が並ぶが、街と人物まで出てくるのはNGL自治国と東ゴルトー共和国の2つだけ
- 東ゴルトーは制度・人物・街と民衆までそろう。国民が選別の対象だったので、国民を描かないと計画が成立しない
- カキン帝国は王家と制度だけが細かく、本国の街はほとんど出てこない。東ゴルトーとは開かれた層が逆
- ヨークシンやククルーマウンテンのように、場所は有名でも国名が資料の側で補われる例もある
国の描かれ方を決めたのは、国の大きさでも立場でもなさそうです。その国が編の舞台になったかでした。
舞台にならなかった国は、名前だけで地図に残っています。
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- NGL自治国は機械しか止められなかった — 隣で巣ができた国
- 暗黒大陸の広さは世界の外側 — 地図の外側の話
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