エド・クラピカ・ゴンの3人を、5つの基準で比べました。鋼の錬金術師の等価交換とハンターハンターの制約と誓約は、釣り合ったかを判定する側で分かれます。
錬金術では、払うものを本人が選べても、得られるのは払ったものと同等まで。その判定は錬金術の原理の側にある。念の制約と誓約では、何をどれだけ払うかを本人が決め、その重さが力に結びつきます。
何かを払って何かを得るところは、2つともよく似ている。3人とも、自分の体や命に関わるものを差し出しました。
※鋼の錬金術師の結末(最終話でエドが差し出したもの)に触れます。ハンターハンターはヨークシン編・キメラアント編・王位継承戦編の内容に触れ、扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
等価交換と制約と誓約の違いを、エド・クラピカ・ゴンで比較
エドは錬金術の対価、クラピカは絶対時間(エンペラータイム)の寿命、ゴンはピトーとの戦いで差し出したもの。この3つを、5つの基準で比べます。
| 基準 | エド(鋼の錬金術師) | クラピカ(絶対時間) | ゴン(ピトー戦) |
|---|---|---|---|
| 決まりを置いたのは | 錬金術の原理 | 本人 | 本人 |
| 払うものを選んだのは | 最初は選べず、のちに本人 | 本人 | 本人 |
| 払ったもの | 左足・右腕・真理の扉 | 寿命 | 念を使えなくなった |
| 払う量と得るものの釣り合いを決めるのは | 錬金術の原理 | 本人 | 本人 |
| 何を失うかを数字で知っていたか | 知らなかった | 知っていた | 知らなかった |
ゴンの欄は、念を使えなくなった理由を誓約とする公式図録の説明に基づいています。
差が小さいのは「払うものを選んだのは誰か」です。エドも物語が進むと、何を差し出すかを自分で選ぶようになる。払ったものは3人ばらばらで、こちらは中身の確認だけで足ります。
差が出るのは「決まりを置いたのは誰か」「釣り合いを決めるのは誰か」「何を失うかを数字で知っていたか」の3つ。
鋼の錬金術師の等価交換は、払うものを選べても同等で止まる
鋼の錬金術師の等価交換は、作中の錬金術のいちばん根本の原理です。何かを得るには、同等の代価が要る。対価以上の物を錬成しようとすると失敗し、リバウンドと呼ばれる現象が起きることもある。
エドとアルは、亡くなった母を人体錬成で取り戻そうとして失敗しました。その対価として、エドは左足を、アルは体のすべてを失う。何をどれだけ持っていかれるかは、2人が決めたものではありません。
ただ、そのあとのエドは、払うものを自分で選んでいる。
- 自分の右腕を対価にして、アルの魂を取り戻す
- 最終話では、自分の真理の扉を差し出して、アルの体を取り戻す
アルも、自分の魂を対価にして、エドの右腕を戻しています。何を払うかは、3つとも本人が決めたことでした。
それでも、右腕と引き換えに戻ったのはアルの魂だけで、体までは戻っていない。払うものは選べても、それで何がどこまで戻るかは、本人の希望では決まらないわけです。
賢者の石も、この決まりを破る道具ではありません。払うべき代価を石のエネルギーに肩代わりさせているだけで、等価交換の原則そのものは無視していないとされる。払う人を替える仕組みで、多く払って多く得る仕組みではないんです。
念の制約と誓約は、払う重さを本人が決める
制約と誓約は、能力者が自分の発に条件を課す決まり。クラピカの師イズナビの説明では、きつい制約を課し、それを守ると誓うほど、念は強くなります。決まりを置くのも、どれだけ重くするかを決めるのも、能力者本人です。
緋の眼のときに使う絶対時間には、発動中は1秒につき寿命が1時間縮むという制約がある。目的は威力を上げることではなく、使ったあとの体の負担を軽くすること。得たのが威力でなく負担の軽さでも、寿命をどれだけ差し出すかを決めたのはクラピカ自身です。
絶対時間とは別に、クラピカは束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)にも誓約を置いています。「幻影旅団以外に使えば死ぬ」。使える相手を自分で狭め、破ったときに何を失うかまで本人が決めた例です。差し出すものの型は制約と誓約は“念の交換レート”で4つに分けて整理しました。
ゴンは、ピトーとの戦いで「もうこれで終わってもいい だから ありったけを」と言い切って変身しました。差し出す範囲を決めたのは、ゴン本人です。そのあとゴンは念を使えなくなり、今も使えないまま。誓約によって能力を失ったという説明は、本編ではなく、冨樫義博展 -PUZZLE- の公式図録に出てくるものです。
念にも、本人が決めない代償はあります。絶対時間を使ったあとの昏睡や、続けて使える時間の限界は、クラピカが決めたものではない。ナニカのおねだりや暗黒大陸の五大厄災は、釣り合いを外から課す点で、鋼の錬金術師の等価交換に近い側です。
ただ、制約と誓約そのものは、本人が自分に課すもの。比べた3人でも、重さを決めた側はいつも本人でした。
何を失うかを数字で知っていたのはクラピカだけ
3人の差がいちばん大きく出るのは、払う前に、何を失うかをどこまで知っていたかです。
エドの最初の人体錬成は、何を持っていかれるかを知らないまま始まりました。のちに右腕や真理の扉を差し出すときは、払うものは分かっている。それでも、何が戻るかの釣り合いは、錬金術の原理の側にある。
ゴンは、差し出す範囲を「ありったけ」と自分で決めています。ただ、その結果として念を使えなくなることまで知っていた、という場面は見当たらない。範囲は決めても、中身は知らなかった側です。
クラピカだけは違う。絶対時間の1秒が寿命の1時間だと、値段を数字で知ったうえで使っています。実際に何年ぶん縮んだかは絶対時間の代償の計算で追いました。
知っていて、それでも使い続ける。払う量が分かっていれば、払いすぎかどうかも自分で分かります。その判断まで本人の手に残るのが制約と誓約の重さだと、俺は思う。
等価交換と制約と誓約は、釣り合いの判定を誰に持たせるかで分かれる
錬金術の等価交換は、払うものを選ぶところまでは人に任せます。でも、払ったぶんで何がどこまで得られるかは、原理の側が決める。同等を超えて得る道は、錬金術の仕組みとしては描かれていません。
念の制約と誓約は、その判定を能力者に持たせている。重い条件を課せば、そのぶん力になる。払いすぎかどうかを抱えるのも本人です。
決まりを置くのも、重さを決めるのも本人。冨樫は念の決まりで、釣り合いの判定ごと能力者に渡した、と俺は読みます。1秒ごとの代償を知って寿命を払うクラピカに、その渡し方がいちばんはっきり出ている。
まとめ|鋼の錬金術師の等価交換と念の制約と誓約
- 何かを払って何かを得る点は、等価交換と制約と誓約で似ている
- 鋼の錬金術師では、払うものを本人が選べても、得られるのは同等まで。エドの右腕で戻ったのはアルの魂だけだった
- 念の制約と誓約は、決まりを置くのも払う重さを決めるのも本人。絶対時間の寿命も、クラピカが自分で決めた量
- ゴンが念を使えなくなったのは本編で描かれたこと。誓約が原因という説明は公式図録によるもの
- 何を失うかを数字で知っていたのは、比べた3人ではクラピカだけ
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