ビルの念能力・球根(ハルジオン)|効くのは自分の体の外側

強化系の発は、たいてい自分の戦闘力を高める方向へ向かう。クラピカが王位継承戦の船内で、そんな趣旨のことを言っていました。

ビルの「球根(ハルジオン)」は、その珍しい側にあります。強化系なのに、効くのは自分の体の外側だ。

同じ強化系のウボォーギン、ゴンと並べて、強化がどこで働くかだけを比べます。しかもこの能力は、珍しいと評したクラピカ自身の手に渡る。

※王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

ビルの念能力「球根(ハルジオン)」が伸ばしているもの

ビルはパリストン経由で王子の護衛の任務を受け、ブラックホエール号に乗り込んだ念能力者です。入ったのはワブル王子の護衛で、系統は強化系。

能力が明かされるのは37巻 No.388。球根(ハルジオン)は、手をかざした対象の成長を促す発だとされます。殴る力でも、硬さでもありません。

作中で描かれた使い方も、そのとおりだった。念講習の受講者にこの発をかけると、水見式の水が必ず溢れる。かけられた側のオーラが伸びます。

クラピカはこれを見て、強化系で補助に振れた能力は男性では珍しい、という趣旨のことを言っていました。珍しい、であって、ほかに例がないという言い方ではない。同じ強化系で発が自分の攻撃力に向いていない例は、作中にほかにもある(→ 強化系が単純なのは完成した形だけ)。

それでも、強化系の説明からは外れた側にいます。

強化が働く場所は、3人で割れている

強化系の中でも、鍛えたオーラをどこへ通すかは分かれます。ウボォーギン、ゴン、ビルの3人を同じ基準で比べてみる。

発の中身 強化が働く先 借りた人が使うと
ウボォーギン ビッグバンインパクト 自分の拳 その人の拳が強くなる
ゴン ジャジャン拳のグー 自分の拳 その人の拳が強くなる
ビル 球根(ハルジオン) かざした相手 かけられた別の人が強くなる

ウボォーギンのビッグバンインパクトは、オーラ量をそのまま一撃へ通す型でした(→ ウボォーギンの念能力ビッグバンインパクト)。ゴンの本命であるグーも、自分の拳から出ていく技だ(→ ゴンの念能力ジャジャン拳が単純すぎる理由)。

2人に共通するのは、強化の働く場所が自分の体の上にあること。強くなった結果は、本人が持って出ていく。

この3人では、ビルだけがそこから外れている。球根が働くのはかざした相手の側で、本人の拳が重くなるわけではない。

借りて使っても、強くなるのは別の人だ

3人の差は、威力ではなく置き場所に出てきます。その置き場所が、能力の使い道を分けている。

ウボォーギンとゴンの発は、使う人が前に出て殴る前提で組まれている。強化が体の上で起きるので、誰かに預けても強くなるのは使ったその人の拳です。増えるのは、殴れる人が1人ぶんだけ。

球根はそうならない。効くのは相手の側なので、本人が前に出る必要がない。借りた人は、自分ではなく誰かを強くできます。

代わりに、この形には強化系らしい素直さもある。相手を操るのでも、縛るのでもない。伸ばすだけだ。

語られている限界は、未修練者には効果が弱いことぐらい。代償の説明は今のところ出ていません。差し出すものの重い能力が並ぶ王位継承戦では、かなり軽いほうだ。

ただし軽いぶん、1人では戦況を動かせない。かける相手がいて初めて効く能力になっています。

借り出したのは、珍しいと評した本人だった

この性質が、そのまま表に出た場面があります。

クラピカはスチールチェーンでビルの能力を借り、念講習に来ていた別陣営の護衛兵へ貸し与えました。珍しいと評した当人が、その珍しさを他人の手へ渡している。

自分の拳を強くする発なら、借りてもクラピカ本人が強くなるだけだ。効く先が使う人の外側だから、陣営へ配る形になった。

クラピカの陣営は、こうして借りた力だけで戦っています(→ オイト王妃は借り物だけで戦っている)。同じ船では、クラピカが声をかけたプロハンター5人も、配属の時点では別の王子の護衛に散っていた(→ クラピカの護衛5人は狙った陣営に入れなかった)。

球根は、その配り方に合う能力だった。系統の説明から外れた珍しさが、そのまま渡せるという利点になっています。

冨樫がビルに持たせた役割

王位継承戦では、王子が自分の手を下せば極刑という決まりがあります。実際に戦うのは護衛や私設兵のほうだ(→ 王位継承戦で王子は自分では戦えない)。

自分で手を下せない側が勝つには、誰かを強くするしかない。球根はその条件に合わせて置かれた能力だ、と読めます。

強化系なのに、効果が使う人の外側で起きる。その外向きの形が、実際に別陣営の兵を強くするところまで描かれた。他人を強くできる強化であること。それが、この護衛の置かれ方を決めています。

まとめ|ビルの念能力はどこが珍しいのか

  • ビルの念能力は球根(ハルジオン)。37巻 No.388 で明かされた、かざした対象の成長を促す発だとされる
  • 系統は強化系だが、強化が働くのは自分の体ではなく、かけた相手の側にある
  • 同じ強化系のウボォーギン・ゴンは、強化が自分の拳の上で起きる型。結果を本人が持って出ていく
  • クラピカが珍しいと評したのは、ほかに例がないという意味ではない。発が自分の攻撃力に向いていない例は作中にほかにもある
  • その能力はクラピカに借り出され、念講習に来ていた別陣営の護衛兵にかけられた。借りた側が自分ではなく誰かを強くできる形になっている

自分の拳を強くする能力は、誰が借りてもその人の拳が強くなるだけだ。ビルの球根は、借りた人が別の誰かを強くできる。王子が自分の手を下せない以上、そちらのほうが配りやすい。

関連記事:

コメント

タイトルとURLをコピーしました