ゴトーの念能力は、ネット上ではかなり安く見積もられている。コインを弾くだけ、マシンガンで足りる、といった言われ方だ。
ただ、31巻 No.327「謎々」を読み直すと、避けているのはヒソカのほうです。
そうした見方がどこから来たのかは、この1話を追うと見当がつく。
※会長選挙編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ゴトーのコインは、ヒソカに回避を強いている
ゴトーはゾルディック家の執事長。キルアがアルカを瀕死のゴンのもとへ連れて行く道中、ゴトーはその同行者でした。ヒソカと交戦したのは、その途中です。
戦い方は、両手にオーラを集中させ、コインを指で弾いて飛ばすもの。念で作り出したコインではなく、手持ちのコインをそのまま撃ち出している。
この一戦でゴトーは、回転を加えたコインを使っています。バンジーガムで受け止められても止まらない撃ち方で、ヒソカに回避を強いた。ヒソカが体勢を崩したまま避ける場面が描かれています。
威力は、大木をへし折るほどとされています。ヒソカ自身がコインの威力を弾丸以上と評したとされる。その言い方が、今もそのまま引用されている。
能力の性能について見えているのは、「効いていた」側だ。
ゴトーの能力が微妙と言われる理由は、能力の外側にある
それでも評価は低い。まとめ掲示板では「一番ゴミな能力」として名前が挙がる。「それマシンガンでいいよね」という書き込みも並ぶ。掲示板だけの話でもなく、能力を解説するファンサイトも同じ2点を弱点に挙げています。
安いと言うときに持ち出される説明は「コインを弾丸以上の威力で連射」。ヒソカが下したとされる評価と、ほぼ同じ文です。同じ内容を、片方は強さの証拠として、片方は物足りなさの証拠として読んでいる。
低く見る側が挙げる弱点は、この2つに絞られます。
| 通説が挙げる弱点 | 原作で見えること |
|---|---|
| コインを持ち歩く必要があり、かさばる | ヒソカが受けた枚数を数えてみせるほど撃ち込んでいる |
| コインが尽きれば撃てなくなる | 弾切れで決着がついた場面は原作では確認できない |
どちらも、撃ち出す威力そのものへの反論ではない。心配されているのは使い勝手のほうです。
ゴトーとヒソカの決着を分けたのは、コインの威力ではない
勝敗を分けたのは何だったのか。ゴトーは首をトランプで切られて死んでいます。頸動脈を狙った一撃だ。
回転コインで押していた流れが、上からの奇襲で覆っている。念能力どうしの性能差ではなく、間合いと隙の取り合いで決まった一戦だと俺は見ています。
勝敗と能力の性能を分けて測る話は、強さを語る基準そのものにもつながります(→ ハンターハンター最強議論はなぜ決着しないのか)。
ヒソカがゴトーを格下と見ていた材料もある
ヒソカの側には、ゴトーを本気の相手と見ていなかった材料も残っています。
戦闘中、ヒソカは自分から能力を明かしている。死人に教えても構わない、という理屈だ。隠す価値もない相手として扱っていたことになる。
これは、ゴトーが押した事実の価値を割り引く材料だ。隠す気のない状態で受けていた相手を押したのなら、届いた距離はそのぶん短くなる。
そのうえヒソカのバンジーガムは、もともと差し出すものが少ない能力(→ ヒソカの念能力は、なぜ“安く強い”のか)。その状態のまま戦える相手だとすれば、ゴトーが押し込んだのは余力を残した相手ということになります。
格上を一度は押し込んだ、までは言える。勝てる相手だった、とまでは言えない。言えるのはその中間までです。
ゴトーの能力は、本編でほとんど語られていない
評価が低く落ち着いた理由は、もう一つある。この能力について、本編で語られていることが少なすぎるからだ。
能力名が出てこない。系統も本編では明かされていない。ファンサイトが使っている「コイン飛ばし」も仮の呼び名です。
比べる相手が悪いのも効いている。ゾルディック家の念能力は、名前と系統がそろっている技のほうが目立つ(→ ゾルディック家の念能力まとめ)。名前のない技は、それだけで印象が薄くなる。
退場も早い。ゴトーの死はキルアに伏せられた。墓前に立っていたのは、ゴトーの姿をした魔獣キリコです(32巻 No.339「静寂」)。本人が退場したあとも、読者はしばらく死んだ実感を持てないまま進む。
執事という立場そのものも、能力が語られにくい側にあります(→ ゾルディック家の執事で一番自由に動いたのはカナリア)。
まとめ|ゴトーの念能力の評価は、どこでずれたのか
- ゴトーはゾルディック家の執事長。31巻 No.327「謎々」でヒソカと交戦し、コインでヒソカに回避を強いている
- 撃ち出すのは念で作ったコインではなく実在のコイン。回転を加えた撃ち方で、大木をへし折るほどの威力とされる
- 「一番ゴミな能力」とする通説が挙げる弱点は、かさばる・尽きるという使い勝手の側に寄っている
- 決着は威力比べではなく、上からの奇襲。能力が弱かったから負けた、という流れでは描かれていない
- ただしヒソカは戦闘中に自分の能力を明かしており、ゴトーを格下と見ていた材料も残っている
能力名も系統も出ないまま、早い段階で退場した。ゴトーの評価が低いのは、コインの威力ではなく、描かれた量の少なさのほうだと思います。
関連記事:
- ゾルディック家の執事で一番自由に動いたのはカナリア — 執事という立場でどこまで動けるか
- ヒソカの念能力は、なぜ“安く強い”のか — ゴトーを退けた側の設計
- ゾルディック家の念能力まとめ — 名前と系統がそろっている技の並び
- ハンターハンター最強議論はなぜ決着しないのか — 勝敗と性能を分けて測る話
- ナニカ(アルカ)のおねだりのルール — ゴトーが同行していた道中の目的

コメント