東ゴルトー共和国のモデルは北朝鮮、ヨークシンシティはニューヨーク。どちらもよく見かける説ですが、冨樫も集英社も、地名のモデルについて公式の答えを出していません。
地名をまとめた2つのページの答えを比べると、そろう地名と食い違う地名に分かれます。名前の音が実在の地名と重なる地名は、どちらのページでも同じ答え。食い違ったのは暗黒大陸とグリードアイランドの2つです。グリードアイランドについては、原作のほうが名前の由来を語っていました。
※キメラアント編(東ゴルトー共和国)とグリードアイランド編の内容に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ハンターハンターの地名のモデル説を書いている2つのページ
地名のモデルをまとめて書いているページは、探した範囲で2つありました。1つは renote の「モデル・元ネタ・由来まとめ」。もう1つは、漫画の考察ブログ「バズマン」の地名と世界観の由来の一覧です。
どちらも書き方は「〜とされる」「〜と窺える」「〜と推察されます」。2ページとも推測として書いていて、作者の発言を出典に挙げたものはありません。
2ページは、根拠の取り方も違う。renote は暗黒大陸や東ゴルトーで、作中の描写を根拠に挙げています。バズマンは名前の音や文字の並べ替えから当てる説が中心です。
東ゴルトー・ヨークシン・カキンほか、2つのページの答えを比べる
| 地名 | renote の答え | バズマンの答え |
|---|---|---|
| ヨークシンシティ | ニューヨーク | ニューヨーク |
| パドキア共和国 | カッパドキア | カッパドキア |
| ジャポン | 日本 | 日本 |
| アイジエン大陸 | アジア | アジア |
| ヨルビアン大陸 | ヨーロッパ | ヨーロッパ |
| 東ゴルトー共和国 | 北朝鮮 | 北朝鮮 |
| 暗黒大陸 | グルメ界 | アフリカ大陸 |
| グリードアイランド | 強欲の島 | グリーンランド |
8つのうち6つは、2ページで答えが同じ。食い違ったのは表のいちばん下の2つだけです。
カキン帝国のモデルを挙げているのは、バズマンだけでした。答えは中国で、中国(China)と華(Ka)を組み合わせた並べ替えだと書いています。「課金」が由来という見方には触れていますが、バズマン自身がそれを退けている。
ヨークシンやパドキアは、名前の音が実在の地名と重なるので答えがそろう
答えがそろった6つのうち5つは、名前の音が実在の地名と重なる地名です。ヨークシンは「ニューヨーク」の「ニュー」を「新」に置き換えて、後ろに回した形。どちらのページも、この並べ替えを根拠にしています。
パドキアとカッパドキア、アイジエンとアジア、ヨルビアンとヨーロッパ、ジャポンと日本。音が近ければ、誰が当てても同じ答えに行き着きます。
原作の側と照らすと、名前の音のほかに手がかりがある地名もあります。ジャポンは忍者ハンゾーの出身国で、資料ではスシの発祥国としても出てくる。名前の音だけで当てた説、とも言い切れません。
パドキア共和国は、資料ではキルアの実家があるククルーマウンテンの国です。2ページとも、カッパドキア説には名前の音のほかの根拠を書いていません。
ヨークシンシティは、毎年9月に世界最大規模の競売が開かれる都市です。地下競売との違いはヨークシンの地下競売は表の競売と別物で書きました。
大陸の形から当てる説もあります。renote はヨルビアン大陸の形もヨーロッパを思わせると書き、バズマンは北アメリカに見えると書いている。形を根拠にすると、名前ではそろっていた答えが食い違います。
暗黒大陸とグリードアイランドで答えが食い違うのは、根拠の取り方が違うから
「暗黒」も「グリード」も、地名である前にふつうの言葉。音を合わせる実在の地名が1つに決まらないので、何を根拠にするかで答えが変わります。
暗黒大陸の場合、renote の根拠は描写の側です。『トリコ』のグルメ界と同じく、人間が住む大陸の外側にある。原作でも暗黒大陸は、人類が暮らす世界の外に広がる土地として描かれます。
バズマンは呼び名の歴史から当てている。開拓される前のアフリカが「暗黒大陸」と呼ばれていたことを挙げています。人類の世界と暗黒大陸の広さの差は、暗黒大陸の広さは世界の外側で比べました。
グリードアイランドでは、renote が英語の greed(強欲な)の意味から、バズマンが音の近いグリーンランドから当てています。語の意味と音で、根拠の種類からして違う。
俺がおもしろいと思うのは、グリードアイランドだけは原作が名前の由来を語っている点です。ゲームの題名 GREED ISLAND は、ゲームを作った11人の頭文字を並べたもの。強欲の島でもグリーンランドでもなく、作り手の名簿でした。
もちろんこれは作中での題名の由来で、現実のモデルとは別の話です。製作者の顔ぶれはグリードアイランドの製作者は11人にまとめています。
東ゴルトー共和国=北朝鮮説は、体制の描写から答えがそろった
答えがそろった6つのうち、東ゴルトーだけは名前の音が北朝鮮と重なりません。それでも2ページの答えは同じでした。
renote の根拠は「厳しい管理体制」。名前ではなく、作中の国の描かれ方から当てた説です。
原作の東ゴルトーは、総帥の独裁で動く国。キメラアントの王が乗っ取ったあと、国民を「選別」のために首都へ集めようとしました。選別は始まる直前に討伐隊の突入で止まり、王もそのまま倒れたので、行われていません。国のしくみのうち蟻が何を新しく作ったかは、東ゴルトーで蟻が新しく作ったものは2つだけで数えています。
バズマンも答えは北朝鮮ですが、根拠は名前の側に寄っている。総帥マサドルディーゴの名前を「金正日」の並べ替えとする見方まで書いています。ただ、この並べ替えは文字が合いません。
地名のモデルは、根拠の種類しだいで答えが変わる
冨樫が地名のモデルを明かしていない以上、どの説も読者の見立てです。それでも2つのページの答えを比べると、そろい方には決まりがあった。名前の音が実在の地名と重なれば答えはそろい、ふつうの言葉が名前になっていれば食い違います。
答えが食い違ったグリードアイランドには、原作がもう1つの答えを出しています。作った11人の頭文字という、作中での由来です。
音で当てられない東ゴルトーで答えがそろったのは、北朝鮮を思わせる国の描かれ方が根拠になったから。冨樫が答えを出さないかぎり、地名のモデルは、名前の音と描写のどちらを根拠にするかで決まり続けます。
まとめ|ハンターハンターの地名のモデル説を原作と照らすと
- 冨樫や集英社が地名のモデルを明かした資料は見つかっていない。モデル説はどれも読者の見立て
- 地名をまとめた2つのページでは、8つの地名のうち6つで答えがそろった
- ヨークシン=ニューヨーク、パドキア=カッパドキアなど、名前の音が実在の地名と重なる地名は答えがそろう
- 東ゴルトー=北朝鮮は、名前ではなく体制の描写を根拠に答えがそろった
- 暗黒大陸とグリードアイランドは根拠の取り方で答えが食い違った。グリードアイランドの名前は、作中では製作者11人の頭文字
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