組織から離れた人物は、そのあとどこへ行くのか。作中の行き先は3つしかありません。元いた組織の敵に回るか、味方に付くか、席だけ手放して同じ場所に残るか。
どれも、元の組織との関わりが続いている。切れているのは所属だけ。
この3つから外れる人物が2人いる。関わりごと切った側と、抜けたかどうかの線が引けない側です。
※ハンター試験編・ゾルディック家編・キメラアント編・会長選挙編・暗黒大陸編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
組織を抜けた人物は、離れたあとの向きで3つに分かれる
| 離れたあとの向き | 人物 | 元の組織との関わり方 |
|---|---|---|
| 敵に向き直った | ヒソカ | 団員を狙う側に回った |
| 味方に付いた | イカルゴ・メレオロン | 討伐隊の側で戦った |
| 席だけ手放した | パリストン・ジン | 同じ暗黒大陸行きの計画に残った |
離れ方はそろっていない。パリストンとジンは辞任と脱退という形をとりました。ヒソカとイカルゴのほうには、手続きらしい描写がない。入るときの決め方が抜けるときの自由を決めている、という話は別に書きました(→ ハンターハンターの組織に入る3つの道)。
それでも行き先は寄ります。関わりの近さで見ると、5人とも元の組織のそばに残っている。
敵に向き直ったヒソカ、味方に付いたイカルゴ
同じ「そばに残る」でも、向きは逆だ。
ヒソカの在籍は、そもそも団長と戦うための偽装でした。入団の時点から狙いは団長で、団はその入り口に近い(→ ヒソカが幻影旅団に入った理由)。旅団を離れ、天空闘技場で団長に敗れて蘇ったあと、狙いは団員そのものへ移る。標的の名前が変わっただけで、関心の向き先は最初から動いていない。
イカルゴは反対側にいる。軍隊蟻としてキルアと戦い、敗れて助けられたあとキルアの側に付いた。戦った相手の陣営へそのまま移った形です(→ イカルゴの念能力は死体を借りる)。
メレオロンのほうは経緯が違い、自分から討伐隊に加わっている。どちらも討伐軍の一員として王宮へ突入しました。
敵になるか味方になるかは割れる。離れないという一点だけが、2人で同じでした。
席を降りたパリストンとジンは、同じ計画の側にいる
手続きを踏んだ2人も、結果は変わらない。
パリストンは会長選挙に勝ったその場で、副会長にチードルを指名したうえで辞任しました。その後はチードルが継いでいる。手放したのは会長職と十二支んの席で、ハンターをやめたわけではない。
そのままビヨンド側へ移っています。当選した直後に席を捨てて別の側へ回れること自体が、この人物の手数の多さを示している(→ パリストンの念能力が描かれない設計)。
ジンも十二支んの亥の席を空け、そこにはレオリオが入りました。本人はビヨンド側に立って、暗黒大陸行きの計画に関わり続けている。探し続けること自体が目的の人物なので、席のほうを手放すのは筋が通る(→ ジンの目的は“探すこと”そのもの)。
この計画には、協会もビヨンドの監視役として関わっています。2人が手放したのは肩書きであって、関わりのほうではない。
ウェルフィンが向かったのは、群れでも人間側でもない場所だった
3つの向きのどれにも当てはまらないのがウェルフィンです。
群れを離れたあと、討伐隊にもハンター協会にも加わっていない。自分の王はジャイロひとりだと言い切り、その相手を探しに向かっています(→ ウェルフィンの念能力ミサイルマンは尋問の道具)。
ここが3人と違う。ヒソカには団員、パリストンとジンには暗黒大陸行き、イカルゴにはキルア。追う先はどれも元の組織の内側にありました。ウェルフィンの追うジャイロだけが、群れの外にいる。
だから3つのどれにも入らない。敵でも味方でもなく、席を残してもいない。この記事で挙げた中では、関わりごと切れた場所まで行ったのはウェルフィン1人だけです。
キルアは、抜けたかどうかの線が引けない
もう1つ当てはまらない形が、キルアの側にあります。
家を出たあとも、キルアは屋敷へ戻っている。ハンター試験に失格したときは自分の足で実家へ帰り、独房に入れられた。会長選挙のさなかにはアルカを連れ出すために屋敷へ入っています。出入りが繰り返されていて、いつ離れたのかを決められない。
ゾルディック家の側に、辞める段取りの描写がないことも大きい。掟が契約の形で回る家なので、手続きが要らないとも受け取れます(→ 幻影旅団の掟は内向き、流星街は外向き)。
兄弟のうちイルミとカルトは旅団の席に座っているのに、家との縁が切れた描写もない(→ ゾルディック家の兄弟)。
ウェルフィンとキルアは、外れ方が正反対です。片方は関わりごと切り、片方は切れ目そのものがない。
抜けることは、関係の終わりとして描かれていない
この2人を見比べると、「抜けた」という言葉の中身が割れてきます。
作中で抜けたと言えるのは、席や肩書きを手放したという意味だけです。そこから先の関わりを決めているのは、本人が追っているもののほう。追う先が元の組織の中にあれば、敵でも味方でもそばに残ることになる。
だから、抜けたことで話が終わる人物がほとんど出てきません。組織を離れる場面は、退場の合図ではなく立ち位置の変更として置かれている。人物を物語から降ろさず、配置だけを組み替える手。この書き方が俺は気に入っている。
まとめ|ハンターハンターで組織を抜けた人物はどこへ行ったか
- 組織から離れた人物の行き先は3つ。敵に向き直る、味方に付く、席だけ手放す。どれも元の組織との関わりが続いている
- ヒソカの在籍は団長と戦うための偽装で、旅団を離れて敗れたあとは団員そのものを狙う側に回った
- イカルゴはキルアに敗れて助けられ、人間側へ移った。自分から討伐隊に加わったメレオロンとともに、討伐軍として王宮へ突入している
- パリストンは当選した場でチードルを副会長に指名して辞任し、ジンは亥の席をレオリオに空けた。2人ともビヨンド側で同じ計画に関わっている
- 3つの向きから外れるのはウェルフィンとキルア。追う相手が群れの外にいた側と、出入りが繰り返されて線が引けない側だった
行き先が元の組織のそばに寄るのは、追うものがそこに残っているからです。つなぎ止めているのは組織ではない。ウェルフィンだけが遠くまで行けた理由も、同じところから説明が付きます。
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- パリストンの念能力が描かれない設計 — 席を降りた側の手数
- ウェルフィンの念能力ミサイルマンは尋問の道具 — 群れの外へ向かった人物
- ゾルディック家の兄弟 — 抜けた線が引けない家
