ジャジャン拳のグー、廻天、百式観音は、どれも撃つ前に決まった動作を置く必殺技です。その動作を隙として払うのがゴンとフィンクスで、修行で速くして隙にしないのがネテロ。ウボォーギンのビッグバンインパクトだけは、撃つ前の溜めが原作で語られません。
※天空闘技場編・ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。
ハンターハンターの必殺技、グー・廻天・百式観音は撃つ前に動作を置く
本編で「必殺技」という言葉が出る場面に、ウイングがゴンに念を教えるくだりがあります。強化系は纏と練を極めていけば、それが必殺技と呼べる威力になる。そういう趣旨の言葉だった。
ウイングの言う必殺技は、特別な仕掛けを持たない一撃のことと読める。一方、技名のついた一撃の多くは、撃つ前に決まった動作を挟んでいます。
グーは「最初はグー」の掛け声のあいだに、オーラを拳へ集める。廻天は、殴る前に腕を回しておくほどオーラが増える。百式観音では、両の掌を合わせる所作が攻撃の起点。
動作があれば、撃つまでに時間がかかる。使い手の差は、その時間をどう払うかに出る、と考えられます。
ジャジャン拳のグーは溜めの時間と守りを払う
グーは、硬でオーラを拳の一点に集めて殴る技です。拳に集めたぶん、ほかの部分の守りは薄くなる。ファンの間では、隙の大きさが制約として働き、そのぶん威力が増すと説明されることが多い。
掛け声そのものを、技名を明かす支払いとして見る読み方もあります。そちらは念能力の技名を叫ぶと威力が上がるで扱いました。
グリードアイランドのゲンスルー戦で、ゴンは両腕をつかまれて爆破されている。ゴンは片方だけをオーラで守り、残りのオーラを足に集めてアゴを蹴り上げた。ゲンスルーに「両手を捨てやがった」と言わせたあと、とどめに入ったのがグーです。
この場面のゴンは腕を差し出して、グーを溜めて打つまでの時間を手に入れていた、と読める。払ったのは腕で、得たのはとどめの一撃だった。
グーの仕組みそのものはジャジャン拳とは|ゴンの念能力がグー・チー・パーの3つだけで強い理由で扱っています。3つの手の出番はゴンのジャジャン拳、チーとパーは実戦で1回ずつへ。
廻天(リッパー・サイクロトロン)は腕を回す時間を払う
フィンクスの廻天(リッパー・サイクロトロン)は、腕を回す能力です。あらかじめ回しておくと、一時的にオーラが増える。キメラアント編では、15回転させた一撃で蟻の兵を粉々にしていた。この一撃で払ったのは15回ぶん腕を回す時間で、得たのは蟻の硬い体を砕く威力です。
回数と威力の加減は、フィンクス本人にもつかめていない様子でした。払うものとしてはっきり描かれているのは、腕を回す時間。回しているあいだは殴れないので、その時間がそのまま無防備になる、と読める。
廻天もグーと同じく、初動の時間を戦いの最中に払う技だ。回した数と威力の釣り合いはフィンクスの念能力「廻天」は回すほど強いで詳しく見ています。
百式観音は所作を速さで隙にせず、零乃掌で全オーラを払う
ネテロの百式観音も、撃つ前に決まった動作を持つ。両の掌を合わせる所作で、これが攻撃の起点。動作がある点では、グーや廻天と変わらない。
違うのは、その所作が隙として描かれないこと。メルエムは戦いの中で、掌を合わせる所作だけは自分の動きより速いと認めています。メルエム戦でネテロが払っていたのは、縮め切った所作の時間だけ。得ていたのは、王より先に届く初動だったと言える。
その速さの出どころとされるのが、感謝の正拳突き。気を整え、拝み、祈り、構えて、突く。この5つの所作を1日1万回くり返し、50歳を超えて1万回が1時間を切った。所作にかかる時間を、修行の年月で先に払っていたと言えそうです。
最後の零乃掌では、払うタイミングが逆になる。敵の背後に観音を出し、掌で包み込んでから、口から光弾を放つ技。全オーラを込めた一撃なので、撃ったあとには何も残らない。それでもメルエムには通じませんでした。
所作がどこまで縮んだかの計算は感謝の正拳突きを分解するにまとめています。
念能力の必殺技4つが払うものと手に入れるもの
| 技 | 撃つ前の動作 | 払っていると読めるもの | 手に入れるもの |
|---|---|---|---|
| ジャジャン拳のグー | 「最初はグー」の掛け声 | 溜めの時間と守り | 拳の一点に集めたオーラ |
| 廻天(リッパー・サイクロトロン) | 腕を回す | 回している時間 | 回した数だけ増えるオーラ |
| 百式観音(零乃掌を含む) | 両の掌を合わせる | 修行の年月と、零乃掌の全オーラ | 相手より速い初動 |
| ビッグバンインパクト | 原作では語られない | 語られない | 地面にクレーターを作る威力 |
払うタイミングが戦いの最中に来るのは、グーと廻天。零乃掌は撃ったあとに払います。百式観音は、払う時間を戦いの外へ先に回している、と言える。
ビッグバンインパクトの威力は地力から出る|撃つ前の溜めが語られない例外
ビッグバンインパクトの威力の出どころは、鍛えた地力そのものと考えられます。ウボォーギンの超破壊拳(ビッグバンインパクト)は、旅団の仲間の評では、念を込めただけの右ストレート。それでも地面に打てば、巨大なクレーターができるほどの威力だ。
溜めの瞬間に隙ができる、という指摘は劇場版の場面として紹介されている。原作の場面では、溜めの隙は語られていない。
俺が引っかかるのは、この一撃がウイングの言葉にいちばん近い形をしていること。強化系が纏と練を極めた先の、仕掛けのない一撃だ。払う動作が見えないのは、地力だけで威力が足りているからだと読める。
強化系としての硬さはウボォーギンの念能力ビッグバンインパクトへ。極めるまでの長さは強化系が単純なのは完成した形だけで扱っています。
4つの必殺技の差は撃つ前の時間の払い方に出る
4つの一撃は、威力の大小より、初動の時間の扱いで分けたほうが違いがはっきりします。グーと廻天は、その時間を戦いの最中に隙として払う。百式観音は、その時間を修行の年月へ先に回している。
戦いの最中に払う型の弱点は、溜めているあいだに相手に動かれること。ゲンスルー戦のゴンは、その時間を腕で埋めていたと読める。先に払う型は、戦いの場で隙を見せない強みがある。ただし零乃掌のように最後に全部を払っても、通じない相手はいました。
ビッグバンインパクトには、撃つ前に払うものが語られない。グーと廻天の使い手は溜めを抱えたまま戦い、ネテロはその時間を修行で縮め切った。冨樫が描いた必殺技の違いは、どこで初動の時間を払うかに出ている、と考えられます。
まとめ
- ジャジャン拳のグー・廻天・百式観音は、撃つ前に決まった動作を置く。ビッグバンインパクトだけは、撃つ前の溜めが原作で語られない
- ジャジャン拳のグーは溜めの時間と守りを払う。ゲンスルー戦では腕を差し出して、グーを当てる時間をつくった
- 廻天は腕を回す時間を払う。回しているあいだは殴れないぶん、無防備になると読める
- 百式観音は所作を速さで隙にしない。最後の零乃掌だけは、撃ったあとに全オーラを払う
- 戦いの最中に払う型は溜めの隙が弱点、修行で先に払う型は隙を見せない強み。4つの差は、初動の時間をどこで払うかに出ている
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- 念能力の技名を叫ぶと威力が上がる — 掛け声や技名を情報の支払いとして見る
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