念能力の連携は3つに分かれる|止まる側と動く側はどう決まるか

ハンターハンターの2人がかりには、決まった形があります。片方が自分の動きを完全に止めて、もう片方だけが自由に動く。手放すものが何かで、その形は3つに分かれる。

レイザーの「14人の悪魔」のように、念獣を何体も出す技は連携ではない。オーラを出しているのも操っているのもレイザー1人で、止まっている相手がいないからです。

止まる側がいて初めて、組んだことになる。

※ヨークシン編・グリードアイランド編・キメラアント編・天空闘技場編(ヒソカvsクロロ)とその後・王位継承戦編に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

念能力の連携で手放しているものは3つ

2人の念が組み合わさってひとつの結果を作った場面を、手放しているもので仕分けます。

型 手放しているもの 止まる側 動く側
能力を貸す 発そのもの ビル クラピカと受講者
場を作る 動ける時間 メレオロン ナックル
同時に仕掛ける 自分の身の安全 ゼノ シルバ

3つとも、手放している中身は違う。それでも止まる側と動く側に割れるところは変わらない。

まずは止まる側の3人から。動く側がなぜ自由でいられるのかは、そのあとで見えてきます。

止まる側になった3人|ビル、メレオロン、ゼノ

ビルは発そのものを手放しています。

王位継承戦の船内で、クラピカはビルの「球根(ハルジオン)」を奪いました。使ったのは「奪う人差し指の鎖(スチールチェーン)」。そのうえで受講者に貸し、精孔(しょうこう)を開かせている。ツベッパ王子の護衛兵マオールがその1人だ(→ クラピカの念講習)。

この間ビルは、自分の発を使えない。同じことは念獣に操られたサイールドにも起きています。鎖で絶にされ、能力を預かられた。

能力がどちらの手にあるかは、はっきり入れ替わる。オーラそのものが移っているのかどうかは作中で説明されていません(→ ビルの念能力・球根(ハルジオン)/念能力を奪う・借りる・与える)。

メレオロンが手放しているのは、動ける時間。

キメラアント編の討伐隊で、メレオロンはナックルと組んだ。「神の共犯者」は触れた相手ごと姿を消す能力。ナックルはこれでユピーに気づかれないまま近づき、先にハコワレを打ち込んでいます(→ メレオロンの神の不在証明は“消えるだけ”)。

消えている間、メレオロンは息を止め続けなければなりません。止めていられる時間には限りがあり、大きく動けばさらに短くなる。

ゼノは自分の身の安全を手放している。

ヨークシン編で、ゼノとシルバはクロロと戦いました。このときゼノは龍頭戯画(ドラゴンヘッド)でクロロに組み付いた。自分ごと撃って構わない、とシルバに告げています(→ ゼノの念能力は“暗殺の効率”で読み解ける)。

組み付いている間、ゼノは自分の判断で離れられない。離れれば作戦が崩れるからだ。

動く側は、止まる側の制限を1つも背負っていない

3人の相手側を見ると、共通点がはっきりする。動く側は、止まる側が抱えた制限をまったく引き受けていません。

球根を借りた受講者は、貸した側の事情と関係なく精孔を開いてもらえる。ナックルは呼吸を止める必要がなく、いつもどおり殴れます(→ ナックルの念能力ハコワレを“借金の収支”で読む)。シルバは迷わず撃った。

制限が片側に寄っているから、もう片側の一撃が確実に通る。2人がかりというより、1人が自分を止めて相手に打たせる形だ。

ゼノとシルバの戦いは、依頼主が死んだ報せが入って途中で切り上げられた(→ シルバ=ゾルディックの念能力を父ゼノと比較)。それでも組み方そのものは、この形にきちんと収まる。

止まる側を狙われると、組み合わせは崩れる

制限が片側に寄っているぶん、弱いところも片側に寄る。

モラウとナックルの組み合わせがそれを見せている。モラウは紫煙機兵隊(ディープパープル)の人形で場を押さえた。そこへナックルがハコワレを重ね、ユピーを破産寸前まで追い込みました(→ モラウの念能力は“戦場ごと作り替える”)。

そこでユピーがモラウを人質に取ります。ナックルはハコワレを解除した。倒しきる一歩手前で攻撃が止まっている。

止まる側は自分で自分を守れない。だから止まる側の位置が、そのまま組み合わせの弱点になります。

例外1|クロロは、貸した側を戦力に数えていない

3つの型に収まりきらない組み方が2つあります。1つ目がクロロだ。

ヒソカとの戦いで、クロロはコルトピとシャルナークの能力を借りている。借りた能力を組み合わせ、闘技場そのものを使った(→ ヒソカvsクロロはどっちが強い?)。

貸した2人はこの戦いに加わっていません。発が使えない状態のまま、手を出さずにいる。

ここが「能力を貸す」型と違うところです。クラピカは奪った球根を、その場で受講者に渡して使わせた。クロロは借りたものを自分1人で使い切っている。

貸した側は、止まる側にすら数えられていない。止まる側と動く側でできていた形が、ここでは片方だけになります。連携と呼べる範囲のいちばん外側だ。

なお、2人がのちにヒソカに討たれた一件と、発が使えなかったことを結びつける説明は原作にありません。

例外2|ノヴが前線を離れても、扉だけは残った

2つ目はノヴです。

王宮突入で、討伐隊はノヴの4次元マンションの出入口を使って移動していた。扉がなければ、傷ついた側の撤退も成り立っていない(→ キメラアント編の勝因は作戦にある)。

ところがノヴは、プフのオーラを浴びて心を折られ、前線から離脱します。

ここで止まるはずでした。場を作る側が抜けたのだから、ナックルがハコワレを解除したときと同じ形になる。

止まりませんでした。残された出入口をそのまま使って、討伐隊は戦い続けています。ノヴ自身も、負傷者の回収に能力を使い続けた。

ノヴが置いていったのは、能力そのものではない。すでに開いた扉という結果だったからだと読めます。止まる側が抜けても、結果だけは残る型が1つある。

2つの例外が、連携の線を引き直している

止まる側と動く側という見方は、この2つでどこまで通じるか。

クロロの組み方は、止まる側を戦力から外してしまう形でした。渡したあと、貸した側には何の役も残っていない。連携の下限がここにあります。

ノヴは逆だ。止まる側が抜けたのに、動く側が受け取ったものだけが残った。連携の上限というより、連携が連携でなくなっても機能し続けた例です。

どちらも、止まる側が結果に関わり続けるかどうかを問い直している。3つの型が成立していたのは、止まる側が最後まで役を負っていたからだと分かります。

だから人数の多さは、この形の強さに直接つながっていません。レイザーが念獣を何体出しても、そこには止まっている相手がいない。

まとめ|念能力の連携で何を手放しているか

  • 2人の念が組み合わさった場面は、手放しているもので3つに分かれる。発そのもの/動ける時間/自分の身の安全
  • どの型でも止まるのは片方だけ。ビル、メレオロン、ゼノがその側にあたる
  • 動く側は止まる側の制限を1つも引き受けない。だから一撃が確実に通る
  • 止まる側は自分を守れないので、そこが弱点になる。モラウを人質に取られたナックルはハコワレを解除した
  • 例外は2つ。クロロは貸した側を戦力に数えず、ノヴは抜けたあとも開いた扉だけを残した

止まる側を最初に決められた組だけが、最後まで噛み合っていました。

そして止まる側が抜けたあとも動き続けたのは、ノヴの扉ひとつだけです。

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