ヒンリギ=ビガンダフノの念能力は、「制約が軽すぎる」とよく言われる。触れるだけで発動するのに、見返りが大きすぎるからだ。
ただ、「てのひらを太陽に(バイオハザード)」は、ゼロから何かを作っていない。すでにそこにある物の形を変えているだけ。作らない能力だから、支払いも安く済んでいます。
王位継承戦の展開に触れます。単行本を読み進めている途中の方はご注意ください。
ヒンリギが「てのひらを太陽に」で得ている3つのもの
ヒンリギはカキン三大マフィアの一つ、シュウ=ウ一家の若頭。王位継承戦では第3王子チョウライの側で船に乗り、幻影旅団のファンという一面も持っている。
能力は、触れた機械や武器を生き物に変えて操るもの。変えたあとも元の働きは残る。系統は作中で名指しされていません。ファンの間では、具現化系に操作を足したものと見られています。
得ているものは3つ。
- 見た目を完全に別物へ変えられる
- 変えても中身の働きは失われない
- 変えたものを自分の指示で動かせる
かなり欲張りな組み合わせだ。ふつうの具現化なら、出した物は出した物でしかない。そこに操作まで足すなら、その手間を別に払うことになります。
ヒンリギが差し出しているのは、距離と注ぎ続けるオーラ
では何を差し出しているのか。作中の描写から取れるのは2つ。
1つめは距離。この能力は触れないと始まらない。相手の持ち物を変えるには、触れられる距離まで近づく必要がある。遠くから撃つ能力とは、そもそも間合いが違います。
2つめはオーラ。生き物の形を保つには注ぎ続ける必要があり、切れれば元に戻る。小型の発信機を生牡蠣に変えた場面では、そのサイズなら2時間ほどだと語られていました。
この2つは、見返りと1つずつ対応しています。
| 差し出すもの | 見返り |
|---|---|
| 触れられる距離まで近づくこと | 相手が握っている物も作り替えられる |
| 形が続く間ずっとオーラを注ぐこと | 元の働きを保ったまま操れる |
制約と誓約が重いほど威力が上がる仕組みは → 制約と誓約の仕組み にまとめました。
ヒンリギが変えてきた物は、どれも元からそこにあった
作中で確認できる使い方には、はっきりした共通点があります。
船内を見張っていた兵士には、その自動小銃をヘビに変えて同士討ちさせた。払ったのは、触れる距離まで詰めたこと。得たのは、相手の火力を相手へ向ける結果です。
観光客のビデオカメラは、ネコに変えて一帯を見張らせた。ここでの支払いも触れる手間だけ。得たのは、自分では用意していない見張り役だった。
エイ=イ一家のパドイユと戦った場面では、手錠をハトに変えて手足を押さえた。パドイユは拘束を斬ろうと、自分の右手を斧に変える。その腕をヒンリギにひねり返され、斧はパドイユ自身の頭に食い込みました。
ここで払ったのも距離。ヒンリギ自身も左手を貫かれている。得たのは、相手の腕をそのまま決め手に変えるところまでだ。
潜入のときは小型の発信機を生牡蠣に変え、飲み込んで持ち込んだ。持ち物をすべて取り上げられても、それが発信機だとは分からない。
銃もカメラも手錠も発信機も、ヒンリギが新しく作り出した物ではない。すでにそこにあった物の形を、別のものに変えているだけです。
同じ王位継承戦でも、ツェリードニヒの刹那の10秒は自分の中に未来視を抱え込む能力。あちらは絶で目を閉じることが発動の条件だ。こちらは触れる距離まで近づくことが条件です。
ヒンリギの強さは「作らないこと」で説明がつく
ここが、俺がこの能力をおもしろいと思う理由です。
具現化の基本は、無いものを出すこと。何もない空間に実体を持たせるから、代償が要る。クラピカが自分の命まで賭けているのも、そこまで払わないと届かない領域があるからだ。
「てのひらを太陽に」は、その手前で止まっている。銃の殺傷力を作ってはいない。カメラが記録する働きも、ヒンリギが生み出したものではありません。すでに誰かが用意した働きに、生き物という形と、動かせるという性質を足しているだけ。
作っていないぶん、支払いが安い。触れるだけで足りるのは、釣り合いが崩れているからではない。得ている働きが、元からそこにあったものだから。俺はそう考えています。
そのうえで、この条件でも十分に強い。銃を持った兵士を武器ごと無力化し、レベル29と評されたパドイユも仕留めた。相手が良い装備を持っているほど、作り替えたときの見返りが大きくなる仕組みです。
その代わり、自前の火力はない。何もない場所では動けません。相手が武器を持っていなければ、作り替えられる殺傷力もない。
弱点を補っているのが、継承戦の船という場所だ。層をまたぐ移動が制限され、見張りも多い。物と人が密に詰まった場所なら、触れられる物がいつでも近くにあります。
王子本人が動けない継承戦の仕組みは → 王位継承戦で王子は自分では戦えない で整理しています。
まだ明かされていない条件はあるのか
読者の間では、「もっと重い制約が隠れているのでは」という予想も多い。同時に何体も操れて、元の働きまで残る。それでいて防御に回すオーラも余っている。これがその根拠です。
ただ、作中で語られた条件は2点だけ。触れることと、オーラを注ぎ続けること。ほかは今のところ描かれていない。隠れた制約を想定しなくても、この2つで説明はつきます。
気になるのは、この先ヒンリギがどんな選択をするのか。旅団のファンとしてノブナガに接触し、継承戦では第3王子の側で動いている。憧れの相手と雇い主の利害がぶつかったとき、どちらに付くのかはまだ描かれていません。
重い誓約を背負う側は、クラピカの絶対時間が分かりやすい例です。
まとめ
- 「てのひらを太陽に」は、触れた機械や武器を働きごと生き物に変えて操る能力
- 差し出しているのは、触れられる距離まで近づくことと、形が続く間のオーラ
- 得ているのは見た目・働き・操作の3つで、組み合わせとしては欲張り
- 作中の使用例は銃・カメラ・手錠・発信機と、どれもすでにある物を作り替えたもの
- 支払いが軽いのは、ゼロから作らず、その場にある物の形だけを変えているから
系統ごとの得意分野を知っておくと、こうした混ざった能力も分かりやすくなります → 念能力の六系統
ヒンリギが憧れる側の能力については → マチの念能力と念糸

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