ハンターハンターの王で自ら戦ったのは誰か|負ければ座が消える側が前に出る

生まれや制度・競技で王の座についた人物のうち、自分の体で戦ったのはメルエムひとり。カキン帝国の国王ナスビー=ホイコーロにも、キメラアントの女王にも、作中で戦う場面がない。軍儀の王者コムギも、勝負は盤の上だけ。

一方で、自分で女王を名乗ったザザンは、乗り込んできた敵の前に自分で出ている。強さの差というより、王の座が負けで消えるかどうかの差に見えます。メルエムは消えない座にいながら、代わりに戦う者を外されて自分で戦った王でした。

※キメラアント編の結末と、王位継承戦編の内容に触れます。扱うのは単行本既刊分(〜39巻)まで。

王の座についた7人と、それぞれの戦いの場面

人物 王としての座 座のつき方 自分の体で戦った場面
ナスビー=ホイコーロ カキン帝国の国王 王家の継承戦 描かれない
キメラアントの女王 群れの頂点 生まれ 描かれない
メルエム キメラアントの王 生まれ ネテロとの戦い
コムギ 軍儀の世界チャンピオン 競技 なし
ザザン 女王を自称 名乗った フェイタンとの戦い
レオル 「百獣の王」を自称 名乗った モラウとの戦い(王の配下として)
ヂートゥ 「スピードキング」を自称 名乗った モラウとの戦い(王の配下として)

王や女王を名乗ったのは、女王の死後に群れを離れた蟻たち。女王を目指すと決めただけのヒナや、王になることを企てたラモットは、名乗るところまでいっていません。東ゴルトーのディーゴも肩書きは総帥で、王ではない。

ザザンは流星街に城を構え、女王を名乗った。城に幻影旅団が踏み込むと、部下に任せきりにせず自分も出陣し、フェイタンと戦っています。ザザンが最後に自分の体へ何をしたかは ザザンの念能力はなぜ自分に向いたのか で書いた。

レオルとヂートゥの戦いは、形が違う。どちらも王を目指して群れを離れたあと、メルエムの配下に入った。ペイジンでモラウとぶつかったのは、その王の兵としてです。名乗った座のための戦いではない。

名乗っただけの座は、負ければそこで終わる。ザザンが自分で前に出たのは、その座の性質から見て筋が通ります。レオルとヂートゥは、王を名乗るのをやめてメルエムの下に回った。レオルは配下になってからも実権を狙っていたとされるので、王の座への望みまで捨てたかは分からない。

ナスビーと女王の座をめぐって戦うのは周りの者

ナスビー=ホイコーロは、カキン帝国の国王。次の王を決める王位継承戦は、14人の王子による殺し合いで、生き残った1人が次の王になる。

ただ、王子も自分の手では戦えない決まりです。王子が王子を自分で殺せば、王族殺しとして極刑になる。実際に動くのは護衛と私設兵たち。国王が手を出す場面も、39巻までに描かれていない。決まりの細かいところは 王位継承戦で王子は自分では戦えない にまとめています。

とはいえ、ナスビーを戦えない王と見るのは早い。ナスビー自身も、代々続く継承戦を勝ち抜いて王になった側。勝ち負けを済ませたあとの座だから、いまは自分で戦わずにいられるのだと思う。国王が何を残そうとしているかは ナスビー=ホイコーロが残そうとしているのは国 で扱っています。

キメラアントの女王にも、戦う場面はない。女王の役目は、食べた生き物の特徴を子に引き継がせて兵を産むこと。戦うのは産まれた兵隊でした。

女王の最期も、戦いではない。メルエムに内側から腹を破られて瀕死になり、治療を受けたまま死んだ。女王の側の話は キメラアントの女王は餌を5倍にして王を作った へ。

2人の座は、勝ち負けで消えない形をしています。国王は一度勝ち抜いた座にいて、女王は生まれつき頂点にいる。負けて座を失う場面がないぶん、戦いを周りの者に任せられる位置にいます。

生まれながらの王メルエムが、ネテロと1対1で戦った理由

メルエムも、生まれで座についた王。女王が産んだ王はメルエムだけで、護衛軍3体は生まれたときから王に仕えている。座の形は女王と同じ側です。

それでもメルエムは、ハンター協会の会長ネテロと1対1で戦った。相手は老練な武力と念能力の持ち主。メルエムはそれを自分の腕力と、軍儀で磨いた考える力で攻略したとされます。

なぜメルエムだけが戦う側に回ったのか。理由は、王を守る役がそばにいなかったことにあると俺は思う。ネテロ戦のとき、護衛軍は王から離されていた。その引き離しは、ハンター協会側の作戦でした(護衛軍3体はメルエムの何を補ったのか)。

代わりに戦う者を外されれば、生まれながらの王でも自分で戦うしかない。しかもメルエムは、生まれながらに念能力を身につけていました。座も強さも生まれで持っている。上の表の王のなかで、この2つが重なって見えるのはメルエムです(メルエムはなぜ最強で生まれた?)。

ナスビーや女王は、戦う役を外されたことがない。メルエムは例外というより、王の代わりに戦う仕組みを相手に崩された王。討伐隊がどうやって王をひとりにしたかは キメラアント編の勝因は作戦にある で追いました。

盤の前に自分で座り続けるコムギ

コムギは軍儀の世界チャンピオン。体で戦う場面は一度もなく、ナスビーや女王と同じく体を使わない側に入る。

ただ、勝負そのものは人に任せていない。盤の前に座るのは、いつもコムギ本人です。王者の座について、コムギは自分でこう言っています。

「軍儀王、一度負ければただの人」

コムギの座は、生まれでも制度でもなく、勝ち続けることで保たれている。負ければ王者ではなくなる。そのうえでコムギは、軍儀で負けたら自ら死ぬと決めて打っていました。

負ければ座が消える点では、コムギは女王を名乗ったザザンと同じ側にいる。違うのは、勝負の場が体ではなく盤だったこと。コムギとメルエムの差は コムギはメルエムと何が違ったか で詳しく見ています。

王の座は負ければ消えるか|前に出る王と任せる王

負けても座が消えない王は、戦いを周りに預けているように見える。ナスビーは継承戦を勝ち抜いたあとの座にいる。39巻までに、国王本人の座を懸けた戦いは描かれていない。いま船で起きている継承戦は、次の王の座の争いです。女王の群れでは、産んだ兵隊が戦った。

負ければ座が消える側は、本人が前に出る。俺にはそう見えます。ザザンは城で、コムギは盤の上で、自分で勝負の場に座った。

レオルとヂートゥは、この線の上にきれいには乗らない。2匹は王を名乗るのをやめ、メルエムの兵として戦った。名乗った座を自分で守る形にはならず、生まれながらの王の代わりに戦う側へ入っています。

メルエムは消えない座にいながら、代わりの者を外されて、自分の体で戦いました。王が前に出るかを分けているのは、強さよりも、負けたときに座ごと失うかどうか。消えない座のまま自分の体で戦うことになった王は、メルエムだけです。

まとめ|ハンターハンターの王と戦い方

  • 生まれや制度で王の座についたナスビーと女王は、作中で自分の体で戦う場面がない。戦いは王子の護衛と兵、産まれた兵隊が引き受ける
  • 女王を名乗ったザザンは自分で出陣した。レオルとヂートゥは、名乗ったあとメルエムの配下に入り、王の兵として戦った
  • メルエムは生まれながらの王で、ネテロと1対1で戦った。そのとき護衛軍からは引き離されていた
  • 軍儀の王者コムギは体では戦わないが、「一度負ければただの人」という座を盤の前で守り続けた
  • 王が自分で勝負に出るかは、座が負けで消えるかどうかで分かれる。メルエムは代わりに戦う者を外された例外

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