ハンター十ヶ条の第六条には、こう書かれています。育成に携わった後輩ハンターが星を1つ得たとき、その先輩ハンターには星が2つ与えられる。
自分の等級が、他人の達成で決まる。しかも三ツ星へ行くには、必ずこの二ツ星を通ります。
強い者から順に並べる仕組みなら、こんな条件は入れません。星が測っているのは、そもそも強さではない。
※ネタバレ注意。会長選挙のあたりまでの展開に触れています。
三ツ星ハンターまでの条件はハンター十ヶ条にある
星の付き方を決めているのは、第五条から第七条の3つ。
| 星 | 条件 |
|---|---|
| 一ツ星 | 特定の分野で華々しい業績を残した |
| 二ツ星 | 五条を満たし、上官職に就き、育成に携わった後輩が星を取った |
| 三ツ星 | 六条を満たし、複数の分野で華々しい業績を残した |
一ツ星は分野が1つ、三ツ星は複数。ここだけ見ると、業績の数を増やしていく積み上げ式に見えます。
真ん中だけ作りが違う。二ツ星の条件には、上官職に就くことと後輩を育てることが入ります。そのうえ、最後の判定は後輩の側にある。
そして第七条は、第六条を満たすことを前提にしている。二ツ星を飛ばして三ツ星に上がることはできません。
星の条件に「強さ」が一度も出てこない
第五条から第七条をまとめて見ると、測っているものの共通点が見えます。外から確かめられる事実かどうかだ。
業績を残したか、上官職に就いたか、後輩が星を取ったか。どれも形になって残るもので、見れば分かります。
強さはそうならない。誰が誰より強いかは戦ってみるまで決まらず、発動条件を外されれば格上でも落ちる。等級の条件には使えないものだ。
勝敗が何で決まっているかは 念能力の弱点は発動条件に集まる で検証しました。
なお、十ヶ条には其の二に「最低限の武の心得」を求める条文がある。ただしそれはハンターであることの前提であり、星を分ける条件には入っていません。
ジンは三ツ星に遜色ない業績を持ったまま二ツ星でいる
条件が確かめられる事実なら、業績があっても届け出ない者は上がらないことになる。それが起きているのがジンです。
ルルカ文明遺跡の発見、二首オオカミの繁殖法の確立、コンゴ金脈の発掘、クート盗賊団の壊滅。三ツ星と比べても遜色がないと書かれながら、本人は二ツ星のまま。面倒くさがって申請していないからだと説明されています。
業績は足りているのに、本人がその気にならないから上がらない。星が実力を測るものでないことは、ここではっきり出ている。
順位を決める仕組みなら、本人が動かないという理由で下に留まることは起きません。何を優先して動く人物なのかは ジンの目的は“探すこと”そのもの に書いた。
二ツ星は、最後の判定が自分の手を離れる
条文の中で一番変わっているのが第六条だ。
一ツ星は、本人の業績があれば届く。三ツ星で追加して求められるのも、本人の業績のほうです。ところが二ツ星は、そうなっていない。上官職という本人側の条件を満たしたうえで、最後の判定だけが自分から離れる。
どれだけ強くなっても、後輩が星を取らない限り越えられない段がある。しかも第七条が第六条を前提にしている以上、三ツ星の全員がここを通ってきたことになります。
強い者から並べたいなら、この条件は邪魔でしかない。それでも置かれているのは、冨樫が等級の途中に「一人では届かない場所」を作ったからではないか。俺はそう考えています。
パリストンは戦わない三ツ星|条文なら説明がつく
戦う場面が一度もない三ツ星がいます。パリストンです。
強さの順位として星を読むと、ここで説明がつかなくなる。作中の彼は念を使って戦わず、それでも三ツ星を持っている。
条文の側から読むと引っかかりません。複数の分野で業績を残し、後輩の育成にも関わっていれば条件は満たせる。戦闘は星の条件のどこにも要求されていない。
戦わずに勝ってきた人物である点は パリストンの念能力が描かれない設計 のほうが詳しい。彼の三ツ星は例外ではなく、条文どおりの結果です。
星が強さの等級に見えるのは、三ツ星が協会の中枢に偏っているから
それでも星が強さの順位として受け取られるのには、理由がある。
三ツ星は世界に10人といないとされています。名前が挙がるのは、チードルやパリストンのように協会の中枢にいる人物ばかり。会長選挙が9回続いた理由 で扱った顔ぶれを見れば、上の星ほど強そうに見えるのは自然だ。
ただ、それは協会で長く働いた人ほど業績が積み上がるという話でもある。中枢にいることと強いことが、たまたま重なって見えているだけだ。
冨樫が星に持たせたのは、強さ以外の等級ではないか
ハンター試験のほうも、強さだけで合否が決まる作りにはなっていません(→ ハンター試験は強さを測る試験?)。入口で強さを問わず、その先の等級でも問わない。
ハンター協会の側には、強さを測る仕組みが1つも用意されていない。星は強さの等級に一番近く見える。ただ条文を読むと、測っているものは違う。
協会から強さの順位を出さないまま、格の違いだけは読者に伝わる。星はそのために置かれた等級ではないか、というのが俺の見方です。
ゴンやキルアに星が与えられたとは描かれていません。条文でいう業績が、まだ認められていないからだと読める。一人で山にこもって拳を振り続けたネテロの積み上げ方は 感謝の正拳突きを分解する で追いました。
まとめ|三ツ星までの条件と、星が測っているもの
- 星の条件は第五条から第七条にあり、勝った・強いといった語が一度も出てこない
- 測っているのは外から確かめられる事実。だからジンは三ツ星に遜色ない業績を持ちながら、申請を面倒がって二ツ星のまま
- 二ツ星だけは最後の判定が自分の手を離れ、育てた後輩が星を取ったかどうかで決まる
- 第七条が第六条を前提にしているので、三ツ星は全員が二ツ星を通ってきたことになる
- 強さを測る仕組みを入れないまま格の違いだけを伝える等級として、冨樫は星を置いたのではないか
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- 感謝の正拳突きを分解する — 一人で積み上げた側の鍛錬

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