ハンターハンターの生物には、危険度のランクが付いている。ただし、ランクの高さと、作中で実際に出した被害の大きさは一致しません。
危険度の評価は、その生き物の種に対して付く。ところが物語で最大の被害を出したのは、種としての評価が中位だった相手から生まれた1体でした。見るのは、危険度ランク・実際に出した被害・人間が対処できたかの3つ。
※暗黒大陸編・キメラアント編の展開に触れます。
ハンターハンターの魔獣と危険生物は、いくつもの項目で採点されている
ビヨンドの一団に副リーダーとして加わったジンが、探検隊のメンバーに暗黒大陸を説明する場面がある。そこで出てくるのが「危険生物評価リスト」です。
リストの出どころは、ドン=フリークスが残した『新大陸紀行』と、過去の渡航の記録です。ジン自身の探検ではなく、実際に踏み込んだ人たちが持ち帰った情報だ。
危険生物評価リストは、凶暴性・数・繁殖力・破壊力を項目ごとに採点する。それを束ねた総合のランクが出る形になっています。表記はA〜Eで、A-やB+のような中間の刻みもある。ランクが高い生物ほど、人類の武力では抑えられないとされる。
暗黒大陸の五大厄災は、すべてB+以上に置かれている。ガス生命体のアイ、ヘルベル、パプがA。ブリオンとゾバエ病はB+に入っています(→ 暗黒大陸の五大厄災は”恵み”が罠)。
一方、あれだけの被害を出したキメラアントの危険度はB。五大厄災より1つ下の評価になります。ここに、ランクと被害のずれが出ている。
危険度ランクと実際の被害を、同じ基準で比べる
比べるのは3つの層。A〜B+に集まる五大厄災、1つ下のキメラアント、そしてランクの付かない身近な魔獣。基準は、危険度ランク・作中で実際に出した被害・人間が対処できたかの3つです。
| 生物 | 危険度ランク | 作中で実際に出した被害 | 人間が対処できたか |
|---|---|---|---|
| 五大厄災(アイ・パプなど) | A〜B+ | 持ち帰るたびに人類が敗走。本編の現在では大量の死者が出ていない | 倒せていない |
| キメラアント | B | NGLと東ゴルトーで一国規模。作中でも最大級 | 討伐できたが通常の手段では足りない |
| 身近な魔獣(キツネグマなど) | ランク外・低い | 人里の被害にとどまる | ハンターなら対処できる |
身近な魔獣は、危険度も被害も低い。ここではランクと実害がそろっています。くじら島のキツネグマのように、子どものゴンでも向き合えた生物だ。
ずれが大きいのは五大厄災とキメラアント。しかも、ずれの理由はそれぞれ別のところにありました。
実際に出した被害で見ると|最高ランクの厄災はまだ静かにしている
まず「実際に出した被害」の基準で見ていく。五大厄災はランクの上ではいちばん上の側にいる。それでも本編の現在の時間で、大量の死者を出す場面はほとんど描かれていません。
厄災のいくつかは、すでに人間界へ持ち込まれています。暗黒大陸に置き去りにされたままではない。渡航した者の土産として、そのまま人間界へ入った。案内人が戒めとしてわざと持ち帰らせたのだろう、とジンは見ている。
そして持ち帰るたびに人類は敗走し、V5は渡航そのものを条約で禁じました。今どこにあるかも、部分的に描かれます。持ち帰られたもののいくつかは、国際環境許可庁の地下に極秘で保管されている。
一方でナニカは、ゾルディック家の子として人間界にいた。単行本の扉絵では暗黒大陸の出身とされている。ファンの間では、アイと同じものではないかと言われています(→ ナニカ(アルカ)のおねだりのルール)。会長選挙のあとは、キルアと一緒に旅へ出ました。
地下に隔離されたものもあれば、人間界を普通に歩いているものもある。共通しているのは、どれも倒されていないことです。ランクAは、実際に出した死者の記録ではなく、解き放たれたときに起きうる被害の見積もりだ。
人間が対処できたかで見ると|キメラアントは種の評価を超えた
次に「人間が対処できたか」の基準へ移る。キメラアントの危険度はBで、五大厄災より1つ下。ところが作中で実際に出した被害は、この生物がいちばん大きい側にあります。
キメラアントはまずNGLを襲い、続いて東ゴルトーで一国の国民を巻き込んだ。作中でも最大級の規模で人が死んでいる。危険度の評価は1つ下なのに、実害では五大厄災を上回りました。
ずれの理由は、評価が何に対して付いたかにあります。危険度Bは、キメラアントという種への評価だ。ふつうの蟻の群れなら国や熟練のハンターで対処できる、という水準で置かれている。
ところが女王は、人間を食べて摂食交配を重ね、規格外の王を産みました(→ メルエムはなぜ最強で生まれた?)。メルエムは、討伐隊が通常の手段では倒せない1体だった。種に付けたBという評価が、そこから出てきた1体を測っていない。カイトが真っ先に危険を察知して動いたのも、リストの外にあるものを見ていたからです(→ カイトの念能力は弱い?)。
危険度Bのまま、実害はAの水準を超えた。ランクと実態が最も大きくずれた例が、このキメラアントでした。
危険度ランクは種に付き、物語を動かしたのは1体だった
3つの層を比べると、危険度ランクが何に対して付いていたかが見えてきます。
身近な魔獣ではランクと実害がそろう。種の性質が、そのまま被害の大きさになるからだ。五大厄災も種として評価され、いまは封じ込めや監視で押さえられている。どちらも、種を単位に測って間違いが出ていません。
崩れたのはキメラアントだけ。種としてはB。ところが物語を動かしたのは、その種から1体だけ生まれた王でした。危険生物評価リストは種を単位に採点する仕組みなので、この形の脅威をそもそも扱えない。
人類は暗黒大陸の生物を項目ごとに採点し、条約まで作って備えた。それでも一国を失った原因は、リストに載った種から生まれた、リストにない1体でした。人間の備えが届く範囲を、冨樫はこの一点で示したのだと俺は読んでいる。
魔獣のどこが危ないのか。種の危険度ではなく、種の評価からはみ出す個体が生まれること。そこが作中でいちばん大きな被害を生んでいます。
まとめ|ハンターハンターの魔獣はどこが危ないのか
- 危険生物評価リストは、凶暴性・数・繁殖力・破壊力を採点し、総合のランクを出す形になっている
- 最高ランクの厄災のいくつかはすでに人間界に入っていて、隔離されたものも、普通に歩き回っているものもある
- 危険度Bのキメラアントは、NGLと東ゴルトーで作中でも最大級の被害を出した
- ずれの理由は、評価が種に付いていること。種の水準を超えた1体がメルエムだった
- 身近な魔獣も五大厄災も、種を単位に測って間違いが出ていない。崩れたのはキメラアントだけ
備えられるのは種まで。そこから何が生まれるかは、リストの外にあります。
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- メルエムはなぜ最強で生まれた? — 種の評価を超えた1体がどう生まれたか
- 暗黒大陸の広さは世界の外側 — 厄災が持ち帰られた場所の遠さ
- カイトの念能力は弱い? — 危険を最初に察知した側
- ナニカ(アルカ)のおねだりのルール — 人間界にいる暗黒大陸出身の存在


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