イカルゴの念能力は死体を借りる|中へ入るから後ろに下がれない

イカルゴが払っているのは、安全な距離です。死体を借りて戦う能力なのに、操るには自分がその中へ入らなければならない。だから戦場のいちばん前から下がれません。

「死体と遊ぶな子供達(リビングデッドドールズ)」は、取り付いた死体を自分の体のように動かす力。身体能力も、その相手が生前に使っていた念能力も、まとめて借りられる。

得ているものは大きい。ただし他人を動かす能力の中で、術者がここまで危ない場所に立つ例はほかにありません。

※キメラアント編の王宮内部での戦闘まで触れます(単行本既刊分)。

イカルゴの念能力「死体と遊ぶな子供達」でできること

取り付いた死体の動きは、再現度が高い。周りから見て別人と気づかれないほどです。

借りられるのは体つきだけではない。その死体が生きていたころの念能力まで、そのまま扱えます。

取り付ける死体には条件がつきますが、本編にまとまった説明はありません。ファンの間で挙げられているのは、原形を保った死体であること。もう一つは、死んでから数日以内であることです。原形をとどめないほど壊れた相手には取り付けない。

自前の武器もあります。足をエアガンに変形させ、吸い込んだ息の勢いで弾を撃つ。その弾に使うのが蚤弾(フリーダム)で、当たった相手は血が止まらなくなる。他人の死体に頼らず戦える手段は、この程度です。

イカルゴだけが離れて操れない|他人を動かす能力との違い

他人を動かす能力は、ふつう術者が安全な位置に残る。

シャルナークの「携帯する他人の運命(ブラックボイス)」は、アンテナを刺した相手を携帯電話の操作で動かす能力。本人は戦場から離れたところで指を動かしていればいい(→ シャルナークの念能力ブラックボイス)。イルミの針も同じで、刺してしまえば付き添う必要はありません。

イカルゴは逆だ。死体を動かすには、自分がその中へ入る。だから同時に動かせるのは1体だけ。

代わりに手に入れているのが、遠隔操作では届かない精度です。借りた体を自分の手足のように扱えるから、兵隊長として振る舞っても見破られない。

失っているものも同じだけ大きい。操っている最中、イカルゴの体はその死体の内側にあります。借りた体が潰されれば、正体はその場で晒される。

つまりこの能力は、術者が戦場のいちばん前に立つことを条件にしている。下がって指示を出す選択肢が、最初から用意されていません。

イカルゴが安全と引き換えに手に入れたもの

差し出しているもの 代わりに得ているもの
安全な距離 借りた体の身体能力と生前の念能力
同時に動かせるのは1体だけ 自分の手足のように精密に動かせる
正体を体ごと戦場へ持ち込むこと 別人として振る舞える潜入能力
素材が死体に限られること 誰かが倒した相手が、そのまま自分の戦力になる

対応させると、得ているものがほとんど他人のものだと分かります。強さも、姿も、念能力も、自分の中からは出てこない。

その代わり、支払いのほうは他人任せにできない。中に入るという一点で、代償だけが自分の体に返ってくる作りになっています。

キルア戦で失ったもの|借りた体が消えた瞬間

キルアとの初対決で、イカルゴは人間の死体に取り付いていた。得ていたのは、その体で確保した狙撃位置。蚤弾を当て続け、キルアの出血を重ねさせます。

仕掛けたのは、狙撃地点のすぐ後ろにある地底湖へ誘い込む策。血の匂いに寄ってくる魚型のキメラアントごと、水中へ引きずり込む狙いでした。

キルアはイカルゴの足を切り落とし、その吸盤で壁に張り付いて落下を避ける。策が外れ、寄生していた人間の死体は魚に食われてしまう。

そこで勝負は決まりました。空気を吐いて逃げようとしたイカルゴは、すぐキルアに追いつかれて捕まる。戦力の差ではなく、借りた体を失った時点で終わる。得ていたものが全部借り物だったぶん、返却も一瞬でした。

このあとイカルゴは、命を助ける代わりに、空を飛ぶ仲間の能力を明かすよう持ちかけられる。差し出せるものが自分の力ではなく情報だったのも、この能力の性質と重なって見えます。

イカルゴがフラッタに化けた王宮編|弱点が武器に変わる

同じ条件が、王宮突入では逆に働きました。

引き受けたのは、囚われたパームを助け出す役目。フラッタの死体に取り付き、兵隊長のふりをしたまま地下へ向かう。中に入るという縛りが、そのまま完璧な変装になった。

その道中、前方の敵に気づいたキルアが、決めていた役割を破って先に片づけてしまう。すれ違いざまの「貸しだぞ」は、そのときの台詞です。下がれない側が、下がれる仲間に前を空けてもらった場面でもある。

もっとも、借りられるのは体だけです。立場の中身までは手に入らない。師団長ハギャがレオルと改名していたことを、イカルゴは知らなかった。旧名で呼んでしまい、ウェルフィンとブロヴーダに疑われます(→ ウェルフィンの念能力ミサイルマンは尋問の道具)。

ブロヴーダにフラッタの体を壊され、素のタコに戻ってからが見どころだ。格上のブロヴーダには、エレベーターの催眠ガスと装甲車を組み合わせて眠らせる。続くウェルフィンには、頭に黒百足を植え付けられても引かない気迫で対抗する。最後は相手のほうが引き下がりました。

この2戦で効いたのは、念能力でも自前の武器でもありません。段取りと引かない覚悟で拾った勝ちだと俺は読んでいる。

下がれない能力は、下がらせてくれる相手がいて初めて回る。キルアと組んだ時期に活躍が集中したのは、この作りから見れば当然の結果だ(→ ゴンとキルアの念能力はなぜ噛み合う?)。

冨樫展の設定資料では強化系|借りてでも操作をやる理由

系統についても、面白いずれがあります。

本編でイカルゴの系統は名指しされていません。能力の中身から、長く操作系だと受け取られてきた。ところが冨樫義博展 -PUZZLE- で公開された設定資料には、別の答えが載っています。得意系統は強化系(放出寄り)とされている。

足を銃に変えて撃つ技のほうが、本来の得意分野に近いことになる。

六性図で見ると、強化系から操作系は2つ離れた位置にあり、引き出せるのは6割ほど(→ 念能力の六系統とは?)。放出寄りに置かれているぶん操作系には近づきますが、それでも自分の系統ではない。

資料どおり強化系寄りなら、苦手な側へ能力を伸ばしたことになります。遠隔で操るところまでは届かず、体ごと入る形でようやく成立している。中に入るという条件は好みではなく、足りない効率を埋めるための縛りだったと読めます(→ 制約と誓約の仕組み)。

自分に足りない戦力を、他人の死体で埋める。安全と引き換えに手に入れたその力で、イカルゴは蟻の側から人間側へ回った数少ない個体になりました。

まとめ|イカルゴの念能力

  • 死体と遊ぶな子供達は、死体に取り付いて身体能力と生前の念能力を借りる能力
  • 操るには自分が中へ入る必要があり、同時に動かせるのは1体だけ
  • 差し出しているのは安全な距離。借りた体が壊れれば、その場で正体が晒される
  • キルア戦では借り物を失った時点で勝負が終わり、王宮では同じ条件が変装として働いた
  • 冨樫義博展の設定資料では得意系統が強化系とされており、苦手な側へ伸ばした能力だと読める

関連記事:

コメント

タイトルとURLをコピーしました